労務管理/給与規定・賃金規定の基礎知識

カンタン!源泉徴収票の数字の意味をおさらいしよう

毎年12月に会社からもらう源泉徴収票。書かれている内容が分からない方や、見ていない方もいると思います。消費税などには敏感でも、天引きされている所得税にはあまり関心がない方も多いのではないでしょうか。そんな方が少しでも所得税に関心を持ってもらえるよう、源泉徴収票に書かれている数字の意味について、わかりやすく説明します。

渋田 貴正

執筆者:渋田 貴正

企業経営のサポートガイド

源泉徴収票とは

毎年最後の給与や賞与の明細といっしょに渡されるA4の1/4くらいの大きさの紙、それが源泉徴収票です。社員が多い会社ですと、給与明細や源泉徴収票は社内システムからダウンロードする方法を採っていることもあります。

そもそも源泉徴収票とは一体何なのでしょうか。それは一言でいうと、会社が社員のために作ってくれた所得税計算の結果票です。個人事業主の場合は、売上や経費を記帳して、利益を計算して確定申告書を作成する、といった作業が必要ですが、会社員の場合は、会社で給与支払額が分かるので、会社側でも所得税が計算できるのです。

しかし、社員の所得税を計算するにあたって、会社にも分からないことがあります。それは社員の家族構成や、生命保険料などの支払い状況等々です。特定の要件を満たす家族がいる場合や、生命保険料の支払いをしている場合などは、一定額を給与の額から差し引くことができますが、こうしたことは社員に聞かなければ分かりません。こうした所得税計算のための必要事項を調査して、会社側で、社員の所得税を計算し、精算するプロセスを年末調整といいます。こうして計算された内容が源泉徴収票の形で社員に渡されるのです。

源泉徴収票の様式は、平成26年分については以下のようになっています。マイナンバーの導入にともなって、この様式は変更されることが予定されていますが、今回は、現行の様式(2015年2月現在)をベースにご説明します。実際に数字を計算してみたい方は、お手元に源泉徴収票と、1月から12月に支払われた給与や賞与の明細、そしてもしあれば会社に提出した年末調整関連の書類のコピーをご用意ください。
源泉徴収票

平成26年の源泉徴収票のイメージです。


実際に税額を計算してみよう

それでは実際に税額を計算してみましょう。
まず、ここに記入されている『源泉徴収税額』332,500円が、今年の所得税納税額になります。この源泉徴収税額は、毎月1月から12月の間に受け取った給料や賞与から天引きされた所得税の合計から、最後の給与支払い時に、年末調整で戻ってきた額を引いた金額(年末調整でさらに税金を引かれた場合は、その額を足した額)と一致するはずです。

次に、この『源泉徴収税額』332,500円の計算のベースとなった数字をチェックしていきましょう。源泉徴収税額の横に並んでいる金額を左から順に説明していきます。

まずは支払金額7,000,000円についてです。この金額が、いわゆる年収と呼ばれる金額で、社会保険料などの控除をする前の給与額面の合計(通勤手当が支給されている場合は、その額は引いた額)です。ちなみに、この支払金額が2,000万円を超える場合には、年末調整は行われませんので、確定申告を行うこととなります。

その横の給与所得控除後の金額5,100,000円。支払金額から、給与所得控除というものを引いて算出される金額です。給与所得控除とは、会社員のためのみなし経費の額と考えていただければ分かりやすいです。個人事業主が売上から経費を引けることと公平性を保つため、会社員の給与額面から一定割合を控除できるようになっているのです。実際には、支払金額が決まれば、国が用意した算出表を用いて自動的に計算されます。
給与所得控除額

この表を使って給与所得控除額を計算します。


そして最後の所得控除の額の合計額1,300,000円。ここが、年末調整を行う際に最も重要な部分です。所得控除とは、給与の額から引いていいですよと決められている金額で、先ほどの給与所得控除とは異なり、個人事業主も同様に控除が受けられます。

>>>次ページに続きます。
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