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同質化が進む携帯キャリア、新たな差別化の打ち手は

家電量販店のスマホ売り場は「夏商戦」に突入。夏のボーナスを狙い、各キャリアが新製品を投入している。しかし、2013年にNTTドコモがiPhoneを投入して以降、大手3社のスマホ売り場は代わり映えがしなくなっており、料金・ネットワークも横並び状態になっている。各社とも差別化の決定打となる新たなサービスを模索している状態だ。

石川 温

執筆者:石川 温

携帯電話・スマートフォンガイド

進む端末・料金・ネットワークの同質化

家電量販店のスマホ売り場は「夏商戦」に突入。夏のボーナスを狙い、各キャリアが新製品を投入している。

2013年にNTTドコモがiPhoneを投入して以降、NTTドコモ・au・ソフトバンクのスマホ売り場は代わり映えがしなくなってきた。いまではどのキャリアでも、iPhoneだけでなく、ソニー・Xperiaも購入できるし、この夏商戦からはソフトバンクでもサムスン電子・Galaxyを取り扱うようにもなっている。auではキャリアオリジナルモデルとして「isai」(LGエレクトロニクス)といった独自のラインナップを用意しているが、もはや「どのキャリアも端末ラインナップは一緒」といっても良いくらいになってしまった。

目でロック解除ができる世界初の「虹彩認証」機能など、キャリアも独自端末を用意しているが……

目でロック解除ができる世界初の「虹彩認証」など、各キャリアとも独自機能を持つ端末を用意しているが……


その上、料金プランを比較しても、どのキャリアも月額2700円で国内の固定・携帯電話宛の通話料が定額におさまるプランが中心だ。LTEのネットワーク品質も3キャリアであまり違いはない。端末ラインナップだけでなく、料金・ネットワークを比較しても、それらがキャリアを選ぶ決定打になる時代ではなくなってきているのだ。

差別化の打ち手は“実生活との融合”

そんななか各キャリアが注力し始めているのが、“実生活との融合”だ。単にスマホ向けのサービスを強化するのではなく、「うちと契約していれば、普段の生活がお得になる」という打ち出し方をしているのだ。

その先駆けとなったのがauだ。電子マネーサービス「au WALLET」というプラスティックカードを発行し、スマホからアプリを使って、お金をチャージして使えるのが特長だ。

au WALLETはプリペイドカードなのだが、マスターカードと提携しており、マスターカードが使える場所であれば、ほとんどのところで支払いができる。プリペイドなので、支払い分の残高が残っていなくてはいけないが、残高はスマホのアプリですぐにチェックできる。200円の支払いで1ポイントがたまる仕組みとなっており、ポイントはそのままリアル店舗での支払いにも利用できるし、電話代の支払いにも利用可能だ。

auがポイントによるプリペイドサービスを強化したことで、ライバルも大きく動き出している。

ソフトバンクはTポイントカードと提携し、電話代の支払いでTポイントが貯まるだけでなく、Tポイントで電話代を支払える。また、ソフトバンクでも「ソフトバンクカード」を発行し、プリペイドによる支払いにも対応するようになった。こちらはVISAと提携し、VISAが使える場所での支払いに対応。200円の支払いに対して、Tポイントが1ポイント付与される仕組みとなっている。

ソフトバンクはTポイントのキャンペーンを展開

ソフトバンクは、Yahoo!でショッピングをすると、Tポイントが貯まるキャンペーンを展開する


先行2社に対抗しようと、NTTドコモが2015年12月から始めるのが「dポイント」というサービスだ。これから開拓する予定のdポイント加盟店で「dポイントカード」を提示して支払うと、100円に対して1ポイントが付与される。NTTドコモではすでにDCMX/DCMX miniというクレジットカードサービスを提供していることもあり、これらを「dカード/dカードmini」にリニューアルさせる予定だ。dカード/dカードminiで支払えばさらにポイントが貯まるし、こちらも電話代の支払いなどに利用可能だ。

このサービス開始に合わせ、NTTドコモとローソンが提携しているのだが、6月からはローソンでの支払いにdカード/dカードminiを使うと、請求時に3%が引かれることになっている。また、Pontaとも提携し、Pontaのポイントとdポイントの交換もできるようになる。

NTTドコモとローソンの提携

NTTドコモはdポイントの加盟店としてローソンと提携。6月からはDCMX/DCMXminiで決済すると3%割り引かれる


スマホやケータイユーザーは、契約しているキャリアでポイントが貯まっているものの、機種変更時に使うぐらいで、使い道に困っているという人も多いはずだ。各社ともポイントサービスを強化してきたことで、リアルの生活における支払いでポイントを活用できるようになっている。

当然、キャリアを辞めようとするとそのポイントは使えなくなってしまうわけであり、ユーザーとしてはポイントをためることで「キャリアを辞めにくくなる」という心理も働く。つまり、キャリアにとってみれば、「ポイントでユーザーを囲い込みたい」という狙いがあるわけだ。

全国に広がるキャリアショップをどう活用するか

もうひとつ、これからキャリアの競争軸になろうとしてるのが“キャリアショップの活用”だ。キャリアショップといえば、料金を支払ったり、故障を直してもらったり、機種変更をする場所というイメージが強い。多くの人が1年に1回行くか行かないかといったところだろう。

auではこの夏から、auショップにおいて食品や雑貨を販売する「au WALLET Market」を開始する。お客さんはショップの店員と共にタブレットを操作して、自分の欲しいものを購入するという仕組みだ。

au WALLET Market

auはauショップを活用し、物販に本格的に参入。店頭でタブレットを使ってショッピングが楽しめる


スマホを使いこなしている人からすれば「家でスマホからアマゾンや楽天で購入すればいいのでは」と思いがちだが、auが狙っているのは、スマホやパソコン、タブレットを使いこなしていない層だ。普段ネット通販を利用しない人たちのサポートをすることで、ネットで買うことの楽しさを教えるとともに、タブレットの購入・契約につなげたいという狙いがあるようだ。

スマホの販売が伸び悩むなか、各キャリアは様々なサービスで、収益を上げようと努力している。スマホやタブレットを使いこなせない人にネット通販をしてもらうために、こうしたショップを活用する動きは他社にも広がる可能性がありそうだ。

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