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ウイスキー&バー/ウイスキー、おススメのこの一瓶

グレンフィディック蒸溜所とグラント家の先駆

前回「グレンフィディック」の新製品(2016年1月26日発売)を紹介したので、今回はグレンフィディック蒸溜所の設備、製法、職人に関してのお話をしたい。大規模な設備に、細部に宿る職人気質をお伝えする。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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クリスマスウイスキー、グレンフィディック

グレンフィディック蒸溜所

最初に一般見学者を招き入れたグレンフィディック蒸溜所

今回は、シングルモルト市場をリードしつづけてきたグレンフィディック蒸溜所についてお伝えする。いつになく、ちょっと専門的な解説になるが、おゆるしいただきたい。
また創業の経緯については、前回記事『グレンフィディック18年・21年(1/26新発売)』において述べているので、そちらをご覧いただきたい。

現在の活況に至るモルトウイスキー・カテゴリーを開拓したのはグレンフィディック創業のグラント一族である。シングルモルトウイスキーのカテゴリーを生む先駆けとなり、世界に向けて売り出した経緯については『グレンフィディック オリジナル日本新発売6/9』の記事をお読みいただきたいのだが、グラント家はさまざまな面で先駆者として知られる。
蒸溜所敷地内

鄙びた良さのある蒸溜所敷地内

まず蒸溜所が外来者を受け入れることがなかった保守的な時代にゲストルームを設け、一般見学者に門戸を開いた。グレンフィディック蒸溜所は1969年から一般に開放し、シングルモルトウイスキーへの関心が高まるよう導いた。現在も製造工程の見学はもちろん、ビジター・センターではグラント家や蒸溜所の歩みを6カ国語で伝えるシアター、レストラン、ギフトショップなどがあり、その充実ぶりは名高い。敷地内はとても美しく整備されていて、温かみがある。
神の思し召しか、クリスマスの朝にニューメイクを生んだ家系は、ウイスキー・シーンの創出という役割を担ってきたのだ。だから、クリスマスには「グレンフィディック」を飲みなさい、とわたしはすすめている。「グレンフィディック」はクリスマスウイスキーとしてふさわしい。

ポテンシャルの高い酒質を生む理由

グレンフィディックの蒸溜室

グレンフィディックの蒸溜室

1887年12月25日創業のグレンフィディック蒸溜所は、このようにウイスキー業界に新風を巻き起こしながらも、創業時のモルトウイスキーづくりの姿を保ちつづけている。
ロビーデューと呼ばれる泉に湧く、柔らかくピュアな水を仕込みに使用しつづけている。麦芽はノンピーティッドに近い。かすかにピーティングされたもので強いピートの燻香をつけることはない。麦汁を得る糖化層は2基。発酵槽はダグラスファー(米松)の木桶発酵槽24基、ステンレス発酵槽8基。大規模である。
さらに発酵で得た醪(もろみ)を蒸溜するポットスチルは、初溜器10基(すべてストレート型)、再溜器18基(ランタン型9基・ボールのようなコブのあるバルジ型9基)もあり、蒸溜室に建ち並ぶ姿は壮観である。
グレンフィディック12年

グレンフィディック12年

すべて小型のポットスチルで、直火蒸溜(一部間接蒸溜)をつづけてもいる。小型の場合、ヘビーで重厚な酒質を生むとされるが、「グレンフィディック」にはその常識が当てはまらない。複雑でしっかりとした香味を抱きながらも、「12年」の製品は若々しいフルーティーさがある。ところが「18年」ものになるとまったく異なる変貌を遂げる。通常ならば熟成のピークを過ぎてしまうケースがままあるが、「グレンフィディック」は真価を発揮して深い洗練で魅了する。
糖化においては時間を惜しまず、そして丁寧にじっくりと濾過することでたっぷりと糖分を含んだ清澄な麦汁を得る。これが果実のような香り高い、華やかで伸びのいいリッチな酒質を生む要因となっている。
発酵においては酵母の増殖と死滅、そして熟成期間ともいえる乳酸発酵を促すことによりフルーティーでクリーンな酒質へと導く。
こうした時間をかけた醸造と小型ポットスチルによる直火蒸溜との相乗効果により、ポテンシャルの高いニューメイクを生み出している。
次ページでは「グレンフィディック」の樽熟成とグレンフィディック蒸溜所の職人たちについてお伝えする。(次ページへつづく)

 

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