インドネシア/インドネシア基本情報

バリの次はここ!インドネシアの楽園ラジャアンパット

インドネシアの西パプア州に属するラジャアンパットは、”種の工場”と呼ばれるほど、生物多様性のお手本のような海が広がっています。インドネシア政府がバリ島の次に紹介したいと胸を張る、絶景の島々。ラジャアンパットの魅力と基本情報をご紹介します。

古関 千恵子

執筆者:古関 千恵子

ビーチガイド

大注目のデスティネーション、ラジャアンパット

ラジャアンパット基本情報

マッシュルーム型の島々が浮かぶラジャアンパット。パラオの南に位置するせいか、ロックアイランドと似ていますよね? パイネモの展望台から

インドネシアは赤道をまたぎつつ東西に約5110キロも細長い島嶼国家です。その東のはずれに位置するのが、26番目の州である西パプア。ラジャアンパットは西パプア州の鳥の頭のような形をした半島の先に点在する、大小さまざまな1500を超える島々からなるエリアです。インドネシアでは「バリ島に次ぐ旅先として大注目」というこのエリア。訪れてみたら、そのポテンシャルの高さにびっくりしてしまいました! 海の情報に敏感なダイバーの間でも”秘境の楽園”とされるラジャアンパットについて、ここでは概要をお伝えします。

 


ラジャアンパットとは?

ラジャアンパット基本情報

サンゴでできた島々が続くカブイ湾

西パプア州の西側、4万6108平方キロの海域に点在する大小1500を超える島々からなるラジャアンパット。旧名はイリアンジャヤ。エリア名は”4人の王様”という意味があります。これは15世紀にティドレ島のスルタンが、ワイゲオ島、バタンタ島、サラワチ島、ミソール島の4つの島それぞれに地元の王を置いたことに由来するそう。最も大きなワイゲオ島のワイサイが中心地になります。

 


ラジャアンパット基本情報

ほとんどが濃密なジャングルながら、中心地のワイサイにはこんな整備された広場も

島々は石灰岩カルスト地形のユニークな形が多いのですが、主要な島々には熱帯雨林やマングローブに囲まれた湾、そして北ワイゲオ島とバタンタ島には標高1000メートルに達する山岳地帯も。多彩な環境が揃っています。

 

ラジャアンパットの魅力とは?

ラジャアンパットの基本情報

アジサシの群れが島で羽を休めているところへ近づいたら、こんな具合に。ラジャアンパットは鳥類たちの楽園でもあります

ラジャアンパットの魅力は数々ありますが、大きくは次の3つではないでしょうか? 固有種が豊富な生物多様性と手つかずの自然(ダイビング、バードウォッチングなど)、パラオのような石灰岩カルスト地形の絶景、大らかな人々と異文化体験。もちろん、これらだけではすまない魅力の宝庫なのですけれど、ネ。

 


”種の工場”と呼ばれるほどの生物多様性

ラジャアンパットの基本情報

リーフや湾など様々な環境が、ラジャアンパットの豊かな生物多様性を裏付けています

ラジャアンパットについて最初に記述したのは、1860年にワイゲオ島で数カ月を過ごしたアルフレッド・ラッフル・ウォレス卿。彼はかつてのダーウィンの同僚にあたり、インドネシアのバリ島とロンボク島の間に走る、アジアとオーストラリアの生物相が異なるウォレス線を定義した”生物地理学の父”です。

 

ラジャアンパットの基本情報

NGOの保護団体、Barefoot Conservation。環境保護にも積極的に取り組んでいるエリアです

そのウォレスの記述によると、「海岸線に沿って無数の岩がちの島々がちりばめられている。ほとんどが溶けやすいサンゴの石灰岩で、底部は潮の干満によって削られたマッシュルームの形をしている。どの島も不思議な見た目の低木で覆われ、そして多くは頂部がエレガントなパームツリーで覆われている。(中略)その形成は私が見てきた中で最も珍しく、ピクチャレスクな風景だ」。
彼の調査はその後、ダーウィンの進化論へとつながっていったそうです。


驚異の自然美、3つの特徴とは?

ラジャアンパットの基本情報

魚影の濃さに圧倒されるラジャアンパットの水面下

その後も調査研究者が訪れると、何かしら新しい発見があるといわれ、別名”種の工場”とも呼ばれるラジャアンパット。固有種の多さには、いくつかの理由があげられます。

 


ラジャアンパットの基本情報

一面のサンゴ! スノーケリングでも十分に楽しめます

1)コーラルトライアングルの中央にある
フィリピン、マレーシア、インドネシア、東ティモール、パプアニューギニア、ソロモン諸島のエリアを結ぶ”コーラルトライアングル”の中央に位置しています。そして海流がアジアとインド洋から魚類やサンゴを運ぶ、生物的なクロスロードにあります。

 


ラジャアンパットの基本情報

見えづらいですが、水面下の黒い部分、すべて小さな魚です

2)多彩な環境
種のゆりかごとなる環境がバリエーション豊か。海でいえば、マングローブで守られた湾や急激なドロップオフ、パッチリーフや環礁、カルストのラグーンなど、あらゆる環境がそれに応じた種を育てるのです。

 

3)大きな動物がいない
ラジャアンパットが属する西パプア州のあるニューギニア島は1万年前までオーストラリアと陸続きだったそう。だから特有の有袋類もいるのですが、大きな動物といえばキノボリカンガルーやワラビーくらい。食べ物も豊かな地であったことも功を奏しました。

 

そして海抜が上がったことでニューギニア島から切り離されたラジャアンパットは、独自の進化を遂げます。
最近の調査ではこの海域には1400種以上のリーフフィッシュ(うち19種はラジャアンパットの固有種)、550種以上のサンゴ(うち20種まではこの地域だけの新種)が生息し、リーフを形成するサンゴにいたっては世界の75%以上の種を数えるそう。
ボートで移動中にはクジラやイルカが通り過ぎ、水中で出くわすこともあるとか!? 

20年前に冒険心旺盛な2名の欧米ダイバーが訪れ、その魅力を伝えたことから、ラジャアンパットの水面下が注目されはじめたのだそうです。
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