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猫は何度も吐く動物!とはいえ、吐き続ける場合など心配な嘔吐とは?

猫はもともと、吐く頻度の多い動物です。しかし、吐き方によっては、心配なものも、問題がないものがあります。毛玉を吐く前に聞いたことのない鳴き声で鳴く猫や嘔吐を繰り返したり吐き続ける猫は動物病院へ連れて行ったほうが良いかもしれません。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

猫は吐く頻度が多い動物

猫はよく吐く動物!とはいえ心配な嘔吐とは?

嘔吐の種類によっては病気の疑いも…

猫と暮らしているあなた。お宅の猫ちゃんは、よく吐きますか?

猫はもともと、吐く回数の多い動物です。心配ない猫のおう吐、心配なおう吐の違いはどこでしょうか?

猫はグルーミングした毛を吐いたり、食餌を一気に食べ過ぎて吐くこともあります。これらは、生理現象として吐くので、元気にしていれば問題はありませんが、普段の様子とは異なったり、吐く以外の症状がでている場合は注意が必要です。
今回は猫が吐くパターン別に生理現象の嘔吐なのか、病気が疑われる嘔吐なのかをケース別にお話しします。
   

猫は毛玉を吐く前に遠吠えのように鳴く・吐き続ける時は動物病院へ

猫が吐く一番の原因は、毛。猫は自分の身体を舐めてきれいにするセルフグルーミングを行います。ザラザラの舌で、毛を舐めて汚れを落とし毛並みを整えますが、その時にむだ毛も飲み込んでしまいます。

■毛玉を吐く、生理現象としての嘔吐
猫が飲み込んだ毛の多くは、ウンチと一緒に出ますが、胃の中にたまってしまった毛は吐き出さなければなりません。そのため、普段でも、1日2~3回、毛玉を吐きだす猫もいます。元気にしていれば、これは心配しなくてよい生理現象の嘔吐です。

■何度も履いている場合は『毛球症』の疑いも
日に何度もおう吐や咳を繰り返している場合は注意が必要です。吐くときに、猫はかなり苦しそうにしたり、2~3度続けて吐いたりします。吐く前に、あまり聞いたことがないような遠吠えのような声を発する猫もいます。

毛がウンチから排出されず、吐くこともできない場合、毛が胃の中にたまる毛球症という病気にかかっていることが疑われます。食欲や元気がなくなり動物病院を受診しても、毛玉のかたまりはレントゲンで映らないので、なかなか病気の特定が難しいようです。

【普段のケアで毛玉症を防ぐ方法】
毛が原因の病気のため、毛玉を胃に溜めないよう、普段のケアで気を付けてあげることができます。
  • ブラッシングをする
定期的に飼い主さんがブラッシングを行うことで、猫のセルフグルーミングによる毛を飲み込む頻度を減らします。この時、同時に皮膚病がないか確認しましょう。皮膚病を患っていると猫のセルフグルーミングの回数が増え、毛を飲み込む頻度があがります。
  • 猫のウンチに毛が混じっているか確認する
糞に毛が混じっていれば、毛を吐いていなくても、体外に毛が排泄されていることを確認できます。毛が排泄されなくなったり、猫の様子が普段と違う場合は、かかりつけの動物病院を受診しましょう。
  • 消化に良い食物繊維の多いフードや食事を選ぶ
市販フードで毛玉ケアができる商品がいくつかあります。食物繊維が豊富で排泄を促し、胃に毛が溜まらないようにされた商品です。
餌の形状によって、粒が大きいものより、小さいものが消化しやすいので、サイズを変えることも1つの方法です。
猫の好みにもよりますので、様子を見ながら消化の良い食事に切り替えてみましょう。
  • 毛球症予防のサプリメントを与える
毛球症予防のサプリメントもあります。かかりつけ医に相談し、用法・用量を守って使いましょう。
 

食事が原因の猫の嘔吐

しっかり噛んでゆっくり食べてね

猫は一気に食べることで、嘔吐してしまう場合も。しっかり噛んでゆっくり食べてね

■食事の一気食いによる嘔吐
猫は、食事を一気食いして、食後すぐに腸の形のままのものをげろっと吐くことがありますが、これは心配しなくてもよい生理的なおう吐です。猫はあまりよく噛まずに飲み込むように食べるので、空気も一緒に胃に入ったり、焼きの甘いドライフードを食べた後、水を飲むとお腹の中で一気に膨張し、吐き出さざるを得なくなるのです。

【食後吐きやすい猫のケア】
食後吐きやすい猫は、食べる量を制限し、一気食いさせないこと。またフードの種類を変えてもよいでしょう。

■毎食後必ず嘔吐する場合は『巨大食道症』の疑いも
もし、毎食後に必ず吐き戻すようであれば、『巨大食道症』という病気が疑われます。猫の食道は食べ物を飲み込んだときに膨らみ、飲み込み終わると食道は元の太さに戻り、胃に食べ物を送りこみます。何らかの先天的な異常、または食道炎などを起こしている猫の場合、食道の拡張と収縮が、うまく行われず、食道の筋肉が拡張したままになり、おう吐を繰り返すのです。胃に食物が入りませんから、猫は衰弱していきます。

【巨大食道症と診断された場合のケア】
もしこの病気だと診断されても、軽い場合は特に消化のよい食事を小分けに与える、後ろ脚で立った姿勢で食べさせる、など胃まで食物がストレートに入るように工夫すると改善されることがあります。
食道と胃を高くして食べさせるとよいでしょう

巨大食道症と診断された場合は、食事のさせ方を工夫することで改善される場合もあります。食道と胃を高くして食べさせるとよいでしょう

 

猫の嘔吐の原因がわからない、心配な嘔吐

猫は2~3回連続して吐くのが普通ですので、その回数であれば問題視しなくてもよいでしょう。しかし、吐いた後の様子が次のものに該当する場合は、注意し観察が必要です。

嘔吐直後の猫の様子
  • 1時間以上経っても、うずくまって動かない
  • 目がうつろ
  • おもちゃなどに反応を示さない
  • 食欲がない
……などなど、いつもと違う状態が見られたときは観察が必要です。

■黄色の胃液を吐いた時:胃腸・肝機能の低下の疑い
吐いたものが、黄色い胃液である時も、注意深く観察してください。黄色い胃液を何度も何度も吐く場合は、胃酸過多で胃や腸の粘膜があれている場合や、腎臓や肝臓の機能低下も疑われます。

【疑いのある場合】
猫の腎臓と腎機能の状態を知るための検査

■吐く格好をしても何もはかない場合、咳との区別:ぜんそくの疑い
苦しそうに何度も何度も吐く格好をしても何も出てこない事もあります。その場合は猫が本当に吐こうとしているのか? それとも、咳をしているのか? の違いを見分ける必要があります。どちらとも区別がつきにくいでしょうが、早朝などに、こういった行為が見られるときは、もしかしたら吐こうとしているのではなくて、咳=ぜんそくなどの可能性もありますので、獣医師の診察を受けた方が安心できるでしょう。

■吐いたものに血が混じっている:脱水症状・肝機能低下の疑い
吐いたものの中に血が混じっているときも診察を受けてください。おう吐・下痢を起こしているときに血液検査をすると、肝臓血に異常が見られる事がありますが、これは脱水症状などによる可能性もあります。脱水状態から完全に回復してから、再度血液検査を行って検査値を比べると安心できるでしょう。

■子猫の嘔吐の場合:寄生虫・ウィルス感染の疑い
子猫時代は毛が抜けることが少ないので、毛玉によるおう吐はほとんどありませんが、子猫が頻繁に吐く理由として、寄生虫が考えられますので、こちらも獣医師に診察してもらってください。
激しいおう吐を繰り返し、なおかつ下痢も見られる場合は、何かの中毒やウイルス性の病気が考えられますので、すぐに動物病院へ。

【疑いのある場合】
猫のノミ・ダニ・寄生虫の予防と対策
子猫は毛玉では吐きません

子猫は毛玉では吐きません。嘔吐を繰り返している場合は寄生虫やウィルス感染が疑われます。

 

猫が吐いた後、水や餌を与えないように

猫が吐いた後は最低でも30分以上は水や食餌を与えない方がよいでしょう。完全に胃や腸の状態が落ち着いてから水を飲ませてください。食事は2時間は空けた方が無難でしょう。吐いた後に水を飲みたがる猫もいますが、水を飲むと刺激されて、また吐くことが多いようです。

生理的現象の『嘔吐』であれば問題ではありませんが、吐くことが習慣性になると体力を消耗し、ひどくなると脱水症状を起こします。ですから、吐いた後は刺激を与えないようにして、吐く行為をその場限りで収めてあげることが重要です。

【猫のおう吐後の対応】
  • おう吐直後30分以上は水やえさを与えない
  • おう吐が習慣化しないよう、刺激を避ける
 

猫が一番よく吐く時期は

猫が吐く一番の原因は、毛玉なので、換毛期である春先から夏にかけての時期に吐くことが多いようです。しかし、1年中、習慣的に吐く子もいれば、ほとんど吐かない子もいるので、愛猫のタイプを見極めて下さい。
 

猫の毛玉は無理にでも吐かせた方がいいのか

毛玉を吐かせるために、猫が毛を吐き出しやすくなると販売されている猫草。猫草と呼ばれる燕麦やエノコログサの葉には、細かなトゲトゲが生えていて、猫はそのトゲトゲに刺激されて、吐きやすくなります。しかし、これは必ずしも猫に与えなければいけないことはありません。与えてもまったく見向きもしない猫もいますし、大好きでぱくぱく食べても、吐かない子も多いです。
毛玉が胃に溜まるのを防ぐ方法は、嘔吐させるだけでなく、糞と共に排泄されていれば問題ありません。
年がら年中、セルフグルーミングが好き

猫は年がら年中、セルフグルーミングが好きですが、買主がブラッシングをして、毛を飲み込む頻度を減らす工夫を。

猫は吐きやすい動物。でも吐き出したもの、吐き出し方、回数などは、きちんと確認して下さい。それが大きな病気の早期発見につながるかもしれません。

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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