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長期投資家はリーマンから5年を振り返る

100年に一度の金融危機といわれたリーマンショックから5年が経ちました。これをどう総括するかで、その人の投資スタイルが決まってきます。長期投資家なら、こんな風にこの5年間を振り返り、未来の展望を持つはずです。ご参考にしてください。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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リーマン・ショックから5年

あのリーマン・ショックから、5年が経過しました。
100年に一度の危機といわれた株価の大暴落を、世界はどのように克服してきたのでしょうか?

この5年間の世界の株価推移

大暴落の底が、2009年3月でしたから、そこから5年間の主要な証券取引所の株価指数を整理してみました。

※株価指数とはポイントですから、通貨の影響を受けません。相互の指数間でその大小を比較しても意味はありません。

リーマンから5年

リーマンから5年



非常に分かりやすい現象は、アメリカもドイツも同等の回復をしていることです。その株価指数は5年間で約2.3倍になりました。

この増え方を収益率で表すと、17%台という数字になります。歴史的な株価上昇率は、8%程度でしたから、この5年間は驚異的な伸びをしてことになります。

大暴落、そしてその後の急反発が、今回も繰り返されたことは、投資家として胸に刻まねばなりません。そうして、5年でリーマン前を取り戻しました。

欧米と日本+アジアの差異

さて、株価が十分に回復していない香港と東京を見てみましょう。

東京市場の日本株は、この5年間で1.5倍に増え、香港市場のアジア株は1.6倍に増えました。その収益率は日本株が8%、アジア株が9%という数字です。
アベノミクスのおかげで急浮上して救われた感のある日本株ですが、欧米の株価と比較すれば、まだ十分に伸びていないということがいえます。

それを阻んでいるものは何でしょうか?

TOPIX(東京)とHANSEN(香港)の参考PERを比べると、大きな差異があります。

※PERとは株価収益率。年間の企業利益の何倍の株価であるかを示している。14未満なら割安、20超なら加熱気味と判断できる。

TOPIXのPERは欧米並みの14倍であるのに比べて、HANSENのPERは大きく11倍とへこんでいます。この事実は、香港において投資環境が不透明であることを意味しています。たぶん、中国の不動産バブル問題への懸念が、中国経済に対する猜疑心となって、投資行動にブレーキをかけていると想像されます。

もし、環境が好転してPERが欧米並みの15倍となれば、株価も28150ポイントを超えてきて、5年前の2倍となりますから、欧米の株価動向と比べてつじつまが合ってきます。

日本株ですが、PERが低くないのに株価水準が高くならないのは、企業利益が小さいからです。

日本株浮上の条件は?

国内では、大企業が史上最高の経常利益をあげていると報道されていますが、世界の水準からみると収益率がまだ劣っていることが見て取れます。日本企業の利益が、いまだにブレークスルーしないのは、なぜでしょうか?

増税による国内消費の低迷、収益を追求しない保守的な経営マインド、株主利益を最優先しない経営姿勢などの本質的問題が考えられます。いずれにしても、現在の政権の成長戦略の実行力に、世界は注視をしているはずです。

もし、この期待を裏切るような結果になれば、日本株は再び永い冬の時代を迎えるかもしれません。そのときには、私たち投資家も日本株の保有比率を下げていかざるをえません。

「自分の国なのに、国内に投資できる魅力がない」なんてことにならないように、今の胸突き八丁をしっかり乗り越えて、世界と同じ頂上にたどりつきたいものです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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