株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

為替は115円を突破!どこまで円安&株高は続くのか?

日銀の追加金融緩和により、円安が進み、日経平均も急騰しています。それでは、我々個人投資家はこの波に乗っても良いのでしょうか? その鍵は米国が握っていると言えそうです。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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為替は115円を突破!円安&株高は続くのか!?

黒田バズーカ2で為替は115円を突破!円安&株高は続くのか!?

黒田バズーカ2で為替は115円を突破!円安&株高は続くのか!?

日銀の追加金融緩和、いわゆる黒田バズーカ2によって為替は大きく円安に振れ、輸出企業や海外売上・資産を多く持つ企業が多い日経平均も急騰して一時1万7000円を回復しました。それでは、今後もさらに円安に振れ、株高が続くと見て、この波に乗って良いのでしょうか?

結論からいえば、そのカギを握るのは米国経済がどうなるかにかかっていると思います。今回の日銀の追加緩和のインパクトがあまりにも強烈だったために、日本の要因だけで為替が動くと見られがちですが、長期的に為替は日米の金利差に収斂するのが、お金の自然な流れです。

量的緩和政策第3段(QE3)終了後も、米国経済が好調を保ち、予想されているように2015年の年央にも利上げが実施されるような情勢になれば、日米金利差が更に開いて円安ドル高がさらに進むと考えられます。そして、円安となれば前述の理屈で日経平均株価も上昇します。

最近では海外現地生産が多くなっているため、円安は必ずしも輸出企業のプラスにはならないとの指摘もありますが、トヨタのように海外できちんと利益を出している企業は、円安によって(日本企業の決算は、最終的に円に換算されて計算されるため)円ベースでの利益が嵩増しされます。

ドル円為替レートは日米金利差に連動している

ドル円為替レートは日米金利差に連動している


ちなみに、量的緩和政策第1段、第2段(QE1、QE2)が終了されたときには、その後に米国の景気が腰折れしてしまい、長期金利が低下して、株価が下がり、ドル安になってしまいました。今回も同じようになってしまえば、円安&株高は遠のいてしまう可能性があります。

QE1、QE2終了後は景気が腰折れして長期金利が低下した

QE1、QE2終了後は景気が腰折れして長期金利が低下した

このまま円安ドル高が続く可能性が高い

しかし、今回はQE1、QE2終了時とはやや異なります。まず、米国の不動産価格が回復しており、新築住宅の着工件数も回復しています。株価も最高値を更新しているところですので、人々の懐が温かく、消費意欲は高い状態にあるのではないかと思います。米国のGDPの7割は消費によって占められていますが、今年の米国のクリスマス商戦は非常に良いものになるのではないでしょうか。

米国の不動産価格は回復し、新築住宅の着工件数も回復途上にある

米国の不動産価格は回復し、新築住宅の着工件数も回復途上にある


これに加えてドル高が進む中で商品価格が下落しています。商品はドルで取引されますので、ドルの価値が上がると反相関的に価値が下落する傾向があります。実際のところドルインデックス(ドルの対主要貿易相手国に対する総合的な強さを示す指数。ユーロ(57.6%) 円(13.6%) 英ポンド(11.9%)カナダドル(9.1%)スウェーデンクローネ(4.2%)スイスフラン(3.6%)で構成されている)と商品価格の推移を比べてみると、その傾向は一目瞭然です。

特に原油価格の下落に注目です。少し前は原油価格の下落は世界経済が低迷するサインとして見られてきました。しかし最近ではやや見方が変わり、ガソリン代などのコスト低減につながるため、個人消費の支援になるという取られ方がされるようになってきました。

ドル高と商品価格の下落は連動している

ドル高(ドルインデックスの上昇)と商品価格の下落は連動している

更にいえば、欧州と日本が金融緩和に動いているために、資金が米国に向かいやすくなっています。特に欧州はマイナス金利が導入され、銀行はユーロを保有していると逆に金利が取られてしまうので、他の通貨に換える必要がでてきます。この受け皿になっているのが米ドルで、その資金は米国国債に向かいます。このために米国は好景気になっているのに国債が買われ、(国債価格が上がると金利は逆にさがりますので)、金利がほどよく上がらない状態が続いているのです。

FRBメンバーによる政策金利予想。9月時点の予想は6月時点の予想よりも上がっている

FRBメンバーによる政策金利予想。9月時点の予想は6月時点の予想よりも上がっている

米国の政策的にも米ドル高に動いている様子です。FRBメンバーによる政策金利の予想は表のとおりですが、9月時点の予想は6月時点の予想よりも高くなっており、金利上昇=ドル高を促しているようにも見えます。

そして実際のところ、ドルインデックスは大きく上昇しており、9月末までに11週連続上昇を遂げました。11週連続上昇はドルが変動相場制となった1971年のニクソンショック以降、初めての事であり、何か歴史的な転換が起きている様子です。

以上、現在のところ、米国経済の良い状況が続くことを前提に、(短期的な上下動はあると思いますが)円安ドル高が続く可能性が高いように思えます。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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