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自動車写真家・小川義文が語る「愛車の美しい撮り方」

車好きなら一度は「愛車をカッコよく写真に収めたい」と考えたことがあるでしょう。特殊なテクニックは必要ありません。ちょっとしたコツや見方で、見違えるような愛車の写真を撮ることが可能になるのです。

小川 義文

執筆者:小川 義文

車・写真撮影ガイド

車の撮影で最も重要なこととは

200mmの望遠で撮影。主役である車を際立たせるためには、背景はできるだけシンプルなほうがいいでしょう。その場の状況が分かる程度に単純化された背景を選んでください。

200mmの望遠で撮影。主役である車を際立たせるためには、背景はできるだけシンプルなほうがいいでしょう。その場の状況が分かる程度に単純化された背景を選んでください。


「車を撮る場合、いちばん難しいことは何ですか?」と質問されることが数多くあります。車の撮影でもっとも重要なことは、背景の選び方です。できるだけシンプルにして、被写体である車を際立たせること。そして、何よりもその車の持つイメージ(キャラクターやデザイン)に合う雰囲気なのかを考えて背景を選ぶことです。

風光明媚な場所でなくても、街や建物を背景にしてもいいと思います。日常感があってリアルな車のある風景になるはずです。さらに、車の置き方や車を照射する太陽の向きなど、ちょっとした見方で愛車をカッコよく撮ることが可能になります。まずは、愛車にとって最適な背景を見つけることです。もしも、最適の場所が見つからない場合は、カメラのフレームに侵入してくる看板、路面の白いペイント、電柱や電線を避けるだけでもスッキリとした印象の写真になるはずです。

「斜め前から」の撮影は、いちばん難しい

車の撮影は、ほとんどの人が「斜め前から」ともいうべき角度から撮る場合が多いと思います。じつは、この「斜め前から」は、車の全体像を撮るうえでいちばん難しいアングルなのです。車は真正面、真横、真後から見るとすごく端正で破綻のない造形ですが、それはその面のみが美しいのです。それぞれの面を結ぶための面は複合的になり、その中でバランスのとれた角度を見つけ出すことがもっとも難しくなります。カーデザイナーのスケッチも、真横から描きはじめることが多いと思います。車の撮影に慣れていなければ、真横から撮りはじめると車のフォルム、メカニズムのレイアウトなどを確認でき、おのずと撮るべきポイントが見えてくるはずです。

ほぼ真横から50mmのレンズで撮影しました。フレームに広がる建築物が都会的なイメージを出しています。車を横から見ると、デザイナーの車に対する想いが伝わってくるようです。

ほぼ真横から50mmのレンズで撮影しました。フレームに広がる建築物が都会的なイメージを出しています。車を横から見ると、デザイナーの車に対する想いが伝わってくるようです。


実際に愛車を撮る場合、車からできるだけ離れて、ズームが出来るレンズなら望遠側で撮ると、美しいフォルムを捉えることができます。それにともなって背景のボケ味も感じられるはずです。もちろん広角レンズで撮るというのもありです。遠近感が誇張され、画面端に引っ張られるような歪みが発生しますが、これもひとつの写真的な面白さがあります。あえてそのパースの歪みを活かした構図で撮ると、迫力のある写真が撮れます。

28mmレンズの歪みを効果的に使うことでオープンカーの躍動感が出せたと思います。背景に広がる大自然もいいですね。「車のある風景」を撮るという意識が、味わい深い車の写真に発展させるコツです。

28mmレンズの歪みを効果的に使うことでオープンカーの躍動感が出せたと思います。背景に広がる大自然もいいですね。「車のある風景」を撮るという意識が、味わい深い車の写真に発展させるコツです。


どちらも車の持つイメージと背景の風景が折り重なり合えば、カッコいい愛車の写真になるはずです。写真撮影は技術や感性など、さまざまな要素が絡んできますが、「こう撮るべき」という答えはありません。いろいろ試してみることです。是非、奇跡の一枚を撮って、愛車との時間を楽しいものにしてくださいね。


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