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投資するなら知っておきたい米国の三大トピック

日本の株価も、世界の金融環境の中で動いています。そこに決定的なインパクトを与えているのがアメリカの政治と経済です。2015年を展望する意味で、アメリカの政治経済事情を点検してみました。投資をしている人なら、米国事情に無関心ではいられません。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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衆議院選挙や消費税増税などの国内事情が株価を動かしていますが、世界全体の金融情勢には、やはり米国事情が決定的な影響を与えます。2015年の投資環境を予測する意味で、アメリカの現状と課題を整理してみました。

政治的には債務上限問題と2016年の大統領選挙、財務的には政策金利の上昇時期、そしてマーケットの現実の各種指標評価という3点があります。

政治課題としての債務上限問題

まずは政治課題です。大統領選挙の中間に行われる中間選挙では、野党の共和党が期待通りの躍進を遂げました。オバマ大統領は窮地に追い込まれました。

そこで心配されるのは、米国国債の債務上限問題です。このことは、2013年には、政府機能の停止という異常事態を招き、実体経済にダメージを与えました。そのときは、債務上限を2015年3月15日までいったん取り払う法案でしのぎました。その期限である3月15日が近づいています。再び不毛な対立が米国議会で起きるとすると、世界の株価にも影響を与えます。

債務上限問題をクリアできれば、いよいよ2016年の大統領選挙が視野に入ってきます。

2016年大統領選挙をひかえて

オバマの属する民主党は大きな政府を主張します。政策的な資産再配分で、「結果としての公平」を求めています。次の大統領候補には、ヒラリークリントンで決まりです。知名度は高いものの、オバマの8年間で醸成された民主党政権への反発は、大きな壁となるでしょう。特に、オバマは銀行規制を強めてきたので、富裕層や金融関係者は共和党に期待しています。

小さな政府にとどまりながら、規制を無くして自由な経済活動を認めるのが共和党です。大統領選挙で共和党が勝てば、ブッシュ以来8年ぶりの政権となります。アメリカ経済の復調に拍車がかかり、マーケットも活気づく可能性があります。しかしいまだ、ヒラリーのような、本命候補がまだいません。

大統領選挙の前年において、米国株式の年間騰落率がマイナスとなった年は一度もありませんでした(1950年以降)。平均騰落率は約18%と平年を上回るパフォーマンスを出しています。来年も期待できるのでしょうか。

政策金利はいつ上げる?

2013年の5月以来、FRBの発する声明に投資家筋は神経質になってきました。それは、量的緩和(QE3)の縮小が国際マネーの逆流を招く怖れがあったからです。しかし、2014年11月以降はFRBによる証券購入が停止する見通しも発表されて、関係者はQE3の終了を冷静に受け止めています。量的緩和の終了の次に来る正常化は、政策金利を上げる決断です。

FOMC(米連邦公開市場委員会)は「相当な期間」低金利を維持することが表明していますが、「相当の期間」とは何を意味するのか?それは2015年の半ばから後半とする説が有力です。米国で利上げが実施されれば、超低金利という異常な金融環境の終わりの始まりとなるわけで、メーケットにも強い衝撃を与えるはずです。世界の投資家は、その日がいつ来るのを固唾をのんで待っている状況です。

来年3月の債務上限問題、そして利上げの時期、2016年の大統領選挙と3つの大きなトピックを解説してきました。最後に、アメリカ経済の現実を確認しましょう。

アメリカの現状を示す指標

ファンダメンタルズは良好です。

最悪期には10%を超えた失業率も今では6%を切る水準まで落ち着きました。2015年には、完全雇用水準といわれる5.5%に近づくと予想されています。経済成長を支える個人消費と住宅着工も好調です。2014年8-10月期の小売売上高は予想を上回るプラスの1.5%でしたし、NAHBの住宅市場指数は、予想の55を上回る58ポイントとなりました。

リーマンショック以来、個人消費も住宅投資も順調に回復している証拠があふれています。また、原油価格の低下が消費者にとっては恵みとなることも予想されています。

いずれにしても、欧州も日本も景気回復が遅い中で、アメリカへの期待は大です。今年のクリスマス商戦に行方に関心が集まっています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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