疲労回復法/お風呂・温泉を使った疲労回復法

長風呂で肌がカサカサに?医師が教える肌に優しい入浴法

【温泉療法専門医が解説】長風呂で肌もきれいになると考え、お風呂でお肌のケアを行っている方は多いのではないでしょうか。しかし、お肌のためにと思って行っている入浴法も、時に逆効果になることがあります。お肌に良い正しいお風呂の入り方を解説します。

早坂 信哉

執筆者:早坂 信哉

医師 / お風呂・温泉の医学ガイド

長風呂はお肌にいいのか

正しい入浴法で美肌を作りたい


お風呂でお肌のケアを行う方も多いのではないでしょうか。しかし、お肌のために……と思って行っている入浴法も、間違った方法では逆効果になることがあります。今回は、お肌に良い正しいお風呂の入り方をご紹介しましょう。

<目次>  

美肌のために1時間の長風呂はダメ?

「休みの日にはお肌のために、しっかりお風呂入ることにしているの」と言って1時間以上お風呂に浸かっている知り合いの女性がいます。「肌へのうるおいのため」とのことで、スマホをはじめ様々な防水グッズを浴室に持ちこんで長い時間入浴をするのです。このように、美容に熱心な女性が美肌のために長風呂をする話を時々耳にしますが、 実際医学的にはどのような影響があるのでしょうか?
 

長風呂は肌にダメージを与えてしまうことも

実は、美肌のためには長風呂はNGです。その理由は皮膚の構造と保湿成分セラミドにあります。皮膚は表皮と真皮の2層になっていて、その薄さはわずか2mmです。特に表皮の一番表面の角層といわれる部分はわずか0.02mmですが、角質細胞が何重にも積み重なっている構造になっていて、セラミドなどの「角質細胞間脂質」がその隙間を埋めています。この角層がバリアとなって、体の外の有害な物質が体の中に入り込まないようになっています。また、この角層は20~30%程度の水分を含んでいますが、これはセラミドが保湿成分として働いているためです。

長風呂をすると、皮膚表面の皮脂やこのセラミドが流失するのです。皮脂やセラミドが流失すると、角層が水を保つことができなくなり、さらには肌の内部の水分まで失うこととなります。結果として、うるおい肌どころか、逆に乾燥肌になってしまう可能性があります。「お肌のために」と頑張っていた長風呂が、その思いとはうらはらに肌にダメージを与えていたということにもなりかねません。
 

お風呂でのうるおいもすぐ逆戻り?

お風呂上がりには、適切なケアをしないと皮膚の水分量が入浴前よりも減る、という研究結果があります。もちろん、入浴直後は皮膚水分量がぐっと増え、しっとりした感じになるのですが、それは一時的な変化で、10分もすると入浴前と同じレベルまで戻ります。さらに入浴後30分もすると入浴前よりも水分量が少なくなるのです。肌のうるおいのために、ということで行っていた入浴も、うるおうのは入浴直後の一時的なものということです。
 

本当の「お肌に優しい入浴法」とは?

以上のようなことを考えると、お肌に優しい入浴法としては
  • 38~40℃
  • 長くても15分程度
で上がることをお勧めしています。

もっと熱いお湯を好まれる方もいるかもしれませんが、それはお勧めできません。42℃以上の熱い湯では、ヒスタミンというかゆみの原因物質ができたり、皮膚のバリア構造に変化をきたし、肌に悪い影響を与える可能性があるからです。

保湿成分を含む入浴剤を用いることも対策の1つです。このような入浴剤を使うことで入浴後の皮膚水分量の減少を抑えることができるという研究があります。

また、お風呂上がりはセラミドなどの保湿成分を含む美容液で素早くケアすることも大切です。お風呂を出て10分で皮膚水分量が入浴前に戻るのですから、うるおいを保つ意味では10分以内にケアするのが1つの目安になります。最近では「インバスケア」と呼ばれる浴室内で保湿ケアするための化粧品やローションなども販売されていますので、これらの商品も活用するといいでしょう。

さらに、最新の研究では体の内側からセラミドを増やすことのできる食品も分かってきました。生芋こんにゃくには「こんにゃくセラミド」が含まれており、食べると体内で分解吸収され、身体が新たにセラミドを作るのを助けてくれます。生芋こんにゃくを1日100g食べるのが目安です。

お風呂には肌の汚れをおとし、血流を良くするなど、メリットもいっぱいありますが、過ぎたるは及ばざるがごとし、です。何事もやりすぎは禁物ですね。お肌に優しい適度な正しい入浴を心掛けましょう。

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