話し方・伝え方

協力してもらえる人になるには?支援を引き出す話し方のコツ

協力してもらえる人、もらえない人の違いは人柄や才能だと思っていませんか? 実は協力してもらえる人になるためには6つステップがあります。協力したい気持ちのメカニズムと、タイミングにあわせたコミュニケーションについて解説します。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

協力してもらえる人になるには……頑張り屋さんほど要注意!

コミュニケーションの改善で協力される人に

コミュニケーションの改善で協力される人に

「相手に悪い」と変な気遣いをして頼めない、「自分が頑張ればなんとかなる」と抱え込んでしまう、「気づいてくれないかな」と期待しつつ言い出せない。頑張り屋さんほど、人に依頼をすること、協力を引き出すことが苦手な傾向があります。

よりよい成果をあげるためにも、協力されやすいコミュニケーションを試してみませんか?

協力したくない人を振り向かせるのは難しいです。でも「協力する気持ちはあるけれど行動に移せていない多くの人」に動いてもらうのは、思っている以上に簡単です。協力してもらうためには、どのタイミングで、どんなコミュニケーションをとるのがいいのか。順を追ってみていきましょう。
 
<目次>
 

協力してもらえる人になるための6つのステップ

察してもらうのではなく声をあげることが大切です

察してもらうのではなく声をあげることが大切です

まずは、人が協力にいたるまでを6つのステップにわけて解説します。どのタイミングでどんなコミュニケーションをしたらいいか確認していきましょう。

【STEP1 気づいてもらう
気づかなければ協力もできません。まずは声をあげることが大切です。

【STEP2 必要性を感じてもらう
気づいた後は「手助けの必要がある」と感じてもらわなければなりません。頑張り屋さんは「あの人は大丈夫だろう」と思われやすいので要注意。相手から申し出てくれるのを待つのではなく、自分から協力が必要なことを伝えます。

【STEP3 自分が協力しなくてはと自覚してもらう
「誰かが協力するだろう」この心理が協力を阻む大きな壁の一つです。「誰か手伝ってください」ではなく「○○さんの力が必要です」といった、個人に向けたコミュニケーションに変換してお願いしましょう。

【STEP4 具体的な方法を伝える】
どうやったら助けられるのか。その手立てを知らない場合、行動に移すのが難しくなります。頼む時には、具体的な協力方法を知っている人を選ぶか「××をお願いできませんか?」と、協力してほしい内容を伝えてください。

【STEP5 損得の計算が吹き飛ぶ心のこもった依頼をする
実際に動く前に、協力することの損得を無意識に計算してしまうケースも多いものです。シャイな人、頼みベタな人は要注意。言葉にするのはもちろん、非言語情報も駆使して、しっかりお願いしましょう。

【STEP6 協力してもらっても、そうでなくても感謝を伝える
ここまでのSTEPを経て、実際に協力する、もしくは、しないということになりまs。協力してくれた場合、感謝の気持ちをしっかり伝えるのはもちろんですが、協力を得られなかった場合も検討してもらったことに対して感謝を伝えるのを忘れずに。

断る時、相手は無意識にあなたの態度を観察しています。頼む時ばかり丁寧で、断られたらイヤな顔をしてしまうことのないよう注意しましょう。断られた時の態度は、次回に繋がる大切なポイントでもあります。
 

協力したいのに行動にいたらないケースとは

協力する気持ちがあるのに、行動にいたらないケースもあるあ

協力する気持ちがあるのに、行動にいたらないケースもある

協力するつもりはあるのに、行動にいたらないことがあります。どうしてそうなってしまうのか、代表的な二つのケースをご紹介しましょう。

まずは、他者の行動に影響を受けてしまうケースです。このメカニズムがわかる、おもしろい実験をご紹介しましょう。

アンケートに答えてもらうという名目で、3人に同じ部屋で作業をしてもらいます。作業している時に換気口から、白い煙を出し、人がどんな行動をするかを観察。他人からの影響はあるのか観察します。(Latane&Darl,1970)

この実験では、3人のうちの2人にサクラをお願いして、煙を見ても何もしないように指示しておきます。すると残りの1人は煙ガモクモク出てきているにも関わらず、責任者に報告するなどの行動をとらなかったそうです。部屋の中に1人だけの時は75%の人が報告したのに、サクラがいる時はなんと90%の人が無反応。

火事かも知れない。でも単なる換気のトラブルなのかも知れない。こういった確信が持てないケースでは、人から影響を受け、協力行動にいたらないことがよくわかる実験だと思います。

もう一つの代表的なのは、誰かがやるだろう思ってしまうケースです。

助けが必要だと感じる場面に遭遇しても、それを見ている人が他にもいる場合「誰かが協力するだろう」と思いやすいもの。特に、本当に助けが必要なのか曖昧な場合には「本当に必要なら誰かがやるだろう」といった気持ちになりやすいのです。

皆さんが思っているより、真実は優しいと筆者は考えます。あなたが困っている時、手助けを申し出ない人も、「協力してもいい」と思っているかも知れません。

状況判断が曖昧だと、躊躇してしまうのが人間の心理。頼むというのは勇気がいることかも知れませんが、優しい気持ちの人が躊躇している可能性も考えて、わかりやすく頼んでみませんか?
 

多くの協力が必要な時のコミュニケーション

多くの協力が必要な場合は安心して協力できる環境をつくる

多くの協力が必要な場合は安心して協力できる環境をつくる

専門家の研究によると、協力する人の割合が一定以上になると「協力しよう」と思う人も増えていき、逆に協力する人が減ると「協力しないほうがいいかも」と思う人が増えてしまうのだそうです。

ガイドはコンサートやミュージカルなどによく出かけるのですが、スタンディングオベーションをするか、しないかで躊躇してしまうことがあります。どちらかというと立ちたいタイプなのですが、なぜか「皆さんが立ったら立とう」とグズグズしてしまうのです。周りの人も同じ気持ちでしょうから、思いきって立てばいいと思うのですが、人とは不思議なものです。

多くの人に協力をして欲しい場合は、こうした躊躇する気持ちを考慮したコミュニケーションが必要になります。

まずは一人一人に声掛けして行動を促す。協力してくれている人がたくさんいることを伝える。大勢の助けが必要なケースでは「自分も協力していいんだ」と安心してもらうコミュニケーションが大切です。
 

協力してもらえる人になって、結果を出すために

協力してくれない人=冷たい人ではありません。協力してもいいという暖かい気持ちがあっても、行動できない人は意外に多いものです。思い立ったが吉日。変に遠慮をするのはやめて、協力されやすい体質を目指してはいかがでしょうか。

管理職などリーダーの人にこそ、依頼型のコミュニケーションはオススメです。指示、命令だけでは人は動けません。うまくいかない時には、タイミングを見計らった依頼型のコミュニケーションを試してみてください。

一人でできることは限られていますが、多くの人の力を借りれば可能性はどんどん広がるものですよ。

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