運動と健康/運動のメリット・運動時間・強度・頻度

運動してもやせない! 見直しのポイントは?

運動を続ける理由は人それぞれ。「体を動かすことが好き!」という人であれば、自然と長く続けられると思いますが、「運動不足だと体に悪そうだから」「運動しないとやせないから」という人は、運動が目的のための手段となってしまい消極的になりがち。さらには「運動してもやせない」となると、どうしていいかわからなくなりますよね。今回は運動してもやせないと感じている人へ、運動の見直しポイントをご紹介します。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

 エネルギー収支は赤字ですか?

デスクワーク

デスクワークが多いと活動量が減りがち

「運動をすればすぐにやせられるかも」と期待しながら運動をしている人は案外多いかもしれません。しかし運動で消費するエネルギー量以上に、食事などで摂取するエネルギー量が多いと、余ったエネルギーは身体に脂肪として蓄えられます。運動をしていても、普段の生活では車で移動することが多い、またデスクワークが中心であまり歩かないという人は全体的な活動量が少なくなり、結果的には食事などから得られる摂取エネルギーが、消費エネルギーを上回ってしまうことになります。

まずは食事量をチェックし、毎日どのくらいエネルギーを摂取しているのかを把握しましょう。家計簿はいつも黒字であることが理想的ですが、運動によって体重や体脂肪を減らしたいと考える人にとっては、エネルギー収支は赤字であることが大前提なのです。

なおエネルギー量の単位として用いられているものがカロリーです。摂取エネルギーと摂取カロリーはほぼ同じ意味と理解してよいでしょう。

食べないとやせない

メタボ

食べなくても体重は減らないなんて・・・

エネルギー収支の帳尻をあわせる手段として、食事から得られる摂取エネルギーを少なくすることで、体重や体脂肪を減らしたいと考える人もいるでしょう。しかし食事を抜いたり、あまりにも極端な食事制限を行い続けたりすると、食事によるエネルギー消費量が抑えられてしまうので、体内で熱を産生する量が減ってしまい、結果的に身体が冷えて逆に体重や体脂肪が増えてしまうことになります。食事はエネルギーを摂取するだけではなく、食べたものを消化・吸収するために多くのエネルギーを消費するのです。

カロリー表示が同じ程度の食品を食べる場合、食べやすく消化吸収の早いものは、エネルギー消費が低く抑えられます。たとえば同じカロリーをもつパンよりもご飯のほうが噛み応えもあり、より多くのエネルギーを使います。「食べない=やせる」ではないということを理解しておきましょう。

基礎代謝の再確認を

基礎代謝とは心臓を動かしたり、体温を維持したりといった身体の機能を正常に保つために必要なエネルギー量のこと。1日の総消費エネルギーの約7割が基礎代謝であり、残り約3割が生活活動代謝であると言われています。基礎代謝の中で最もエネルギーを消費する組織が筋肉です。運動によって筋肉量が増えると、運動そのものでエネルギーを消費するだけではなく、基礎代謝量もアップすることになります。筋肉量の多い人は睡眠中であってもより多くのエネルギーを消費するため、いわゆる「やせやすい体」と言えるでしょう。

しかしこうした基礎代謝は加齢や運動不足などによって、ゆるやかに減少していくことが知られています。たとえば20代のときに食べていた食事量(摂取カロリー)を、40代になっても同じように食べていると、基礎代謝量が落ちている分だけやせにくいということになります。運動による筋肉量は適度な負荷やエクササイズによって、維持もしくは増加することが知られており、運動を続けることは基礎代謝量の減少を抑えることにつながります。年齢を重ねれば重ねるほど、より運動を続けていくことが望ましいと考えられるのです。

その運動は大きな筋肉を動かしていますか?

アームカール

全体を使った運動がよりやせやすい

エネルギー収支や食事、基礎代謝量の見直しのほかにもチェックしたいことがあります。それは運動の内容が適切なものかということ。ハードな運動ならいいというものでもありません。大きな筋肉を使ってより全体を動かすようにしているかということです。椅子などに座って行う運動よりは、立って全身を動かす運動にしたほうが運動効果は高まりますし、上半身が固定される自転車での運動よりはウオーキングやジョギング、水泳などの全身運動がよりエネルギーを消費します。また特に背中周りには褐色脂肪細胞といって、体脂肪をより燃焼させる細胞が多く存在しますので、背中や肩甲骨周辺をより大きく動かすような動作を取り入れるのも体脂肪をより燃焼し、消費エネルギーを増やす一つの方法です。

運動の効果は月単位で考える

メリハリボディ

筋肉をつけてメリハリボディを目指そう

運動の効果がすぐに目に見えると続ける意欲もわくというもの。しかし運動効果が実感でき、筋肉量が増えるには2~3ヶ月はかかると言われています。もちろん一日行っただけでも運動の効果はありますが筋肉痛以外に実感できるものがないため、顕著な変化がみられず、ガッカリしてしまうかもしれませんね。

筋肉量が増えるといわれるとついボディビルダーのイメージを持たれるかもしれませんが、筋肉は脂肪でたるんだ体をキュッと引き締める役目を果たしていると思ってください。特に女性はホルモンの関係で、よほどトレーニングと食事の自己管理をしない限り、ボディビルダーのような体型にはなれないのです。また筋肉量が増えると基礎代謝が上がるだけではなく、体重もやや増える傾向にあります。これは脂肪と筋肉が持つ質量の違いであり、引き締まった体は脂肪でたるんだ体よりも重いということを知っていると、やみくもに「やせない」「体重が減らない」と嘆く必要もなくなります。筋肉量の増えた体をチェックしてみると体脂肪量は減っていることが多いと思います。

運動はエネルギーを消費するという短期的な作用とともに、筋肉量を増やして基礎代謝を上げるという長期的な効果も期待できるものです。「運動しているけれど、なぜかやせない」と困っている方は、いつもの運動や生活習慣を振り返ってみてはいかがでしょうか。思い当たるものがあればぜひ改善策を実践してみてくださいね。

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