ローマ/ローマのオプショナルツアー

ローマの定番 ヴァチカン美術館とシスティーナ礼拝堂

ヴァチカン市国は世界最小の国家でありながら、偉大な芸術家たちによる建築、芸術の宝庫でもあります。全長7kmにも及び24もの美術館から成るヴァチカン博物館には、無数の作品が蓄積されています。中でも見逃せない主要作品と、ハイライトであるシスティーナ礼拝堂をより深く知る、おすすめの鑑賞方法をご紹介します。

執筆者:武部 光子

ヴァチカン美術館とシスティーナ礼拝堂をもっと楽しむ おすすめ鑑賞法

ヴァティカン美術館

あまりに広くルートも複雑なヴァチカン美術館 事前に必見スポットをおさえましょう


16世紀、後世に名を残すという野望に突き動かされたローマ教皇ユリウス2世は、ミケランジェロやラファエロ、ブラマンテなど一流の芸術家たちをヴァチカンに呼び寄せ、大聖堂の建設や壁面装飾を命じます。こうして当時の芸術家たちが互いに影響を受けながら競い合い、ルネサンス様式を完成させるとともに、新たな様式を誕生させていきました。様々な時代の作品が後に集められた一般的な美術館と異なり、画家たちが制作した当初と同じ空間でその壁画を味わい、体感できるという点が、ヴァチカン美術館の最大の魅力です。

世界中から観光客が集まるヴァチカン美術館は、毎日長蛇の列で数時間待ちとなることもあります。個人で観光するのなら、並ばず入場できる優先入場チケットの事前予約が必須です。主要作品を見逃さず、短時間で効率よく巡りたい方、また詳しい解説を聞きながら鑑賞したい方は、日本語ガイドツアーへの参加がおすすめ。朝に出発するグループツアーなら、一般公開より30分早く特別入場できるのも嬉しいポイントです。

ヴァチカン美術館とシスティーナ礼拝堂を鑑賞する おすすめオプショナルツアーと事前予約チケット

ヴァチカン市国は世界最小の国家でありながら、偉大な芸術家たちによる建築、芸術の宝庫でもあります。全長7kmにも及び24もの美術館から成るヴァチカン博物館には、無数の作品が蓄積されています。中でも見逃せない主要作品と、ハイライトであるシスティーナ礼拝堂をより深く知る、おすすめの鑑賞方法をご紹介します。

■ミケランジェロのフレスコ画代表作 システィーナ礼拝堂の天井画 
システィーナ礼拝堂

システィーナ礼拝堂天井画より「アダムの創造」神が今まさにアダムへ命を吹き込む場面

彫刻家として活躍していた当時30代のミケランジェロが天井画を描くことになったのは、ミケランジェロの才能を妬んだブラマンテの陰謀と噂されています。ミケランジェロの苦手なフレスコ画を描かせて名声を失墜させようと、教皇をそそのかし、経験の浅い天井画の仕事を回したとか……。しかしミケランジェロは試行錯誤の上、伝統的な空間表現を大胆にも排除し、彫刻家として研究してきた人間の肉体美をフレスコ画で表現することにより、強烈なインパクトを与えるダイナミックな天井画をほぼ単独で完成させ大評判を得たのでした。システィーナ礼拝堂の天井画を心ゆくまでじっくりと鑑賞するには、オペラグラスを持参し、時間制限のない個人入場がおすすめです。

 
■ミケランジェロに影響を受けた壁面装飾 ラファエロの間
アテネの学堂

ラファエロは尊敬の念を込め「アテネの学堂」にミケランジェロの顔を描き込みました

ミケランジェロの天井画に大きく影響を受けたのが、「ラファエロの間」と呼ばれる4つの部屋の壁面装飾を手がけた当時20代のラファエロです。代表作「アテネの学堂」は伝統的な安定した構図で描かれ、ルネサンス絵画の完成地点と位置付けられています。ところがその後、ラファエロは、制作途中だったミケランジェロの天井画を目の当たりにし、大いに感銘を受け、これまでのルネサンス様式から脱却していくこととなります。後に完成した「聖ペテロの開放」は劇的でダイナミックな演出が施され、ミケランジェロが確立させた新たな様式を受継ぐ作品となりました。「ラファエロの間」は少々分かりづらいルート上にあり、短時間のガイドツアーでは立ち寄らないこともあります。ラファエロの作品を確実に鑑賞するには、「ラファエロの間」鑑賞が含まれているガイドツアーへ参加しましょう。

 
■ミケランジェロ60代の作品 システィーナ礼拝堂の祭壇画 最後の晩餐
システィーナ礼拝堂「最後の晩餐

システィーナ礼拝堂「最後の晩餐」ミケランジェロが人生の儚さの戒めとして描いた作品

60代となったミケランジェロが再びシスティーナ礼拝堂で手がけたのが、祭壇後方の壁画「最後の晩餐」です。ここでミケランジェロは、自身の作品を批判した教皇達へ痛烈な仕返しをしていたと言われています。当初描かれた数百もの裸体像は、ミケランジェロの意に背き、後に教皇の命により衣服、腰布が加筆されたのです。ところが1994年、壁画修復の際に腰布が取り除かれると、驚くべき下絵が次々と現れました。裸体像を批判した儀典長をモデルとした人物の腰布の下には、巻き付いた蛇が性器に噛みつく様子が描かれていたのです。現在では、ミケランジェロが数世紀にわたり隠し続けた痛烈な復讐画としても鑑賞することができます。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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