100年店ランチ/東京の100年店ランチ

みの家(馬肉料理/森下/創業1897年)

かつては庶民の味方、いまは貴重な存在……今回は東京でも数少ない馬肉料理の専門店、森下の「みの家」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

東京を代表する“桜なべ”の店「みの家」

現在の建物は1954年に建築されたもの

現在の建物は1954年に建築されたもの

隅田川の東側、深川エリアには老舗店が数多く点在しています。森下もそういった地区の1つです。新大橋通りと清澄通りが交差する場所にある地下鉄の森下駅。この駅近くに“さくら鍋(=馬肉鍋)”の有名店「みの家」があります。東京を代表する馬肉料理の専門店ですね。最寄りの森下駅は都営新宿線と大江戸線が乗り入れています。それにしても老舗らしい面構え……絵になります。

みの家周辺には、赤穂浪士が討ち入った吉良邸跡、松尾芭蕉の住居跡、池波正太郎作『鬼平犯科帳』の主人公・長谷川平蔵の住居跡など、有名な史跡が存在。歴史好き、散歩好きには楽しいエリアですね。同じく森下駅近くには、すでにこちらでご紹介した老舗そば店「京金」もあります。

創業は1897年(明治30年)

座敷奥には庭も

座敷奥には庭も

みの家の創業は1897(明治30)年のこと。隅田川の河口付近は海運業で盛り上がりをみせていた関係で、木場の職人や漁師など、森下一帯にも労働者がたくさん集まっていたといいます。牛肉やうなぎはやはり高価。そんな中、庶民や労働者のスタミナ食として重宝されたのが高タンパク・低カロリーで安価な馬肉です。当時は、みの家以外にも多くの馬肉料理店があったようです。

では、そんな同店が営業をスタートさせた1897年とはどんな時代背景だったのでしょうか……。この年、東京と京都の間で電話がつながります。国会図書館の開設や京都大学の創設、婦人用の洋傘の流行、八王子の大火を朝日新聞が初めて伝書鳩を使用し伝えるなどの史実も。19世紀の終わりが近づく最中、みの家もその歩みを始めています。

では、現在では貴重と言っていい馬肉料理の専門店へと参りましょう。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます