演劇・コンサート/演劇関連インタビュー

演劇cafe vol.13 橋本さとしさんインタビュー!

演劇ガイド・上村由紀子が”今、会いたい舞台人”にインタビューする【演劇cafe】。 第13弾はジョン・ケアード氏演出『十二夜』にマルヴォーリオ役でご出演の橋本さとしさんです。初日を間近に控えた某日、お稽古場でお話を伺って来ました。ジョン・ケアード氏との出会いや4月に開幕する主演作『シャーロック ホームズ2 ~ブラッディ・ゲーム~』についてのトーク…意外なエピソードも飛び出しましたよ!

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド

3月8日(日)に日生劇場で初日を迎える舞台『十二夜』。シェイクスピア”最後の喜劇”を『レ・ミゼラブル』オリジナル版の演出家としてもお馴染みのジョン・ケアード氏が立体化する注目作です。本作で執事・マルヴォーリオ役を演じる橋本さとしさんに都内某所のお稽古場でお話を伺って来ました。

『十二夜』のマルヴォーリオは
1人で喜劇と悲劇…両方のファクターを担う人物


橋本さん

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)

――今回『十二夜』の演出をなさるジョン・ケアードさんとは『ベガーズ・オペラ』『ジェーン・エア』『レ・ミゼラブル』に続いて4作目のタッグですよね。

橋本
おお、そんなになりますか! 『ベガーズ・オペラ』や『ジェーン・エア』に関しては再演も一緒にやらせて貰っているので、随分長い時間一緒に居るような気がします。

――先程お稽古を拝見したのですが、かなりの”濃度”を感じました。

橋本
濃いですねえ(笑)。『十二夜』は勿論喜劇なんですが、可笑しさだけではなく色々な要素が詰まった一筋縄でいかない作品だと思います。特に僕が演じるマルヴォーリオはずっと浮かれていて、一人で喜劇の部分を背負っているという所もありつつ、最後に独りぼっちになって悲劇の方に行ってしまうという役どころなので演じていて面白いですね。

――マルヴォーリオは周囲からイジられたり遊ばれたりと、これまで橋本さんが演じられてきたキャラクターとはかなり色合いが違う気がします。ジョンさんとはマルヴォーリオに付いてどんなディスカッションをされたのでしょう?

橋本
そうですね、確かにここまでイビリ倒される役は初めてです(笑)。そういう意味ではとても新鮮です。自分から何かを発するというよりも、まるでトマトや生卵の様に周囲から飛んでくる言葉をズタボロになりながら受けていく事でマルヴォーリオがより滑稽に見えるのかな、とも思います。

ジョンとは”マルヴォーリオ”についてというより”僕が演じるマルヴォーリオ”についてこれまで話をしてきました。ジョンはマルヴォーリオという役にとても深い思い入れと拘りを持ってくれていて、稽古に入る前に『十二夜』の主軸とは違うサブストーリーの部分でマルヴォーリオこそが”隠れた主役”なのだと。一人で色々な要素を持っているとても難しい役だ、と伝えられました。

橋本さん

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)


「そうか、そんなに難しい役なんだ」と最初は思ったのですが、すぐに発想を切り替えて難しい=大変と捉えるのではなく、まずは素直に表現していこうと。ジョンはヒントを沢山与えてくれますので、そのヒントを全て自分の中に取り込んで稽古で見せ、徐々にナチュラルな表現をしていければと思いました。稽古中にジョンが顔を真っ赤にして笑ってくれると「よし!」ってガッツポーズになりますよ(笑)。

ジョンはユーモアのセンスも凄いので、役者が狙って狙って笑いを取りに行くと反応してくれないんですね。でも必死に突き詰めた末に出た表現が役のキャラクターとぴったり合うと凄く嬉しそうに笑ってくれて……稽古場ではジョンの笑顔を見たくって頑張っているという所もありますね。そしてそれが劇場でお客様が見せて下さる笑顔に繋がって行くんじゃないかと。

『レ・ミゼラブル』オーディションでジョン・ケアード氏に言われた言葉とは!?  (次ページ)

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