住宅リフォーム/リフォームのトラブル・失敗

間取りが悪いと事故を呼ぶ!危険なリフォームに注意

家の間取りが悪いと、思わぬ事故にあうことがあります。特に注意したいのが、新築には無い、リフォームだからこその危険な間取りです。キッチン、ガラス、階段、そして明るく広くはなったけれど地震に弱くなってしまった事例をご紹介します。(2017年改訂版、初出:2015年5月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

家の間取りが悪いと危険なことも。リフォームだから注意

悪い間取りで事故

家の間取りが悪いと思わぬ事故にあうことも。リフォームだからこその危険に注意。


間取り変更リフォームで気を付けたいのが、気付かないうちに事故が起きやすい間取りになっているケースです。新築では起きないことが、リフォームだからこそ起きてしまうことがあります。今回は、よく見かける危険が多い悪い間取り例をご紹介します。

<目次>

キッチンリフォームでの悪い間取り

事故が起きやすい悪い間取り、1つめはキッチンリフォームで起きやすい例です。人気のキッチンリフォームと言えば、対面式スタイルへの変更ですが、完成してみると、危険な間取りになってしまっているケースがあります。

注意したいのが、キッチンとダイニングの間をつなぐ通路です。できるだけ収納やキャビネットを大きく取ろうと、通路幅をぎりぎりにするプランをよく見るのですが、キッチンとダイニングの間は、毎日何回も行き来する通行頻度の高い場所です。

熱い鍋や皿を持ちながら、回り込むように急いで移動することもあり、そこにカウンターが出っ張っていると、体をぶつけて思わぬ事故に繋がってしまうことがあります。
通路が狭いと悪い間取りに

通路が狭いとキッチンのサービスカウンターに身体をぶつけてしまい、危険になることも。

実際に、熱いグラタンを持ったまま、狭い通路を急いで通り抜けようとして、カウンターに肘を強打。ひっくり返して火傷をしてしまったケースがあります。

このような危険な状況に陥ってしまう原因として、面積が不足しているにもかかわらず対面式スタイルにリフォームをしてしまったこと、また以前とは動き方が変わり、新しい間取りに不慣れなことなどがあります。

狭いところに無理に押し込むのは事故の元

対面式スタイルのキッチンは、壁付け式のキッチンよりも広い面積が必要です。それでも何とか対面式にしたいと、面積が不足しているのにもかかわらず、無理やり詰め込んでリフォームしてしまうケースを見掛けることがあります。

しかしキッチンは熱いお湯や油、包丁など危険なものが多く、狭い場所であわただしく移動していると、思わぬ事故にあうことがあります。動作スペースに余裕がないのは悪い間取りの典型例です。

またリフォームをすると、今までとは動き方が変わり、慣れるまでに時間がかかります。キッチンでは、小さなことが大きな危険につながります。リフォームの際は、スペースに余裕を持たせた計画を立て、のんびり慣らしていきましょう。

階段のそばにドアがある間取りは大けがの元

事故が起きやすい悪い間取り例の2つめは、階段の上り口と下り口のすぐ横にドアを付けるリフォームをしてしまうことです。

階段の上り口と下り口そばにはドアを作らない、と言うのは危険を防ぐための家づくりの基本であり、新築ではほとんど見ることが無い間取りです。しかしリフォームの場合は、限られた面積にパズルのように色々な物を詰め込んでいくうちに、階段のすぐわきにトイレのドアがきてしまった!というようなことが起きてしまうケースがあります。
階段脇のドアは悪い間取り

階段を上りきった瞬間にドアが開けば落下する。命の危険が伴う間取り。

階段を上りきった瞬間に近くのドアが開けば落下の、階段を勢いよく降りている時にドアが開けば激突のおそれがあります。これは命の危険が伴う、本当に危ない間取りなのです。

リフォームは間取りパズルではなく家づくり

リフォームでどんなに効率のいいプランを思いついたとしても、このような危険な間取りは絶対に避けましょう。空いた場所にとりあえず詰め込む計画は、このような事故が起きやすい悪い間取りになりがちです。リフォームはパズルではなく家づくり。実際の暮らしをよく想像して計画しましょう。

廊下からリビングへのガラス戸の錯覚

3つめの事故が起きやすい悪い間取り例はガラスを使ったリフォームです。リフォームの依頼で多いのが、部屋を明るくしたいというもの。窓を大きくしたり、ドアや間仕切り壁にガラスを入れて光を採り入れるリフォームをすれば、明るく広々とした部屋にすることができます。
事故になりやすい危険なガラス戸

事故になりやすい危険なガラス戸に要注意。大きな透明ガラスは、何も無いと勘違いして、激突してしまうことがある。

しかしここにも危険が潜んでいることがあります。大きな透明ガラスは、何も無いと勘違いして、激突してしまうことがあります。そんなはずは無いと思っていても、夜に寝ぼけている時、お酒を飲んでいる時などは危険です。また子供が走って激突することもあります。

今までドアや壁だった場所だけに、勘違いをしやすくなるのです。特に暗い廊下から明るい部屋に入る間取りは錯覚を起こしやすいので注意が必要です。

存在感を出して危険を防ぐ工夫を

ガラスがそこにあるという存在感を出すことが、危険を防ぐポイントです。不透明ガラスや格子の取り付け、また飛散防止フィルムなどで安全なガラスにしておきましょう。

オフィスのエントランスなどの大きなガラス面に張り付けてある丸い金属のプレートを貼るのもいいでしょう。これはガラスへの衝突防止のためのプレートで、両面テープで取り付けるタイプもあり、手軽に対策できます。

広く明るいリビングは地震に弱く光熱費が高い?

リフォームだからこそ陥りやすい悪い間取り4つめは、間取り変更リフォームによって耐震性能や省エネ性能が低下してしまうケースです。

20年ほど前の家の間取りは、部屋が6畳程度ごとに細かく区切られていて、部屋数がたくさんありました。しかしそれから時代は流れ、現在では広々としたリビングやダイニングなど、大空間の作りが好まれています。

リフォームでも、間仕切り壁を取り払って大きなリビングにしたい、窓を大きくして部屋を明るくしたい、増築したいという要望は多いのですが、そこで気を付けたいのが、リフォームのせいで家の性能が低下してしまわないようにすることです。
窓が多すぎる家に注意

明るくひろびろとしたいというリフォームの依頼は多いが、性能の低下に注意。

特に注意したいのが耐震性能と断熱性能です。主要な壁を取り払った後、とりあえず補強はしてあってもバランスが崩れていたり、壁の量が絶対的に不足していたりすれば耐震性能は下がり、地震に弱い危険な家になってしまいます。

またやたらに窓を付ければ、断熱性能が下がり、外気の影響を受けやすくなるので、冬に寒く、夏に暑いため冷暖房費がかさむのはもちろん、家庭内事故の要因として多いヒートショック現象を起こしやすくなります。

間取り変更リフォームでは構造と性能を確認

リフォームの間取り変更によって地震に弱い家になってしまったケースには、壁量不足、補強不足、補強方法の誤り、耐震のバランスの崩れ、1階と2階の壁の位置のズレ、増築部と母屋の接合部の強度不足、接合方法の誤りなどがあります。

正しくリフォームすれば、間取り変更を行っても安全です。壁を動かすリフォームをする際は、耐震や構造をしっかり確認してくれるリフォーム会社に依頼しましょう。

窓を新しく設置する場合は、耐震性能の確認と共に、断熱性能が高い窓を選びましょう。その際は、その部屋の窓をすべて同様に性能向上させることが快適のポイントです。性能が低い窓を残すと、そこに結露が集中することがあります。

窓の断熱化については下記でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

リフォームだからこそ陥る悪い間取りに注意

今回ご紹介したのは、新築時には考えられないようなことでも、リフォームでは起きてしまうことがある危険な間取り、事故を起こしやすい悪い間取りの例です。他にもリフォームだからこそ起きてしまう、収納や窓、子ども部屋での失敗があります。詳細は下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧下さい。

家の中にある様々な危険については下記でもご紹介しています。
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