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海外に投資する2つのルートはオンショアとオフショア

海外に投資している日本人は少なくないのですが、自分がどんなルートを選んでいるかを体系的に知る必要があります。国内法で守られて投資するオンショアと素手で海外に飛び込むオフショアがあります。自分のニーズと実力に見合ったルートを選んでください。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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海外に投資するのは当然かつ必然

日本人は日本の未来に懐疑的です。自国内に成長性の高い投資機会がないと嘆く声もよく聞きます。私はそんな悲観していませんが、それでも「投資は海外へ」というのは必然の流れです。

私たちは否応なくグローバル経済の中で生きているのですから、もっと海外に投資をした方がいいに決まっています。ただ、残念なことに、海外に対する投資方法について、包括的、普遍的な解説書がないために、投資家の言葉遣いは混乱しています。それを整理するために、海外投資の種類と違いについて、ご案内します。

海外に投資する2つのルート

海外に投資するには、二つのルートがあります。大きな違いは、国内の金融機関を経由するかしないかです。

一つは、国内の金融機関を経由して海外に投資する方法(これを、内外取引あるいはオンショア投資と呼ぶことにします)。もう一つは、国内の金融機関を経由せずに、個人が海外の金融機関に直接アクセスして海外に投資する方法(これを、外外取引あるいはオフショア投資と呼ぶことにします)。

私の体験から申し上げると、この二つを体系的に理解している人が、ほとんどいません。オンショアでやっている人は、オフショアがあることを知らない。オフショアでやっている人は、オンショアがあることを知らない。どちらの場合も、海外に投資するにはこれしかないと思い混んでいるところが、残念です。

オンショア投資とは

国内の金融機関を通じて、海外に投資します。通貨は円、税制は日本の税制、法律は日本の法令が適用されます。

具体的には、投資信託、ETFなど、証券会社などの金融機関が販売している商品を使う場合です。金融商品というと、株式や債券が一般的ですが、最近では不動産(リート)、商品(コモディティ)、エネルギー(MLP)などに投資することも可能になっています。

日本国内から、世界全体に計画的な分散を計って、公認の投資信託やETFなどを組み合わせて運用する方法を、特別に「国際分散投資」と呼んでいます。

オンショア投資のメリットとデメリット

オンショアのメリットは安心。デメリットはコストです。

オンショアの安心は、国内の法令により投資家として保護されること。たとえば、詐欺、横領、虚偽などがあれば、国家権力は加害者を捜査し、処罰します。法令違反があれば、基本的には損害も補填されます。

海外に投資しながらも、国内の法令や行政の保護を受けられることの見返りとして、コスト高があります。

国内の金融機関を間にかんでいる分だけ、コストがかかります。国内の金融機関は、日本政府の厳しい規制の下にありますから、いろいろな経費を、投資家に転嫁しないとやっていけません。たとえば、厳格な監査を求められます。徹底した投資家保護にも費用がかかります。情報の保護やセキュリティにも高い負担が必要なのです。

オフショア投資のメリット

国内の金融機関を経由しないで、直接海外とつながる方法が、オフショア投資です。具体的には、国内で登録されていない海外のファンド投資や、海外の不動産を買う、などの投資行動を指します。

オフショアのメリットはコストと多様性。デメリットは言語と国内法で保護されないことです。

海外の政府は、日本ほどに厳しい規制をしていないので、金融機関には余計なコストがかかりません。介在する金融機関が少なくなることも、コスト安に寄与します。タックスヘイブンと呼ばれている、香港、シンガポール、ケイマン、ルクセンブルクなどはオフショア投資の受け皿として、税率と規制の低さを売り物にして、投資マネーを引き寄せています。

金融機関は日本で営業するときのような過剰な設備投資を必要としないので、投資家が負担するコストが安くなります。規制が少なく、マーケットが広いですから、無数の金融商品があります。選択肢は無限といえます。

日本の金融機関を経由しないので、日本という国家の持つリスクから縁が切れることをメリットと考える人もいます。ハイパーインフレ、財政破綻、円暴落などで、日本の未来を絶望視する人には、救世主のごとくです。

オフショア投資のデメリット

しかし、デメリットは国家の保護を受けられないこと。国内法が及ばないことですから、完全な自己責任となります。金融庁は、オフショア商品をまったく監督していませんし、だまされた投資家を保護する責任もありません。まったく、法令の場外で自分の力で戦える人だけが取り組むべきです。もちろん、英語力は必須です。

オフショア投資なのに、日本語の資料を使って国内で紹介されていることがあります。これは、海外資産を日本人に紹介するエージェントやあっせん業者がいるからです。問題は、正規の登録をしてないもぐり業者がオフショア投資を勧誘していることがあるので、注意が必要です。必ず、業者登録と監督官庁を確認してから、その正当性を確認してください。

オフショアに出て行ったのに、わざわざ日本人にだまされて、お金を失うという事件が後を絶ちません。

それから、脱税目的でオフショアを使うことはNGです。昔と違って、海外の資産も税務当局は把握しています。セコいことを考えてはいけません。

為替リスクを負うか、避けるかという選択

海外に投資するときに共通のリスクは、円に対する外貨交換レートの変動(為替リスク)です。

よくある勘違いとして、オンショアでは為替リスクがなく、オフショアでは為替リスクがあると思っている人がいますが、これも違います。オンショアで為替リスクをヘッジしなければ、為替リスクを負うことができますし、ヘッジ付き商品で投資すれば為替リスクと無縁でいられます。

オフショアでは、為替リスクをヘッジする方法が、非常に限られていますので、一般的には為替リスクを喜んで負う人(円安を予想する人)だけが取り組んだら、いいと思います。

行き当たりバッタリで投資していると、とんでもない迷路にはまりますから、ご注意ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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