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日本球界が見習うべきMLBの野球賭博のチェック法

日本のプロ野球界を揺るがす、野球賭博問題。海の向こう、メジャーリーグでも同問題は驚きを持って報じられた。日本とアメリカ、各国が取り組む野球賭博への対策を見てみよう。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

海外でも驚きをもって受け止められた野球賭博問題

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巨人は10月5日、福田聡志投手(32)がプロ野球選手が禁じられている野球賭博行為に関わっていると発表。これを調査する日本野球機構(NPB)の調査委員会は21日、中間報告を行い、巨人の笠原将生投手(24)と松本竜也投手(22)も野球賭博を行っていたことを発表した。調査委は1カ月以内に、3選手の処分案も含めた最終報告を行う。

3選手は、野球賭博や野球賭博常習者との交際を禁じた野球協約第180条違反にあたり、1年または無期の失格処分が下される見込みだ。

海の向こうでも、日本プロ野球界で起こった不祥事は驚きをもって受け止められている。米スポーツ専門局「ESPN」でも、巨人の選手が関わった野球賭博をトピックスとして取り上げた。「日本球界で信じられないような問題が起こった。自ら所属する球団の試合も賭けの対象となるギャンブルを選手が行っていたのだ。読売ジャイアンツをはじめ他球団及びNPBの面々は大きな衝撃を受けている」と大きく報じた。

MLB(米メジャーリーグ)の野球賭博に対する罰則規定は以下の通りだ。

「選手、審判、球団幹部や職員らがいかなる野球の試合に対していかなる金額の賭け事をしても、賭けをした者がその試合に参加する職務を負わない場合、1年間の出場停止処分を受ける。賭けをした者がその試合に参加する職務を負う場合、永久追放処分を受ける」。

賭けをした試合に出場しうる立場にあったかどうかで、1年間の出場停止か永久追放かに分かれるのだ。


日本も見習うべき、メジャーリーグが行っている対策

MLBも1989年、当時レッズの監督を務めていたピート・ローズ氏が野球賭博に関わっていた問題の発覚により、窮地に立たされた苦い過去がある。それを踏まえ、以降は全球団に複数人の「コンプライアンス(法令遵守)委員」を常設し、自軍の所属選手ならびにスタッフ、関係者に監視の目を常に光らせている。毎年必ずMLBで数日間にわたる厳しいコンプライアンス講習を受けている各球団の同委員たちは、シーズンの開幕前に必ず所属選手らにコンプライアンス遵守を徹底させるべく個人面談まで行っている。

ある委員は「日本プロ野球界が行っているコンプライアンスのチェック方法とは比較にならないほど我々のものは厳しい」と言い切っている。

NPBも毎年春に開催される新人研修会で暴力団排除対策の講習会を開き、秋には秋季教育リーグに参加中の選手に対し、同講習会を行っている。しかし、今後はMLBを見習って、各チームに「コンプライアンス委員」のような複数の監視人を設け、チェック体制を強化していくべきだろう。

もちろん、これらは野球界に限ったことではないにしろ、野球人気の低下を防ぎ、回復に向かうためにも、最優先で取り組むべき問題である。
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