介護/介護休暇・休業の手続き・申請

介護休業給付金の内容・対象者・申請方法・支給額

介護休業制度を利用した場合、休暇中の賃金については法律で定められておらず、勤務先からは支払われないことも珍しくありません。これを補うのが「介護休業給付金」です。内容、対象者、支給額の計算方法と目安、申請方法等を解説します。

横井 孝治

執筆者:横井 孝治

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介護休業給付金とは

介護休業給付金とは

介護休業給付金は最長93日間にわたって、介護休業中の賃金低下を補填してくれる、労働者の強い味方です

介護休業給付金は、介護休業制度を利用したことで賃金が著しく低下した人に対して、雇用保険から支払われる給付金です。

残念ながら、介護休暇を利用した分については、介護休業給付金の対象とならないので注意しましょう。

介護休業給付金の概要は、下記の通りです。

■介護休業給付金の対象者
下記のすべてに該当する場合、介護休業給付金の対象となります。

  1. 要介護状態(負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護する労働者
  2. 雇用保険の一般被保険者で、週20時間以上働いている
  3. 介護休業開始前2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上ある
  4. 介護休業期間中の1カ月ごとに、休業開始前の1カ月あたりの賃金の80%を超える賃金が支払われていない
  5. 事前に事業主に対して介護休業の予定を申し出て、了承をもらっている

※パートやアルバイトの場合も、期間の定めのない労働契約で働いている人は対象となる。

介護休業給付金は、あくまで介護休業制度を利用した場合に減った賃金を補填するためのものなので、下記の理由で介護休業が認められていない人については対象となりません。

  1. 日々雇用されている
  2. 期間を定めて雇用されており、下記のいずれかに該当する
    ・勤続1年未満
    ・休業予定日から93日以内に雇用関係が終了する
    ・1週間の所定労働日数が2日以下
  3. 下記のいずれかに該当し、労使協定で対象外と定められている
    ・勤続1年未満
    ・休業予定日から93日以内に雇用関係が終了する

また介護休業制度が利用できても、65歳以上の場合は、雇用保険の高年齢継続被保険者となるため、介護休業給付金の支給対象にはなりません。

■介護休業給付金の支給期間と支給要件
対象家族1人につき、通算で93日まで支給を受けることができます。

また、介護休業開始日から起算して1カ月ごとに区切った場合(区切られた1カ月の間に介護休業終了日が含まれる場合は、その介護休業終了日まで)の各期間(支給単位期間)について、下記の要件をすべて満たしている必要があります。

  1. 支給単位期間の初日から末日まで継続して雇用保険の一般被保険者資格を有している
  2. 支給単位期間に、就業していると認められる日数が 10日以下(介護休業の終了などにより、1カ月に満たない支給単位期間については、就業していると認められる日数が10日以下であるとともに、介護休業による全日休業日が1日以上あれば良い。また、この全日休業日には、日曜日・祝祭日のような事業所の所定労働日以外の日を含む)

■介護の対象となる範囲
  • 配偶者
  • 父母、子、配偶者の父母
  • 同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫
■介護休業給付金制度を利用できる回数
対象家族1人につき、要介護状態になるごとに1回

ただし同じ対象家族について、要介護状態が異なることにより再び取得した介護休業についても介護休業給付金の対象となります。この場合、同じ対象家族について受給した介護休業給付金の支給日数の通算が、93日までが限度となります。詳しくはハローワークによる「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」のページをご覧ください。
 

介護休業給付金の支給額の目安はいくらぐらいか・計算法

介護休業給付金の支給額は、原則として「休業開始時賃金日額×支給日数×40%」となります。

休業開始時賃金は、まず「賃金日額」を算出してから「賃金月額」を計算することになります。それぞれの算出方法は下記の通りです。

  • 賃金日額……休業前6カ月間の賃金を180で割る
  • 賃金月額……賃金日額に30を掛ける

賃金月額には上限と下限が決められています。これらは毎年8月1日に変更されるのですが、2017年8月1日~2018年7月31日の間は、賃金月額が492,300円を超える場合は「492,300円」、74,100円未満の場合は「74,100円」となっています。

介護休業期間中に事業主から支払われる賃金により、介護休業給付金の支給額は下記のようになります。

  • 事業主から支払われる賃金が無い場合……賃金月額の67%
  • 事業主から支払われる賃金が13%以下の場合……賃金月額の67%
  • 事業主から支払われる賃金が13%以上、80%未満の場合……賃金月額の80%-実際の賃金
  • 事業主から支払われる賃金が80%以上の場合……介護休業給付金の支給無し

例えば、賃金月額20万円の人が介護休業を取得した場合、介護休業給付金の支給額はそれぞれ下記の通りです。

  • 事業主から支払われる賃金が無い場合……200,000円×67%=134,000円
  • 事業主から支払われる賃金が「1万円」……200,000円×67%=134,000円 ※13%以下
  • 事業主から支払われる賃金が「12万円」……「20万円×80%」-12万円=4万円 ※13%以上、80%未満
  • 事業主から支払われる賃金が「16万円」……介護休業給付金の支給無し ※80%以上

介護休業給付金の申請方法・支給申請書

介護休業給付金の申請は、事業主が行います。

労働者の側からは、介護休業を事業主に申請するタイミングで、同時に介護休業給付金の申請を行ってもらうように依頼しましょう。

労働者から申請の依頼を受けた事業主は、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」および「介護休業給付金支給申請書」に、介護対象家族の住民票などの必要書類を添付し、介護休業終了翌日から2カ月経過した月の末日までに、会社の所在地管轄のハローワークへ提出することになります。ただし「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を先に提出する場合は、介護休業を開始した翌日から原則10日以内に行う必要があります。

介護休業制度や介護休暇に関しては、「介護休業制度の内容・対象者・申請方法」「介護休暇の内容・対象者・申請方法」をあわせてお読みください。
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