食と健康/魅力の食材・成分(肉・魚介・野菜・フルーツなど)

栄養豊富で消化にもよい「麩」、活用方法も無限大?

精進料理に使用され、和食の伝統食材である「麩」。インターネット上でも、料理のカテゴリを超えた使い方が提案されるなど、注目度の高い食品です。日本では100種類以上もあるといわれる「麩」の魅力についてご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

麩は、小麦粉からつくるグルテン

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すき焼き麩。ふわふわ柔らかく、お年寄りや子どもにも食べやすい。

麩(ふ)とは小麦粉(強力粉か中力粉)に、塩と水を加えて練り上げた後、水洗いします。するとでんぷんが取り除かれて、パン生地のように弾力の強いグルテンというタンパク質が残ります。これを蒸せば(茹でる場合も)「生麩」、焼いて乾燥させたものが「焼き麩」と呼ばれます。

もともと味にはほとんど主張のないものですが、栄養面では優れている部分があります。

同じ小麦強力粉やその他の加工品と比べて、焼き麩はタンパク質が多く含まれていますし、タンパク質を構成するアミノ酸は、グルタミン酸などが多く含まれています。そしてマグネシウムや鉄、亜鉛などのミネラル、ビタミンB1、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などのビタミンB群なども多く含まれています。

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麩のタンパク質は消化吸収が優れているため、消化機能が弱い高齢者や子どもにもむいています。また保水性もあるので満腹感も得やすく、油脂類などを使わなければ低カロリーに仕上がります。

麩の美容効果?  過度な期待は禁物!

麩には、非必須アミノ酸のプロリンが多く含まれます。このアミノ酸はコラーゲンを生成する上で必要なアミノ酸。コラーゲンはお肌のハリや潤い、また骨強度に影響を及ぼすと考えられているため、麩も美容に役立つという話題をよく見かけます。ただ、科学的に十分検証されているとはいえないので、過度な期待はしないようにしましょう。

確かにプロリンは、生体内ではコラーゲンの主要成分として多量に含まれ(その半分はヒドロキシプロリンとして存在する)ますが、体内ではグルタミン酸から生合成されます。またコラーゲン生合成には、ビタミンCなども必要です。

コラーゲンについては、動物実験等で分子量の大きなコラーゲンペプチドが吸収されるという報告がありますが、ヒトでも同様に吸収・代謝に結びつくのかどうか、またその皮膚の状態を改善する効果があるかなどの機能性については、十分に証明されているわけではなく、今後さらに研究を進める必要があります。

食品としての麩のおいしさや、食べやすさ、使いやすさを見直し、食卓で楽しんでいただけたらと思います。ただし麩は、小麦が原料ですから、小麦がアレルゲンでアレルギー症状が出る人は、気をつけてください。

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