ツボ・経絡

お腹を下す原因は?東洋医学とツボで考える対処法

気温が高くなるにつれて冷たいものを口にする機会が増えますが、そんな時に気なるのがお腹を下してしまうこと。今回はお腹を下してしまうメカニズムを身体の働きと東洋医学の観点から考え、対処法をご紹介します。

山木 伸允

執筆者:山木 伸允

鍼灸マッサージ師 / 鍼灸療法・ツボガイド

気温が上がる季節になると、ついつい冷たい物を飲みすぎたり食べすぎたりしやすくなります。そんな時に気になるのがお腹を下してしまうこと。今回はお腹が下ってしまうメカニズムと、ツボを利用した改善方法についてご紹介します。

 お腹を下してしまう原因とは?

お腹下しをツボで改善するには?

お腹下しをツボで改善するには?

食物が小腸から大腸に移動したばかりの時は、消化物は水分を多く含んでいます。大腸ではそこから水分を吸収し、適切な固さになった時に便として排泄するよう調節しており、こうした運動を主に蠕動運動(ぜんどううんどう)と呼んでいます。しかし、なんらかの原因でこの蠕動運動が異常に活発になってしまうと、適切な量の水分を吸収する前に排泄してしまったり、水分量の調節機能に障害が起きて便中の水分が増加したりして、お腹を下す原因になります。

また、大腸の機能の調節を行っているのは自律神経の役割です。自律神経は交感神経と副交感神経からなり、生命維持に必要な身体機能をこの二つの神経がバランスを取りながら調節しています。一般的に、ストレスが加わった時には交感神経が活発に働き、リラックスした時には副交感神経が優位に働きます。大腸の蠕動運動は副交感神経が優位に働く時に活発になります。

自律神経は脳の視床下部という部位の影響を強く受けます。さらにこの視床下部は本能的行動や情動にかかわる大脳辺縁系と呼ばれる脳の領域の影響を強く受けています。

不安や緊張、怒りなどの感情的なストレスが慢性的に加わると、視床下部を介して自律神経の働きが混乱し、交感神経が優位に働いている間でも蠕動運動が抑制されずお腹を下してしまうのです。

また、お腹を下すのではないかという不安自体が大脳辺縁系に対し働きかけ、自律神経を刺激する原因にもなることが分かっており、こうしたストレスが誘発する過剰な便意を、過敏性腸症候群と呼びます。

こうした脳と腸の密接な関わりは、生物が進化するうえで腸の神経パターンを脳に転用していったためだと考えられており、「脳腸相関」と呼ばれています。
 

冷たいものもストレス要因となりお腹を下す原因に

夏場などはお腹を下しやすい季節になります。慢性的なストレスを抱えた状態で冷たいものを摂取することや、冷房などが身体に当たり続ける環境にいることは、冷たいという刺激がストレス因子として過敏に腸を収縮させ、蠕動運動を活発化してしまうことが考えられます。

また、冷たい刺激が外部から加わることで急激に体内が冷やされることになりますが、この時に体温の恒常性を保つために腸を蠕動運動させた結果お腹が下るのではないかとも考えられています。

これらのことをまとめて考えると、第一に適切なストレスマネジメントを行うこと、体温より極端に低い温度の飲食物を控えること、体温を逃がさないような服装を心がけることなどが大切であると言えるようです。

こうしたことを踏まえたうえで、東洋医学の観点からお腹が下る現象を考え、ツボによる対処法をご紹介していきます。

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