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睡眠不足は脳を破壊する!?

睡眠不足は身体に悪い、というなんとなくのイメージはありますが、具体的にどんな悪影響が考えられるのでしょうか。今回は最新の研究結果をまとめ、改めて睡眠不足が身体に与える影響について考えてみたいと思います。

三木 貴弘

執筆者:三木 貴弘

理学療法士 / 運動と健康ガイド

睡眠不足

睡眠不足は身体に悪いとわかっちゃいるけど……

趣味に没頭して睡眠時間を削ったり、テスト勉強に向けて徹夜をする。一度は経験した事があるのではないでしょうか?寝ていられないほど何かに熱中しているというのは、なんだかカッコ良いイメージもあるかもしれません。

しかしながら、やっぱり睡眠不足には様々な健康上の危険が潜んでいます。今回、いくつかの研究結果をもとに、改めて身体に与える悪影響を考えてみました。

徹夜は脳を“破壊”する!?

ノルウェーの研究者が1日徹夜をすると脳にどのような変化があるかを研究しました。21名の健康な男性を対象に、24時間起きている時の脳活動をMRIで計測。その結果、24時間起きていると、脳の大脳白質と呼ばれる白い部分が縮小している事が有意に認められました。

この白質には様々な神経繊維が集積していて、情報を伝えるのに重要な役割を果たしています。よって、この部分が縮小すると、判断能力や記憶力などに影響を与えてしまうと言われています。

今のところ、この大脳白質の縮小は短期間だけで、徹夜した後に数日間充分な睡眠を取れば回復するとされています。しかし、このノルウェーの研究者は、連続した徹夜や慢性的な睡眠不足は、脳機能を低下される事は充分にあると警告しています。

このような研究は他にもあり、ネズミを使った研究では、3日間の睡眠時間を5時間に制限したところ、脳の青斑核と呼ばれる部分が25%減少したと発表されています。

脳卒中や糖尿病にも関連している?

また、睡眠不足や不規則な睡眠時間は、脳機能の低下だけではなく脳卒中や糖尿病、そして早期に亡くなる確率もあげてしまうと報告している研究もあります。
American Academy of Sleep Medicine という組織では、睡眠不足によって免疫力低下が起こりやすくなり、その結果病気にかかりやすくなると忠告していますし、別の研究でもその結果を裏付けるように、睡眠を制限した対象者は白血球の数が急上昇した、という結果が出ています。

また『SLEEP』という専門誌で2012年に発表された論文では、睡眠時間が4~5時間の人たちは睡眠時間が6~8時間の人たちに比べて4~5%脳卒中になる確率が高かった、と報告しています。このメカニズムはまだ解明されていないようですが、睡眠不足が脳卒中の発症率をあげるのは確かなようです。

睡眠不足はやっぱりダメだった

睡眠不足は脳をはじめとする私たちの身体に影響を与えてしまう事は間違いなさそうです。

現在、世界的にみても日本人は慢性的な睡眠不足に陥っている人が多い状況です。日々の生活の中で充分に睡眠を取れないのは、様々な健康上の危険があるという事を改めて理解する事が大事だと考えます。


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