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ソフトボールに多い怪我の内容

ソフトボールにはどのような怪我が多いのでしょうか。今回は、ソフトボールで起こりやすい怪我について、小学校、中学校、高校の各学校期別に見てみたいと思います。

北 徹朗

執筆者:北 徹朗

ソフトボールガイド

『学校の管理下の災害〔平成26年版〕』(独立行政法人日本スポーツ振興センター/2014年11月発行)に掲載されているデータを小学校、中学校、高校の各学校期別に再編集し怪我の発生状況、多い怪我の種類、負傷の部位などについて見てみたいと思います。

小学生におけるソフトボールに関わる怪我の発生状況

<怪我が起こる状況>(全886件>
・体育(保健体育):55.3%
・体育的クラブ活動(学校行事を除く特別活動):17.5%
・競技大会、球技大会(学校行事):0.5%
・課外活動(体育的部活動):26.7%

<怪我の種類>(全1091件)
・挫傷、打撲:50.4%
・骨折:27.6%
・捻挫:12.3%
・脱臼:3.1%
・靭帯損傷、断裂:2.0%
・挫創:2.2%
・歯牙破折:1.2%
・擦過傷:0.6%
・裂創:0.5%
・刺創:0.1%

<怪我の部位>(全1120件)
・上肢部:37.6%
・顔部:36.6%
・下肢部:13.2%
・体幹部:4.4%
・頭部:7.5%
・その他:0.7%

小学生の怪我では、「挫傷、打撲」(50.4%)が最も多く、次いで「骨折」(27.6%)や「捻挫」(12.3%)が多く見られます。怪我が起こりやすい部位では、腕や肘、手といった「上肢部」(37.6%)や「顔部」(36.6%)の怪我が多く見られます。「顔部」の怪我の中でも、「眼部」の怪我の割合が最も高いようです。

下記に、『学校の管理下の災害〔平成26年版〕』に紹介されている怪我の一例をご紹介します。

<負傷の事例>

(小6年・女)
体育の時間に、ソフトボールのクラスマッチを行っていた。本児童はピッチャーをしていて、バッターが強打したボールが、本児童の顔面左側に当たった。
(小6年・男)
体育の授業中に、運動場でティーボール(ベースボール型ゲーム)をしていたところ、打席にいた児童が振った金属バットが手から滑って飛び、約5メートル左後方にいた本児童の口元を直撃した。


中学生におけるソフトボールに関わる怪我の発生状況

<怪我が起こる状況>(全10265件>
・体育(保健体育):35.7%
・体育的クラブ活動(学校行事を除く特別活動):0%
・競技大会、球技大会(学校行事):0.9%
・課外活動(体育的部活動):63.4%

<怪我の種類>(全15930件)

・挫傷、打撲:38.8%
・骨折:33.5%
・捻挫:18.1%
・靱帯損傷、断裂:3.3%
・脱臼:3.1%
・挫創:1.7%
・裂創:0.5%
・歯牙、破折:0.4%
・切創:0.2%
・刺創:0.2%
・擦過傷:0.2%
・熱傷、火傷:0.03%
・割創:0.03%
・その他:0.02%

<怪我の部位>(全17094件)

・上肢部:39.6%
・顔部:24.6%
・下肢部:21.9%
・体幹部:7.6%
・頭部:5.3%
・その他:1.0%

中学生の怪我では、「挫傷、打撲」(38.8%)が最も多く、次いで「骨折」(33.5%)や「捻挫」(18.1%)が多く見られます。怪我が起こりやすい部位では、腕や肘、手といった「上肢部」(39.6%)や「顔部」(24.6%)の怪我が多く見られます。「顔部」の怪我の中でも、「眼部」の怪我の割合が最も高いようです。怪我の種類や内容の詳細などは、小学生と傾向は同じでした。

下記に、『学校の管理下の災害〔平成26年版〕』に紹介されている怪我の一例をご紹介します。

<負傷の事例>

(中1年・男)
教科担任が巡回指導をする授業形態の体育の授業中に、2コートに分かれてソフトボールのゲームをしていた。相手チームの生徒が打席に立ってボールを打ち、一塁に走ろうとしてバットを戻した際に、キャッチャーをしていた本生徒の口にバットが勢いよく当たった。
(中3年・男)
体育の時間、ソフトボールの授業で「トス・バッティング」をしていた。本生徒は、グループの中で守りの役をしていた。隣のグループの生徒がバッティングをして球を打ったところ、ボールが山なりに高く上がって飛び、本生徒の右側方から眼に当たった。
(中2年・女)
ソフトボールの練習中にボールを受け損ね右手中指を痛める。
(中3年・女)
練習試合中に相手選手の打ったライナーを両手で取りに行き、ボールがグローブに入る前に右手中指先端に当たった。


高校生におけるソフトボールに関わる怪我の発生状況

<怪我が起こる状況>(全6828件>
・体育(保健体育):39.7%
・体育的クラブ活動(学校行事を除く特別活動):0%
・競技大会、球技大会(学校行事):5.2%
・課外活動(体育的部活動):55.1%

<怪我の種類>(全9830件)

・挫傷、打撲:35.2%
・骨折:31.4%
・捻挫:18.8%
・靱帯損傷、断裂:5.1%
・脱臼:4.4%
・挫創:2.8%
・裂創:0.7%
・擦過傷:0.6%
・切創:0.6%
・歯牙、破折:0.4%
・刺創:0.1%
・熱傷、火傷:0.04%
・その他:0.02%
・割創:0.01%

<怪我の部位>(全10731件)

・上肢部:33.4%
・下肢部:30.6%
・顔部:19.7%
・体幹部:10.4%
・頭部:4.9%
・その他:1.1%

高校生の怪我では、「挫傷、打撲」(35.2%)が最も多く、次いで「骨折」(31.4%)や「捻挫」(18.8%)が多く見られます。怪我が起こりやすい部位では、他の年代と同様に「上肢部」(33.4%)の怪我が多く、次いで膝や足関節といった「下肢部」(30.6%)の怪我が多く見られます。


ソフトボールの怪我の年代的な違い

このように、ソフトボールで起こりやすい「怪我の種類」に年代的な差は見られませんでしたが、「怪我の部位」を見ると、小中学生では「上肢部」と「顔部」が多い傾向が見られます。高校生になると「顔部」の怪我の割合が減少し、「下肢部」への怪我の割合が多くなっています。


ソフトボールでは上肢部の怪我が起こりやすい

共通して言えることとして、ソフトボールには「上肢部」(手、指、肘、腕など)の怪我が起こりやすく、怪我の種類として「挫傷、打撲」が起こりやすいということです。また、特に小中学生ではボールの直撃などによる「眼部」の怪我が多く、プレーの際にはこれらの怪我の特徴をよく確認しておくことが肝心です。

上肢部の中でも手、手指部の怪我が多い

上肢部の中でも手、手指部の怪我が多い



応急処置と救急対応環境の確認を

万が一、怪我が発生した場合に応急処置ができる環境を整備(救急バッグの確認など)することや、救急連絡対応をマニュアル化しておくことが重要です。さらに、打球を胸に受け心室細動を起こす事故も報告されていることから、プレーの際にはAEDの場所を確認しておくことも大切でしょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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