小学校/小学校関連情報

学校を休ませて旅行やレジャーに行くのはOK?NG?

親の休みに合わせて、あるいは料金の安いオフシーズンに旅行を計画し、子どもに学校をお休みさせるのはアリでしょうか?夏休みの出校日の欠席はOK?お休みさせるときには、理由を正直に伝えますか?それとも?

福田 由紀子

執筆者:福田 由紀子

臨床心理士/メンタルケア・子育てガイド

観光シーズンの旅行は避けたいけれど……

小学生に学校を休ませて旅行やレジャーへ連れて行くのはOK?

平日の方がオトクだけど……学校を休ませて旅行やレジャーに行くのはOK?NG?

ゴールデンウィークや夏休みなど子どもの長期休暇の週末の観光地は、人の多さもさることながら、宿泊料金も割高。盆休みや正月には、飛行機も新幹線も割引がありませんし、高速道路もダダ混み……。

できれば旅行は、料金の安いシーズンの平日に有給を取って計画したいところ。しかし、問題になるのが「子どもの学校」ですよね。

夏休みなどの長期休暇も、最近は「学力補充」のために、数日~1週間程度の出校日が設定されているようです。

・ 家族旅行のために、学校を休ませるのはアリか?
・ 夏休みの出校日や、始業式・終業式に休ませるのはどうか?
・ 休ませるとしたら、理由は正直に担任に伝えるべきか?

などなど、子どもに学校を休ませることを思うと、色々なことが頭に浮かびます。

 

小学校と保育園・幼稚園の違い

就学前は、そんなことに悩みもせず、サクッと保育園や幼稚園を休ませていたと思います。そもそも保育園は「保育に欠ける」ことが条件ですし、幼稚園も通わせるのは任意です。園の行事やおともだち関係のことさえクリアすれば問題ないので、筆者も子どもの就学前には、サクサク保育園を休ませては、家族で旅行していました。

しかし、小学校は義務教育です。

日本国憲法第26条2項にはこうあります。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。

子どもに「教育を受けさせる義務」は「子どもの学ぶ権利(学習権)」を保障するための義務だとされています。病気などの理由がないのに子どもを就学させないと法律違反になります。しかし、就学させている子どもを親の都合で数日休ませることが義務を果たしていないことになるのかどうかといった議論はなされておらず、一般には法律違反には当たらないようです。

授業料や教科書が無償なのは、経済的な理由で教育を受けられない子どもをつくらないためです。しかし、税金が投入された義務教育なのに、親の都合で休ませてもいいのか?といった心情的なハードルの高さはあるかもしれません。

子どもがいじめなどで学校に行けない時に「むりやり登校させないと親の義務を果たしていない」とはならないでしょう。かといって、「学校に行くより、家でゲームをしていたい」という子どものわがままを聞いて学校を安易に休ませるというのも、どうかと思いますよね。

では、「家族旅行のために学校を休ませる」ことについて、3つの点から考えてみましょう。

 

1)日程について

小学生に学校を休ませてレジャーや旅行に連れて行くのはOK?

学校を休ませてでもレジャーや旅行にいく価値があるのかを、慎重に見極めましょう

子どもの学びを保障するために、その期間の授業を休むと子どもの学習権を妨げる可能性が高い場合、旅行よりも学校を優先するほうがいいでしょう。

「学習権」を軸に考えると、通常授業 > 長期休暇の学力補充日 > 終業式や始業式 > 単なる出校日 という優先順位になるかもしれませんね。

しかし「学校での学習」は授業に限りません。休み時間に友だちと遊ぶことも、クラブ活動も、給食も掃除も、子どもにとっては大切な「学習」です。ですから、子どもが旅行よりも学校を優先したいと思っている時は、子どもの意思が尊重されるべきでしょう。

 

2)理由について

子どもの「学び」は、学校以外にもたくさんありますので、何を学校より優先するかというのは、親の価値観によると思います。

・ 海外に単身赴任中の親の仕事の休みに合わせて、家族で現地に会いに行く
・ 最近ふさぎ込んでいて、親との会話も減っている子どもを、家族旅行に連れて行く

このような場合は「学校を休ませてOK」と思う人が多いのではないでしょうか。では、

・ 遠くの親戚の法事の後、余分に1泊して、観光して帰る
・ 非常に手に入りにくいチケットが抽選で当たった

というのはどうでしょうか。「特別な行事がないなら、せっかくだから少しくらい学校を休ませてもいいんじゃないか」と考えますか?それとも?

では、

・ 旅行料金が安いから、オフシーズンに家族旅行を計画する
・ 混まない平日に、学校を休ませて、テーマパークに行く

というのはどうでしょうか?

おそらく「これはOK、これはNG」という判断は、人によって違うと思います。それは、親の価値観はもとより、親の仕事の状況や、休みの取りやすさ、親子の関係性や、経済状況などが、家庭によって違うからです。

例えば、障害や病気を持つきょうだい児の「テーマパークに行ってみたい」という夢を叶えるために、混まない平日のほうが心身への負担が少ないだろうと考え、上の子の学校を休ませて家族で行く、ということになると、判断はガラリと変わるかもしれませんよね。

家族旅行は思い出になるとともに、色々な発見を子どもにもたらすことでしょう。しかし、「敢えて学校を休ませなければならない日程にする必要があるのかどうか」ということは、慎重に考えたいものです。

 

3)学校への説明について

学校を休ませる判断が妥当かどうか、セーフかどうかを見極める基準は「担任に、ありのままを説明できるかどうか」ではないでしょうか。学校を休ませる「日程」「理由」の他に、「頻度」も大きなファクターのひとつですよね。うしろめたさを感じず、親として学校を休ませる必要性を伝えられるのか?という点は、立ち止まって考えたほうがいいように思います。

「うそをついて休ませる」というのは、おすすめできません。楽しかったことは友だちに言いたくなるものですし、後でうそがバレるのは必至。仲良しのお友だちへのお土産選びや思い出話も含めての「楽しさ」ではないでしょうか。

「学校は休まない」というのが、あくまでも義務教育の原則です。それを破るのですから、なぜ旅行やレジャーを学校よりも優先するのか。そのことを親子で話し合い、学校に対しても、誠実な説明を心がけたいものです。

子どもには、休んだ授業の内容を先生やお友だちに聞くようにうながしましょう。家族で決めたイレギュラーなお休みは十分に楽しみながらも「本来は受けるべきだった授業の遅れを取り戻す」という意識を持たせられるといいですね。


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