名所・旧跡/九州・沖縄の名所・旧跡

福岡・宗像大社 世界遺産に登録された「海の正倉院」

日本最古の書物『古事記』『日本書紀』にもその名が記されている宗像大社(むなかたたいしゃ)。沖合の2つの島と九州本島にある3つのお宮で成り立ち、現在に至っても多くの人から厚く信仰されています。今なお厳格に護られている神域から8万点もの国宝が出土したことから「海の正倉院」とも呼ばれ、2017年には世界文化遺産へ登録された宗像大社をご紹介します。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

『古事記』『日本書紀』にも記載があり、多数の国宝を所有する宗像大社


奈良時代に編纂され、日本で一番古い書物として知られている『古事記』と『日本書紀』。

歴史書として国造りの神話などが綴られていますが、その中に登場する神社の一つが九州の宗像大社(むなかたたいしゃ)です。

遙か昔から歴史の流れを見つめてきた古刹で、神域を現代に至るまで厳格に護り、また「海の正倉院」と呼ばれるほど歴史上貴重となる物品を多数所有しているのをご存じでしょうか。

今回は古代から現代に至るまで、常に多くの人からの信仰を集めている宗像大社をご紹介します。

 

2つの島と九州本島で3人の女神を奉る宗像大社

宗像大社・辺津宮(1)/本殿・拝殿

宗像大社・辺津宮の本殿と拝殿(2015年8月撮影)

宗像大社Yahoo! 地図情報)は、福岡県の北部、小倉がある北九州市と博多の中間に位置する宗像市にあります。
宗像大社・辺津宮(2)/海の方を向く石鳥居

海の方を向いて立つ宗像大社・辺津宮の石鳥居(2015年8月撮影)

宗像大社が祀る神様は、天照大神(あまてらすおおみかみ)の娘にあたる湍津姫神(タギツヒメカミ、古事記では"多岐都比売命"(タギツヒメ))、市杵島姫神(イチキシマヒメカミ、古事記では"市寸島比売命"(イチキシマヒメ))、田心姫神(タゴリヒメカミ、古事記では"多紀理比売命"(タギリヒメ))。

九州本島にある辺津宮(へつぐう)、玄界灘の沖合にある大島に中津宮(なかつぐう)、同じく玄界灘の沖合にある沖ノ島に沖津宮(おきつぐう)の3つの社を持ち、辺津宮では市杵島姫神、中津宮では湍津姫神、沖津宮では田心姫神をそれぞれ祀っています。

大陸と日本の間でさまざまな交流を行う海上のルートに位置していたこともあって、宗像大社は海上の交通安全の神様として人々に親しまれてきました。現在は交通安全の神様として多くの方の参詣を受けています。


 

凜とした空気が満ちる境内。奥には国宝を見学できる神宝館も

宗像大社・辺津宮(3)/神門

宗像大社・辺津宮の神門(2015年8月撮影)

3つのお宮に分かれている宗像大社ですが、アクセスしやすいのは九州本島にある辺津宮。JR九州 鹿児島線の東郷駅からバスで15分ほどの距離にあります。

玄界灘の方向を向く石鳥居を2つくぐり、心字池にかかる太鼓橋を渡ると神門です。
宗像大社・辺津宮(4)/拝殿と本殿

宗像大社・辺津宮の拝殿と本殿(2015年8月撮影)

神門をくぐると真正面に拝殿と本殿が現れます。どちらも重要文化財で立派な寺社建築です。

拝殿と本殿の周囲は背の高い木々で仕切られていることもあり、境内全体が凜とした空気に包まれていることを体感できますね。
宗像大社・辺津宮(5)

辺津宮の拝殿の左、取り囲む木々の奥に8万点の国宝を収蔵する神宝館があります(2015年8月撮影)

玄界灘の沖合にある沖津宮で発掘調査を行った際、大量の物品が出土され、いずれも古代の文化交流などを示す貴重なものばかりだったことから8万点もの物品が国宝に指定されました。このことから宗像大社はたくさんの歴史ある宝物を収蔵している奈良・東大寺の正倉院になぞらえて「海の正倉院」とも呼ばれています。

拝殿の左側を奥に進んだ所にある神宝館ではこれらの国宝を収蔵しており、古代の金製指輪や神鏡などを見学することが可能です。

 

中津宮へは渡船で大島に渡ります

宗像市の観光マップ

宗像市の観光マップ。左上に中津宮のある大島と沖津宮のある沖ノ島が描かれています(2015年8月撮影)

辺津宮以外の宗像大社のお宮は、玄界灘の沖合にありますが、一番遠い沖津宮がある沖ノ島Yahoo! 地図情報)は、島全体が神域のため一般の人は訪れることができません。代わりに中津宮がある大島に沖津宮遥拝所があり、ここでお詣りすることができます。

中津宮がある大島Yahoo! 地図情報)へは、辺津宮から海よりに進んだ神湊港より大島渡船で25分ほどの船旅です。渡船は1日7往復運行しています。島内を巡回する観光バスも運行されいいますので、中津宮、沖津宮遥拝所への参詣とあわせて大島をゆっくり訪ねてみるのも良いでしょう。


古代から信仰が厚く、国宝8万点を擁する宗像大社をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?かたくなに神域を護りながら、国宝となる物品を現在に多数残した貴重な場所であり、宗像大社は「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を構成する資産として2017年に世界文化遺産として登録されました。

辺津宮に近い東郷駅からは電車1本で博多や小倉、門司港へも移動できますので、世界遺産への登録で注目が高まる宗像大社へ参詣してみて下さい。

 

宗像大社へのアクセス

JR九州 鹿児島線の列車

宗像大社の最寄り、東郷駅にはJR九州 鹿児島線の列車が止まります

地図:Yahoo! 地図情報(辺津宮)
アクセス:
<鉄道>
山陽新幹線 小倉駅または博多駅からJR九州 鹿児島線の列車に乗車し、東郷駅下車。東郷駅北口バス停より、神湊波止場方面へ向かう西鉄バスに乗車。
辺津宮には宗像大社前バス停で下車すぐ。中津宮へは神湊波止場まで乗車し、宗像市営渡船で大島へ。大島渡船ターミナルから徒歩約10分。
大島の沖津宮遥拝所までは大島渡船ターミナルから2.1km離れています。
大島観光バス「グランシマール」で沖津宮遥拝所バス停下車。
また福岡・天神バスターミナルから宗像方面に向かう西鉄バス むなかた号(平日3往復、土曜休日5往復)も宗像大社前、神湊波止場まで乗り換えなしで便利です。

<飛行機>
福岡空港から福岡市営地下鉄で博多へ。博多から先は<鉄道>のルートと同じ。また天神まで地下鉄で移動して西鉄バス むなかた号を利用する方法もあります。

<車>
九州自動車道 若宮インターチェンジから、県道を宗像方面へ進む。国道3号線との交差点付近から宗像大社への案内が現れるので、案内に従います。


【関連サイト】
「九州の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで九州地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「日本の世界遺産」に、「名所・旧跡」ガイドで日本国内の世界遺産を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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