ポルシェ/ポルシェ

ポルシェ マカンは「安くてもきっちり“ポルシェ”」

安くても、ポルシェらしい走りを追求したポルシェ初のコンパクトクロスオーバーSUV・マカン。前評判と期待の高さが初期のセールスを支え、プロダクトの仕上がりの良さがさらなる評判を呼ぶというベストセラーのパターンに。その魅力とは?

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

ベストセラーのパターンに完璧にハマった

ポルシェマカン

ポルシェ初のコンパクトSUV。911や918スパイダーのデザインテイストを受け継ぎ、スポーティなスタイルに。ボディサイズは全長4680mm×全幅1925mm×全高1625mm(マカン)


ひょっとするとカイエンを上回る大ヒット作になるかも…。弟分、ミッドサイズのクロスオーバーSUV マカンの評判がすこぶる良い。前評判と期待の高さが初期のセールスを支え、プロダクトの仕上がりの良さがさらなる評判を呼ぶという、ベストセラーのパターンに完璧にハマった。

人気の理由に検討のつかない、もしくは人気そのものに乗り遅れてしまった人は、こんな風にマカンを評する。「安いからね! どうせアウディかなんかと一緒なんでしょ?」。
ポルシェマカン

センターコンソールが前に向けて上昇、低いシートポジションと併せ、ステアリングとシフトの位置が近いスポーティなデザイン


「安いから」は当たっている。2L 4気筒ターボのマカンで639万円~というから、新車のポルシェで最も安い。2シーターのボクスター最廉価モデルより約50万円も安い。5ドアSUVで実用性も高い。そんなポルシェが売れないわけがない、という見立ては正しい。

「アウディかなんかと一緒」というのは、クルマに詳しい人が間違いがちなウンチクである。もうちょっと詳しい人でも、せいぜい、「アウディQ5のプラットフォームを使っているんでしょ?」、と、訳知り顔をするのが関の山だろう。で、間違っている。一緒では、決してない。

確かに、3割かそこら共通する設計はあるだろう。けれども、それらはほとんどパフォーマンスとは無関係なパートである。ポルシェらしい性能を要求するために、パワートレインやシャシーなど主要なコンポーネンツは、専用設計なのだ。ポルシェはあくまでも、ポルシェらしい走りを、できるだけ安価に提供できるよう、頑張っただけである。その思想は、スポーツカーをできるだけ安く提供したいと願った、フェルディナントの想いに通じる。

そう、ポルシェもまた、高級車では決してない。スポーツカーである。スポーツカーはある程度高くつく。だから、高級かどうかは後付けの理屈であって、目指したものじゃない。高機能なメルセデス・ベンツがいつしか高級車になったのと、それは同じ理屈だ。

ポルシェマカン

国内ではベーシックなマカン(639万円)、3L V6ツインターボのマカンS(744万円)、3.6L V6ツインターボのマカン ターボをラインナップ


マカンの魅力は、ポルシェの金看板を汚すこと無く、ちゃんとスポーツカーらしく走ってくれる点だ。もちろん、ボクスターのように、911のように走ると言ってるわけじゃない。人気のSUVカテゴリーにあって、飛び抜けて気持ちのいいドライバビリティがあって、その質感がポルシェらしいものだと言っている。たとえば、ボディとフロアのがっちりとした感覚や、エンジンフィールとダイレクトに結びつく加速フィール、ニンブルなのに食いつきのいい四肢のさばき、などである。

ポルシェマカン

マカンとSには中央部にアルカンターラを用いたコンフォートシートを標準装着。ターボにはアダプティブスポーツシートを装備した

ポルシェマカン

リアシートは4:2:4の分割可倒式を採用、多彩なシートアレンジを可能とした

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