大学生の就職活動/就職活動での自己分析

若者におそれず経験してほしい「キャリアの脱線」とは

働く人のキャリアは、実はまっすぐひかれた1本のレールを進むということがほとんどなく、大抵は何度か脱線をしながらもその進んだ道で新たな発見や出会いと巡り会い、気づいたら「天職」ともいえる1つの目的地にたどり着いていることの方が多い。今回は若者のキャリアデザインにとって重要な「脱線」について解説する。

小寺 良二

執筆者:小寺 良二

ライフキャリアガイド

一度レールから外れてみることで見つかることがある

最近は「キャリアデザイン」という言葉が高校や大学などのキャリア教育の場で使われることが多いが(実際ガイドも大学の授業で使っているが)、個人的には少し現実離れしている言葉かなと思う。自分が将来やりたいことや働きたい場所をあらかじめ計画し、その計画通りの人生を歩むことを奨励しているかのように聞こえるからだ。
レールから外れることでキャリアの新たな発見がある

レールから外れることでキャリアの新たな発見がある



人の人生なんてそんな簡単にデザインできるわけがないし、デザインしたところでその計画通りにいかないことの方が多い。しかしもともと描いていたデザインと違うからといって、自分のキャリアをつくっていくことを諦めてしまうのはもったいない。

ガイドは本来若者のキャリアデザインとは事前に計画した1本のレールを進むだけではなく、時々脱線しながら新たな道を模索していくべきだと考えている。そんな「キャリアの脱線」を前向きに活かしていくことで、最終的には天職との出会いや夢の実現につながることが多いからだ。


「キャリアの脱線」の種類

「キャリアの脱線」には大きく分けて2つの種類がある。

1つは「意図的な脱線」だ。

これは「自分の意思を持って自らハンドルを切り、今までのレールから外れてみること」だ。例えば「1年間大学を休学し、海外へ留学すること」や「今まで勤めていた会社から、まったく別の業界の会社へ転職すること」など、自分の意思で異なる方向へ進むことを「意図的な脱線」という。自分の意思で決めた道なので、モチベーションなどは高いかもしれないが、新しい道を進む上での困難は当然多いだろう。

そして2つ目は「偶発的な脱線」だ。

これは「計画された偶発性理論」(プランドハップンスタンス理論)というスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提案したキャリア論で「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」という考え方に近い。要は「自分以外の何かしらの要因によってレールから外れること」だ。もっともわかりやすい例は入社後の配属だ。営業の仕事がやりたいと思って入社したのに、配属が経理だった場合は自分の意思とは異なるレールを進むことになる。自分の意思以外で道が決められてしまうのでモチベーションも下がってしまうことが多いが、実際には自分ではまったく予期しなかった気づきや成長を得られることもある。

このように「キャリアの脱線」には“意図的に”決断されるここと、“偶発的に”引き起こされる場合とがある。しかしどちらの脱線も、今までは異なるレールに進むことを前向きに受け止め、そのレールで得られることを吸収していくことで、結果的には自分の天職や夢の実現につながることがあるのだ。

ではどうすれば「キャリアの脱線」を天職や夢の実現につなげることができるのか?

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