企業のIT活用

クラウドソーシングで上手に発注するポイント

通常のアウトソーシングでも言えることですが、発注時に最も大事なことは、要望の明確化です。プロジェクト方式を中心に、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)の観点をふまえ、3つの方式別に発注時のポイントをまとめました。併せて、クラウドソーシングの場合は、顔の見えない相手に仕事をお願いし、基本的にはオンライン上ですべての取引が完結することになりますので、受注者選考や発注後の注意点もお伝えします。

長谷川 渉

執筆者:長谷川 渉

企業のIT活用ガイド

発注時のポイント

通常のアウトソーシングでも言えることですが、どのクラウドソーシングサービスを利用するにせよ、発注時に最も大事なことは、要望の明確化です。Q(品質)、C(コスト)、D(納期)の観点から、依頼内容を具体化しましょう。

以下、プロジェクト方式、コンペ方式、タスク方式に分けて、発注のポイントをまとめてみました。

1)プロジェクト方式

発注から納品までのプロセスは概ね、依頼内容をサイトに掲載して受注者を募集→受注者を決定→契約・詳細打ち合わせ→受注者から納品、となります。

募集するのは、成果物ではなく、受注者になりますので、簡単な設計書や仕様書があれば公開するなど、受注側に仕事の内容を具体的にイメージしてもらえるように努めましょう。依頼内容が具体化されていればいるほど、より詳細な提案(見積り)を受けることができますし、こちらが欲しいものと、実際に出来上がってくるものが近くなります。

品質に関しては、例えば絶対に必要な機能と、予算の範疇で反映できれば有難い機能などを記載し、コストに関しては、納期と仕様によって見積が変わってきますので、予算(目安)と上限を、納期については、希望の納期とデッドラインを明記します。

発注側としては、高品質・低コスト・短期納品を希望するのは当然のことかもしれませんが、求める成果を得るには、QCDのバランスが大切です。例えば、多くの機能を要求しながら、コストや納期に無理があるような場合、結果として求めていたものが納品されないといったトラブルにもなりかねません。

余裕を持った納期の設定も、成功する発注の秘訣

余裕を持った納期の設定も、成功する発注の秘訣

すべての要素をマストとするのではなく、優先順位や許容範囲を設けておくことが、発注側・受注側ともにハッピーになれる近道です。

なお、オープンなサイトで詳細まで公開できない場合は、ある程度候補を絞って、NDA(機密保持契約)を取り交わしたあとに自社の情報を公開するなど、情報の取り扱いにも配慮しましょう。

2)コンペ方式

発注のプロセスは、依頼内容をサイトに掲載して成果物を募集→集まった成果物の中から選択(受注者を決定)、となります。

成果物を直接募集する形式になりますので、予算と納期は予めきっちりと決めておく必要があります。場合によっては修正対応をしてもらうことも可能ですが、原則として仕様(依頼内容)の途中変更もNG。

特にデザインなどをコンペ方式で募集する場合、記載スペースが許す限り、その成果物をいつ、どのようなシーンで使いたいのか、ターゲットは誰か、どういう効果を得たいのか(目的・目標)などを盛り込むことによって、より完成度の高い成果物が提案される可能性が高まります。

3)タスク方式

依頼内容(発注量と単価)をサイトに掲載して成果物を募集し、依頼時に設定した数に達するまで、随時成果物を承諾・拒否する流れになります。

予算と納期を最初に明記するのはコンペ方式と同様ですが、単純作業の大量発注時に利用するという性質上、例えば「250文字程度の商品レビューが100個欲しい」のように、何件の成果物が必要なのかを予め提示する必要があります。

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