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理学療法士試験対策!肺機能検査の簡単記憶法

肺機能検査の問題は、各項目の数値問題やグラフを示す問題が多いですが、スパイログラムに関する問題はグラフ自体を簡易的に覚えることで正答率を格段に引き上げる事ができます。

野田 卓也

執筆者:野田 卓也

理学療法士試験ガイド

理学療法士の国家試験専門分野において、主に内科系疾患で出題される肺機能検査の問題。今回は、その中でもスパイログラム(呼吸曲線)に関する問題に焦点を当てた勉強法をお伝えします。まずはその前に、スパイグラムに関する情報をおさらいしていきましょう。

スパイログラムとデータについて

スパイログラムとは、呼吸機能を測定する機器であるスパイロメーターによって測定され記録したグラフのことです。スパイロメーターによる測定方法は、呼吸の吸気時に可能な限りの吸気を行い、すべての息をできるだけ早く吐き出すという単純なものです。

この際、安静時呼吸の吸気位と最大吸気の吸気位の差により、予備吸気量がわかり、安静時呼吸の呼気位と最大呼気の呼気位の差から、予備呼吸気量がわかります。その他にも、1秒間に吐き出された量は「1秒量」と言われ、1秒量を努力性肺活量で割った値が「1秒率」と呼ばれています。

上記を含め、肺機能における各データは以下のようなものがあります。
  • 1回換気量(VT) :安静呼吸で出入りするガスの量
  • 予備吸気量(IRV) :安静吸気位と最大吸気位との差
  • 予備呼気量(ERV) :安静呼気位と最大呼気位との差
  • 最大吸気量(IC):予備吸気量+1回換気量
  • 残気量(RV) :最大呼出時に肺に残っているガスの量
  • 機能的残気量(FRC) :残気量+予備呼気量
  • 肺活量(VC) :予備吸気量+1回換気量+予備呼気量
  • 全肺気量(TLC) :最大吸気位における肺ガス量(肺活量+残気量)
過去に上記のデータに関連して出題された国家試験問題は、以下のようなものがあります。

問: 誤っているのはどれか。(2007年理学療法士国家試験より)
  1. 残気量   =全肺気量-肺活量
  2. 肺活量   =予備呼気量+最大吸気量
  3. 予備吸気量 =最大吸気量-1回換気量
  4. 予備呼気量 =全肺気量-最大吸気量
  5. 機能的残気量=予備呼気量+残気量

この答えは4.になりますが、パッと答えを出せない場合はこれからお教えする方法が役に立ちます。では、一緒に見ていきましょう。

簡単!スパイログラムを図表化して記憶する方法

まずは五本の線を縦に描きます。
スパイログラムの勉強1

線は綺麗に描く必要はありませんが、できるだけ長さと線の間隔は均等にそろえましょう。

右側に"吸呼"と縦に書きます。これは一番右の線だけでよいです。
スパイログラムの勉強2

吸呼の書き方としては、縦線の半分から上の部分に"吸"半分から下の部分に"呼"といった位置関係が望ましいです。

横線を描いていきます。
スパイログラムの勉強3

横線を描く順番は自由ですが、茶色、ピンク、水色の順番で描いていくと覚えやすいです。

ここから各枠に当てはまる名称を入れていきます。
スパイログラムの勉強4

一番左の枠に「全肺気量」を入れます。以下、全てに共通しますが、慣れてくれば、全肺気量と文字を全て入れる必要はありません。「全肺」といった形で略しても自分が理解できていたら問題ありません。

スパイログラムの勉強5

「残気量」は左から2番目と4番目の行の一番下に入れます。

スパイログラムの勉強6

「肺活量」は左から二番目の上の枠に入れます。

スパイログラムの勉強7

「一回換気量」は一番右の行の上から二番目の枠に入れます。

スパイログラムの勉強8

「予備吸気量」と「予備呼気量」を入れますが、この時に先に右側に描いた"吸呼"が役に立ちます。上が"吸"で下が"呼"つまり、上が「最大吸気量」下が「最大呼気量」となるのです。

スパイログラムの勉強9

右から二番目に「機能的残気量」を入れます。

スパイログラムの勉強10

最後に「最大吸気量」を入れて完成です。

では、完成した表と過去の国家試験に出たスパイログラフを見比べてみます。

問: 図の肺気量分画で機能的残気量はどれか。(2006年理学療法士国家試験より)
スパイログラムの勉強11

スパイログラム自体が問題になった場合、完成した表と照らし合わせるといとも簡単に解く事ができます。


正解⇒2

この問題の場合であれば、先ほどの表が描ければ、問題が1から5まで全て答えなさい。という問いであっても対応は可能であると思います。

その他にも、肺活量から予備吸気量を引いたものはなにか?といった混乱しやすい文字式も、表を見ればすぐに対応できます。前回の股関節の靱帯作用に続き、ほんの数回の練習でマスターできると思いますので、是非、お試しください。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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