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イノベーションが株価を上げる!

近視眼的な投資ばかりしていると、株式や企業の本質を見失いがちです。株価がなぜ上がるのかという疑問に対する、本質的な回答を自分なりに持っていることが賢明です。21世紀の今であれば、株価がイノベーションで上がるという視点をお勧めします。株式は投機の対象ではなくて、技術革新の象徴なのです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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株価はなぜ上がりますか?

株価は右肩上がりです。さて、その根拠は?

株を買う人がいるから、景気がよくなるから、人口が増えるからなどと、いろいろな理由が言われています。私が、いま特に喚起したいのは、「イノベーションがあるから株価は上がる」という真実です。

イノベーションでなぜ株価が上がりますか?

イノベーションとは、技術革新のこと。

私たちが身近にイメージできるイノベーションには、リニア新幹線、治療新薬、3Dプリンター、GPS付き携帯電話などがあります。

いずれの新技術も、人の生活をより快適に、より楽しく、そしてより生産的にしてくれています。消費者は喜んでお金を払ってくれます。新技術は付加価値を生み、それが販売されることで、経済規模が拡大します。おのずと株価も押し上げるわけです。

では、これから世界ではどんなイノベーションに注目したらよいのでしょうか?

シェールガス革命

アメリカで始まっているシェールガス革命は、すでに現実の成果をあげています。シェールガス、シェールオイルの生産が進み、米国内でのエネルギー価格を押し下げました(15ドルから3ドルまで急落)。このエネルギーイノベーションにより、米国は今後100年間は枯渇しない天然ガスを手にすることができるようになりましたし、2~3万人の半永久的雇用を生むと言われています。

関連する投資先としては、ガスを採掘するエネルギー会社ばかりでなく、周辺の輸送インフラ企業にも及びます。ガス・オイルの生産量の増加に、輸送能力が追いついていない状況で、運搬にかかわるパイプラインの敷設や鉄道など周辺企業への投資が拡大しています。

ちなみに、DIAMシェール株ファンドは、2013年6月の設定来で、60%というリターンをあげています。

新薬開発

人間は豊かになるほどに健康に対してお金を使うようになります。ですから、21世紀はヘルスケアが有望なセクターと言われています。中でも、新薬を開発する技術は、人の生死に影響を与えます。成功すれば1000億円を超える売り上げを作るので、インパクトの強いビジネスでもあります。

最近では、前立腺がんに有効な新薬を開発したMedivation Corporation(米国)やC型肝炎の新療法を開発したAbbVie (米国)などが、注目されています。これまで治療法がなかった病気が克服できて、人間が健康に寿命をまっとうできる時代が来ようとしています。

国際投信のグローバル・ヘルスケア&バイオファンドは、そのリターンにおいて国際株式(ヘッジ無し、日本を含む)のカテゴリーの中で、この5年間でつねに5位以内をキープしています。

農業技術

増え続ける人口に十分な食糧がゆき渡らない不安があります。砂漠を緑化されて、世界中で食糧が作れるために必要なのは、農業技術とバイオテクノロジーのイノベーションです。

これまでの不毛地帯であった砂漠や寒冷地でも、生産性の高い農業が展開されるようになるかもしれません。穀物の種子や遺伝子に対する研究も進んでいます。生産技術だけでなく、流通やマーケッティングにおいても、農業セクターには改善の余地があります。

米国のETFですが、パワーシェアーズ DB アグリカルチャー・ファンドは、農業セクターのパフォーマンスを反映しています。

航空宇宙

2014年10月に国際宇宙ステーションに向けて打ち上がられた宇宙輸送船が爆発しました。この事故で注目されたのは、ロケットの開発や運用が、民間企業に委託されていたということです。NASAとの間で、国際宇宙ステーションに物資を輸送する契約を結んでるのは、Orbital Sciences Corporationという会社でした。

航空宇宙産業というと、軍需や防衛をイメージされるかもしれませんが、近年ではこの民間分野は循環的な回復局面初期にあります。宇宙旅行のチケットは英国のVirgin Galactic社からすでに発売されています。これからも、数年にわたって航空宇宙分野の企業は業績が拡大すると想像されます。

フィデリティの航空宇宙防衛関連株投信(為替ヘッジなし)では、直近の3年間で153%というリターンをあげています(2014年9月末)。その組み入れ銘柄の上位には、United Technologies CorporationやBoeing Inernationalなどが名を連ねてします。

株価の目先の上がり下がりに目を奪われないで、長期的なイノベーションが実るのを待つつもりで、投資をするのも楽しいものです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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