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エボラ出血熱による株式市場暴落の可能性は?

エボラ出血熱の脅威が拡大しつつあります。病気で株式市場が暴落した例としてSARS流行時の香港株が思い出されるところですが、エボラ出血熱による株式市場の暴落は起こるのかを検証してみたいと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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エボラ出血熱の脅威拡大!関連銘柄には動きが……

迫り来るエボラ出血熱の恐怖、株式市場への影響は?

迫り来るエボラ出血熱の恐怖、株式市場への影響は?

エボラ出血熱の脅威が拡大しつつあります。エボラ出血熱は西アフリカで流行している感染病ですが、患者数が急増。9月下旬までで報告されている感染者数は推定5800人で、このうち2800人超が死亡していると見られているとのこと。しかし、実際には報告されていない感染者や死亡者もあると思われます。

そして、西アフリカだけではなく、米国にも感染者が入国し、そこからさらに感染が広がっている可能性があります。スペインでも感染者が帰国し、こちらも感染が広がっている可能性があるところです。現代は膨大な人数が飛行機で各国を行き来していますので、世界中に感染が拡大する恐れもあります。

現在のところ、株式市場全体にはまだ直接的に大きな影響は出ていません。しかし、飛行機の利用が減少する可能性があるといった理由から、米国の航空株が売られたり、治験薬がエボラウィルスに似ているウィルスに効果があったとの報道でバイオ医薬品会社テクミラ・ファーマシューティカルズ(TKMR)が買われるなど、一部の関連株には影響が出ています。その他、香港では軍隊研究所のエボラ出血熱の薬の開発支援をすると発表して四環医薬(00460)という製薬会社の株が一時的に上昇しました。

日本株でも、簡易隔離ブースを販売販売している日本エアーテック<6291>や防護服を販売するアゼアス<3161>、サーモグラフィーを空港に納入する日本アビオニクス <6946>、傘下の富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬がエボラウィルスに効果がある可能性があるとの報道で、富山化学の親会社の富士フイルムホールディングス <4901>などがエボラ関連株として買われています。

SARS流行時の香港のような大暴落につながる可能性は今のところ低いが注意は必要

では、今後、エボラ出血熱による株式市場暴落のリスクはあるのでしょうか? 結論から言えば、今のところ可能性は低いように思えます。

病気で株式市場が大暴落した例と言えば、2002年末から2003年にかけて流行したSARS(重症急性呼吸器症候)によって香港株が暴落した例があります。中国広東省から流行した病気ですが、SARSは当初、感染ルートが明確ではなく、空気感染の恐れもあったのでパニックになりました。仮に空気感染するようであれば、同室にいただけで感染する恐れもあり、爆発的に流行する可能性があったからです。

SARS流行時は飛行機の利用が減少するといった懸念から航空株が暴落し、ひいては香港国際空港が閉鎖されたり、外出が困難になるような事態まで発展する可能性があるとの懸念から香港株全体が暴落しました。このときは実際に、一時的に香港への渡航者や、人々の外出が減少し、香港や中国の消費が落ち込むなど、実際の企業業績にも影響が出ました。

エボラ出血熱も同様の事が懸念されるわけですが大きな違いがあると思います。SARSは空気感染の可能性が疑われ、現在もその可能性が示唆されているのに対し、エボラ出血熱は今のところ、感染力は強いものの、基本的には血液などの体液に直接触れないと感染しないという違いがあるということです。

空気感染は感染源が長期間空気中に漂う特徴があり、感染者と同室にいるだけで感染する可能性があり、爆発的に流行する可能性があります。一方、エボラ出血熱はいわゆる飛沫感染ですが、咳やくしゃみで飛沫が飛んでも、その飛ぶ距離はせいぜい2メートルといったところで、気をつけていれば空気感染のように同室にいるだけは感染しないといった違いがあります。

したがって、今のところではありますが、SARS流行時の香港株式市場のような事態にはなりにくいと思います。ただ、感染が拡大してくるようだと、航空関連株にはマイナスの影響が強くなってくると思います。ちなみに米国のニューヨークのラガーディア空港ではエボラ出血熱に感染する懸念から、航空機客室の清掃を行う従業員がストライキを決行しました。また、同じく米国の空港では、西アフリカからの旅行者に対し、体温検査などの各種検査を行う計画が明らかにされています。

そして、感染したときの致死率が50~90%と非常に高く、明確な治療法が確立されているわけではありませんので(ちなみに、エボラウィルスはWHOのリスクグループではSARSコロナウィルスのリスクグループ3よりも危険度の高い、リスクグループ4に指定されている)、感染が拡大すれば間違いなく株式市場にはマイナス要因となります。今後もその動向に要注目でしょう。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

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