DAIHATSU(ダイハツ)/その他のダイハツ車

ダイハツ新型キャストに見る「軽自動車の苦悩」

軽自動車の売れ行きがここにきて伸び悩んでいる。こうなると困るのが軽自動車を主力商品としているダイハツだ。そんな中で発売された新型キャスト。世界観の異なる3つのバリエーションを用意したが、はっきり言って、ダイハツの「焦り」を感じずにはいられない。その理由とは?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

焦りを感じずにはいられない新型キャストの3バリエーション

ダイハツキャスト

ダイハツの新型軽乗用車「キャスト」は世界観が異なる3つのバリエーションを用意する(写真は「キャスト スタイル」)


破竹の勢いで販売台数を伸ばしていた軽自動車ながら、ここにきて売れ行きが伸び悩んでしまっている。低迷のキッカケとなったのは消費税率のアップだと言われていたけれど、白ナンバーの普通車を見ると、今年に入って回復してきた。軽自動車だけ対前年比割れを続けている状況。こうなると困るのが軽自動車を主力商品としているダイハツだ。

スズキも軽自動車をメインとしているけれど、インドに代表される海外市場や、二輪車なども持っている。ダイハツの場合、海外は東南アジアの一部のみ(アメリカやヨーロッパから撤退している)。軽自動車が売れないと厳しいのだった。ということから今や「なりふり構わず売れそうなクルマを作る」という流れになってます。

もちろんダイハツオリジナルのオープン2シーター『コペン』や、圧倒的な背の高さを持ち味とする『ウェイク』のような提案型モデルも出している。けれどコペンは自動車雑誌の読者層に代表されるクルマ好きを無視した結果、全く売れず。ウェイクだって背の高さで勝負したが、転ばないようするため乗り心地はガタガタだ。

ウェイクの販売台数も目論見を下回っており、すでに月販2500台前後となってしまっている。コペンとウェイクは明らかに成功しなかった。そんなことからダイハツも焦っているのだろう。今度は「売れているクルマのマネをする」という作戦に切り替えてきた。新型車『キャスト』を見た瞬間…「やっちゃいましたね!」

「軽自動車=ボディスタイルだけ新しければ売れる」は終わり?

新型キャストは3つのバリエーションを持たせてきたのだけれど、イチオシの『アクティバ』はSUV風のイメージ。このジャンルでSUV風のクルマと言えばスズキ・ハスラーである。樹脂製のフェンダーや、サイドカバーなど、全てのアイコンがハスラーと同じ。誰が見てもマネしたと感じることだろう(ダイハツ社長は完全否定してます)。
キャスト アクティバ

キャスト アクティバ


『スタイル』というバリエーションもあり、ホンダN-ONEやBMWミニそっくり。N-ONEは売れていないため、ミニを意識したんだと思う。白く塗られたルーフやフロントのデザインなど正しく「ミニを一回り小さくした」ような雰囲気だ。そもそもN-ONEのオリジナルであるホンダN360も元祖ミニのソックリさんでした。

キャスト スタイル

キャスト スタイル



そしてターボエンジン搭載のスポーツモデルは、赤く塗られたドアミラーやフロントグリルの赤いラインなど、スズキ・アルトターボRSそっくり。これほど似ているクルマを3バリエーションも一度に出してきたことなど、日本車の歴史を辿っても今まで聞いたことが無い。それだけダイハツは焦っているということなんだろう。

キャスト スポーツ

キャスト スポーツ



クルマの仕上がり具合といえば「普通の軽自動車」といった感じ。新しい技術無し。自動ブレーキもダイハツの公表値によれば、5km/h以上で稼働し、20km/h以下なら自動停止出来るという。つまり5~20km/hの速度域でしか止まれないということ。軽自動車は「ボディスタイルだけ新しければ売れる」という時代ではなくなったと思う。

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