セクシュアルマイノリティ・同性愛/LGBT

“LGBT向けサービス”ほどウケない理由

ますます多くのメディアがビジネスにおけるLGBTの存在についてあげるようになってきています。企業からすれば、LGBTの人たちに商品やサービスをぜひ提供したいと考えるのは自然だと思います。しかし、LGBTにリーチするのはなかなか難しいのです。

執筆者:林 康紀

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LGBTへのリーチの難しさ

私はLGBTをテーマにしたメディアサイト、 Letibee LIFE(http://life.letibee.com) の運営を担当しています。

成長の兆しを見せてきているメディアサイトですが、なかなかそう簡単にはうまくいかないものだなぁと感じています。さらに、先日10年間ほどLGBT向けにライターをやってきた人からお話しを伺い、やはりLGBTへのリーチは難しいと改めて思いました。ここでは、なぜLGBT向けサービスはウケにくいのか?という問いに関して、現時点で私が考えるポイントをお伝えしたいと思います。

(私も走り続けている身で、現時点での私の持っている仮説なので、将来改めて見返してみて間違っていた可能性はもちろんあります)
 

“活動家”っぽく見えてしまう

LGBT向けにすればするほど、LGBT当事者たちにも、ストレートにも響かないのです。これは私の仮説ですが、「LGBT」という単語に対して「LGBT」以外の意味がくっついているように感じます。どこか”LGBTの権利運動”のような印象を与え、真面目すぎる印象を与えてしまうようです。また、そもそもLGBTという単語を知らない人もまだまだ多い(LGBT当事者すらも)と思います。実際、ウェブサイトを運営していても、「ゲイ」や「レズビアン」などといった単語が入った記事は人気になりやすいのですが、「LGBT」とすると人気が落ちるようです。
 

ストレートにウケない=LGBTにもウケない

LGBT reach

LGBTヘのリーチは簡単にはいかない


ストレートにとって面白く話題になる商品やサービスでないと、LGBTにもウケにくいようなのです。「ストレートが使わないような質の悪いものをLGBT向けだからといって使いたくない」という心理があるのだと推測しています。そこには提供者の如何にかかわらず、良いものは良い、悪いものは悪いという、消費者としての厳しい目があるのだと思います。10年以上ゲイライターをやっている人も言っていましたが、ゲイ向けにするよりもストレートの中で話題になり、それがゲイの中で話題になるというステップが、現実的にうまくリーチする方法なのだろう、と現時点で思っています。

 

"マイノリティ" に違和感

最近Twitter で見たツイートの中で面白いと思ったものに、「私を”LGBT” という概念に入れないで欲しい」というツイートがありました。「別に自分は誰かに助けてもらわなくても、勝手に自分は自分で楽しく生きるから放っといて欲しい、”LGBT”と言われる人たちと一緒にしないで欲しい 」という考えです。また「自分は社会的弱者だと感じたことないのに”マイノリティ”というレッテルを貼らないで欲しい」といった表現を持ったツイートも見受けられます。やたら「あなたたちはマイノリティです」や「あなたたちはLGBTです」と呼ばれるのは、確かにレッテルを貼られている印象を受けるかもしれません。アイデンティティは時間をかけて自分で探し当てるものですから、突然自分のアイデンティティではない属性が自分にあると押し付けられて不快に感じるのは、ある意味自然な反応なのかもしれません。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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