防災/防災関連情報

海外旅行での感染・犯罪被害に備えるための対策

年末年始、春の卒業旅行と海外旅行に出かける人も多いこの時期。楽しいはずの旅行が、ちょっと油断をすると最悪の事態にならないとも限りません。国内とは違って「安全」に関して言えば、海外では日本の常識は通用しません。もちろん国によって大きく衛生環境や治安は異なります。今回はインドなど中央アジア諸国など感染症の可能性が高い場所での、個人が出来るセルフディフェンス(危機回避)について考えたいと思います。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

asia

亜熱帯、熱帯に属するアジア地域のリスク

熱帯・亜熱帯の地域での感染症リスク

日本で暮らしていると、そのインフラの安定度、清潔度を意識することはありません。特に水に関しては、日本の環境は世界に比類なき清潔度を保っていると言えるでしょう。アジアでも熱帯、亜熱帯に属する地域では水による感染の危険があります。先日、初めて行くと必ず「水に当たる」という評判のあるインドの地方都市を旅してきました。実は以前に水に起因する感染症で死にかけた経験があるので、特に水には徹底的に気を付け、とにかく封のされたペットボトルの水以外は、レストランの水も口にしませんでした。数日前から乳酸菌系の整腸剤を飲むようにして、サラダやカットフルーツなど火の通っていない食べものも避けていた結果、腹痛や体調不良に襲われることはありませんでした。

菌への耐性が低いのか、やはり日本人が食中毒を起こすケースは多いらしく、インドでは腹痛や下痢で病院に駆け込む旅行者は絶えないといいます。事前に現地の救急病院などをチェックしておくことは欠かせません。もちろん保険をかけておくのは常識です。アジア諸国では水や食事などが汚染されていることによる様々な感染症、赤痢、チフス、コレラなどにかかる可能性があります。外でペットボトルを購入する際も、怪しげな売店などで購入するのが危険な場合もあります。

市中で販売されている水の場合によっては、すでに開栓されていて、衛生面で問題のある水道水が封入されている可能性があります。自分はホテルの部屋に備え付けの水しか飲みませんでしたが、念のため洗顔やコンタクト用もペットボトルの水を使用していました。タンクの水が汚染されているようなホテルではシャワーの水から目を通して感染するケースもあるという例もあるので、管理の悪いホテルに泊まる場合は注意が必要です。バリやフィリピンなど日本人旅行者の多い国でも同様の注意が必要です。

アジア諸国では経口感染症による被害が多いのですが、他にも気をつけなければいけない病気があります。それは蚊を媒介とするデング熱やチクングニヤ熱、マラリアなどです。日本の虫よけ薬は有効なので、長期旅行や屋外活動の時間が長い場合は持参したほうが良いでしょう。機内持ち込みの可能なウェットティッシュタイプなどがあれば持ち歩き安く便利です。公衆便所に紙もウオッシュレットもなく衛生面で心配な場合が多いので、消毒の出来るウェットティッシュも用意しておくべきでしょう。


動物には触れてはいけない、近づかない

日本人が意外に警戒していないのが市中にいる「犬」。狂犬病は発症すると治療が困難で非常に死亡率の高い病気であり、インドでは毎年2万人以上が狂犬病で亡くなっています。万が一野犬などの野生動物に咬まれたり、接触により顔や目に唾液が付いたりするような状況になった場合は、感染の可能性が高いので、すぐに病院に行く必要があります。他にも地域によっては感染症を媒介する可能性の高い猿、イノシシ、牛などが都市部でも歩き回っていることがあります。絶対に触れずに、すぐにその場を離れましょう。フィリピン、バリなどでは毎年狂犬病による被害が報告されていて、2006年には日本人の死者も2名出ています。鳥インフルエンザの発生している地域では鳩や鶏などにも注意が必要です。

日本人は国内のあまりに衛生的で安全な環境に慣れているので、抵抗力も弱いと言われています。同じ環境にあっても、住民や長期滞在者は免疫力が強く、耐性が出来ているので旅行者の日本人だけが感染してしまうというケースは珍しくないようです。せっかくの旅行が台無しにならないように、せめて水や食事には十分に気をつけて、なるべく火の通ったものだけを摂取するようにすることをお勧めします。そして帰国後に体調不良が発生した場合は最寄の病院ではなく、保険所等に渡航先を伝え、その旨ご連絡ください。


日本の常識は通用しない

ツアーなどの団体で行動している場合にはほとんど心配はないのですが、最近は個人旅行が普通に行われ、女性の一人旅などもよく見かけます。アジア諸国に行く場合は外務省の海外安全情報ホームページの地域別情報を確認した上で、十分な対策をとっておかなくてはなりません。海外において日本人はすべての犯罪者から「カモ」と思われていることは間違いありません。達者な英語で近づいてきたり、日本語が上手だったりすることは決して安全の保障にはなりません。特に女性は海外では様々な犯罪被害に遭っていて、表面に出ているケースはごくわずかです。暴行被害などに遭った場合は泣き寝入りしてしまうことも多く、行方不明などの悲惨なケースも報告されています。

アジアのいくつかの空港では到着するや否や、タクシーの運転手や自称ガイドなどが「カモ」の日本人に群がってきます。突然のテロなどの被害を避けることは出来ませんが、日常的な犯罪には危機意識を持っているだけでリスクを下げることが可能です。多少コストがかかっても、ホテルの配車サービスなどを事前に予約するほうが安心です。犯罪者の車に乗ってしまったら、目的のホテルに着くこともできないかも知れません。自分の関係するホテルに変更させられ、あげくに法外な料金を取られるケースは珍しくありません。

アジア諸国には様々な宗教や文化があり、宗教施設などでは写真撮影が禁止されていることもあります。必ず写真撮影が可能な場所かどうかを確認しましょう。またイスラム教徒の女性は原則写真撮影をしないように。トラブルに巻き込まれないよう、旅行前にはその国の事情を十分に把握した上で楽しい時間を過ごすようにしてください。

海外での危機管理チェック

1.事前に外務省海外安全ホームページを確認。
2.厚生労働省検疫所などで感染症を確認。
3.レベル1(十分に注意)地域では万全の対策を。
4.水の摂取は管理されたもののみを摂取。
5.屋台などでは必ず火の通ったものを。
6.サラダ、フルーツは感染のリスクあり。
7.虫よけを日本から持参。
8.野生動物には絶対触れない、近づかない。
9.親切な外国人には要注意。
10.宗教上の禁忌(タブー)を把握しておく。

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