ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

言葉の力。『物語の生まれる場所』大宮エリーに聞く

マルチな才能で活躍中の大宮エリーさんが、新しい形のエンタメに挑戦します!音楽とセッションしながら、自ら朗読や即興、漫談をパフォーマンス。「ライブは会場との一体感がいい。観客の皆さんの気持ちが伝わってくる」とエリーさん。一回きり、一夜かぎりでしか聴けないものがたり…体験してみませんか?

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

ミュージカルガイド


宣材写真

撮影:網中健太

作家、脚本家、映画監督、演出家、CMディレクター、CMプランナーとしてマルチな才能を発揮する大宮エリーさんが、イベント『物語の生まれる場所』を上演します。音楽とセッションしながら、自ら朗読や即興、漫談をパフォーマンス。まさに言葉と音楽が紡ぎ出す、新たなエンタメへの挑戦といえるでしょう。大宮さんに、話を伺いました。


言葉と音楽の心温まるフュージョン

——『物語の生まれる場所at銀河劇場』を上演しようと思われたきっかけを教えてください。
2012年にPARCO MUSEUMで、コミュニケーションをテーマにしたインスタレーションの個展「思いを伝えるということ」展を開催しました。それが人気になり、次から次へと個展をやってほしいというオファーがあり、去年は8個展を手掛けて。そうしたら出し尽くしてしまったのか、心が疲れてしまい、もう作るのをやめたんです。最後の個展には2万5千人も来てくれたのに、自分が病んでしまった。そんな時、ミュージシャンの友達から、一緒にライブやったら皆からいいグルーヴをもらえて、お互いにハッピーになれるんじゃない?と提案されました。そんなことできるかしら?と思いつつ、今年4月から40人規模のレストランでライブを始めたんです。

——それはどんな形のライブですか。
文章を朗読して曲をつけてもらったり、私がヴァイオリンを弾いてセッションしたり。最初は面白い話ばかりして、言葉と音楽でセッションして皆を笑わせていたのですが、だんだん真面目になっていき、いい話といい音楽で観客の皆さんがシクシク泣くように。あれ?言葉は伝わるんだと実感しましたね。皆が泣いている声を聞くと不思議なんですが、何が哀しいのか、その人の辛さとかが伝わってくるんです。わかるような気がして。

自分の文章なのに自分も泣けてきちゃう。場が1つになるんです。きゅっとなる。だから感じられることってあって。それがどんどん面白くなって、そのうち200人位の会場…HOTEL CLASKAやPARCO MUSEUMでも上演するようになりました。Twitterで宣伝すると、日曜日に200人くらいが集まってくださるんです。いつも15分で即完売。「チケットとれなかったです」という声もあり、不思議な200人がいるものだなと(笑)。そこで、もっと大きめの会場である銀河劇場にチャレンジしてみようという話になりました。

曲を聴いて湧いたイメージを元に、
語りながら、頭でウンウン考えている。大変です

——具体的に、どんな内容になりそうですか。
今考えているのは即興、本の朗読、漫談ですね。

——即興?
ミュージシャンに何か音楽を弾いてもらって、それを聴きながら、その場で物語を作ります。一番、大変なんですよ。

——即興で物語を作るんですか?まず、それがお出来になるエリーさんが素晴らしい!
いやいや、できていないと思います(笑)。お客さんは、笑ったり拍手してくださるけど、自分は作家としてこれでよかったのかな?と毎回、落ち込むんです。

以前、HOTEL CLASKAの話を作ってほしいと言われて、即興でおおはた雄一君とやって。彼に「雨に唄えば」みたいな軽い曲でお願いと言ったのに、なぜかヘヴィメタ系の曲(笑)。で、これ無理無理…と中断。やり直しもありなのが、ライブの良さですね。演歌みたいなのを弾かれて、北国からCLASKAにやってきた人の話をつくりました(笑)。

——ミュージシャンの方に挑まれているような。
遊ばれているんですよ(笑)。事前に決めておくところ、決めないところと両方あって。でも決めておいてもお客さんの顔を見て、変えることも。それがまた楽しいんです。今日は暗めの曲からやってみようとか、笑わせてほしい雰囲気だから面白いことを先にやろうとか。バッサリとやらないこともあります。

即興では、曲を聴いて湧いたイメージを元に、話します。「月に一度、必ずHOTEL CLASKAを訪れる女がいた。彼女は必ず201号室を頼む。それには理由があった」…と語りながら、頭の中でウンウン考えている。大変です。
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