不動産売買の法律・制度/不動産売買ワンポイントアドバイス

水平投影面積とは?法面や傾斜部分を含む場合の求め方

不動産では「水平投影面積」という用語がよく使われます。土地や建物の大きさを表すときの基本となりますから、水平投影面積とは何かをしっかりと理解しておくようにしましょう。(2017年改訂版、初出:2014年12月)

執筆者:平野 雅之

【不動産売買ワンポイントアドバイス No.061】

水平投影面積の図解

水平投影面積は斜面や凹凸がないものとして算出する


土地や建物の面積を表すときには「水平投影面積」が用いられます。登記や建築、売買の際にもこれが基本となりますから、しっかりと理解しておきたいものです。

水平投影面積とは、斜面や凹凸を考慮せずに土地や建物がすべて水平だとみなして算出する面積です。もちろん地下から見上げることはできませんから、一般的に「真上(の上空)から見た面積」と表現されることも多いでしょう。

ほぼ平坦な土地であればそれほど問題は生じませんが、法面など傾斜部分を含む土地については十分に注意しなければなりません。

たとえば、間口が10メートル、奥行きが10メートルの正方形で全体に30度の均一な傾斜がある土地の場合、その「表面積」は計算上115.47平方メートルほどになりますが、土地面積として表示されるのはあくまでも水平投影面積としての100平方メートルです。

したがって、斜面を含む土地を造成して平らにしても、逆に段差をつけても、それだけで土地面積が変わることはないのです。

建築基準法による「敷地面積」や不動産登記法による「地積」は、この水平投影面積がそのまま使われます。ただし、幅が4メートル未満の道路に接する敷地のセットバックなど、建築確認のうえで敷地面積に算入されない部分が生じる場合もあるので注意しなければなりません。

その一方で、建物の面積も同じく水平投影面積で表されますが、建築基準法における建築面積や床面積、および不動産登記法における床面積は「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」となります。

つまり、建築基準法も不動産登記法も建物については「壁心」であり、壁の厚さの半分ずつ狭く測った水平投影面積ですから、「建物を真上から見た面積」とは少し異なります。

さらに、建ぺい率の計算対象となる建築面積(建坪)の場合はいくつかの緩和規定があるため、単純に真上から見たときの外周による面積とは、かなりの差が生じることもあるでしょう。

ちなみに、壁の内側で測る「内法」で表されるのは、不動産登記におけるマンションなど区分所有建物の各部屋の床面積だけです。この場合も部屋の中に段差などがあるかどうかに関わらず、水平投影面積によって算出されます。


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