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読書の秋、子供の活字依存度ってどれくらい?

若者の活字離れが懸念されている昨今ですが、実際のところはどうなのでしょうか? 最近のアメリカの実験が見出したのは、むしろ人間は活字依存的な傾向があるというもの。この記事では、その実験の結果を交えながら、子どもにとっての「文字」の存在についてお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

大人は活字依存的な傾向がある

子供に文字への興味を誘いたい

子供に文字への興味を誘いたい

現代は情報社会。飛び交う情報の量がこれまでとは比較にならないほど増えてきています。そんな情報社会では、より信頼できる情報を選ぶことが必要になってきます。

では、情報を選ぶとき、私達大人は「聞く情報」と「読む情報」のうち、どちらを好むと思いますか?

それは、読む情報。

私達大人は、目からの情報に、より大きな信頼を置く傾向があることが分かっています。

例えば、東京のど真ん中で道に迷ったとします。
  • 通行人に「銀座は右ですよ」と教えてもらった情報
  • 「銀座左折」という看板による情報
この2つのうちどちらを選ぶかというと、大人は圧倒的に後者。活字を媒体にした情報を好む傾向が強いのだそうです。活字離れが加速しているとはいえ、大人の日常は、文字に依存する傾向が実は高いのですね。

ではこの傾向はいつごろから始まるのでしょうか? 文字を少し覚えたばかりの3歳の子だったらどちらの情報を選ぶのでしょうか?


耳からの情報と目からの情報、3歳の子はどちらを信頼する?

最近、アメリカの大学のチームが、これを検証するために、3歳から6歳の子を対象にある実験を行いました。

まず、2本のホースを準備。1本は先まできちんと抜けているもの(正解)、もう1本は途中がふさがっているもの(不正解)でした。そして子供達に、どちらが正しいホースかを当てるように言いました。その際、人形Aと人形Bから、それぞれ次のようなヒントをもらいました。

人形Aは、口頭でヒントを伝えました。
「青のホースが正解だよ」

人形Bは、文字でヒントを伝えました。
封筒を開け、紙を取り出し、「ここに赤のホースが正解と書いてあるよ」

この2つの相反するヒントに、子供達はどうリアクションしたでしょうか?

子供の回答に、年齢による差は見られませんでした。リアクションに違いが見られたのは、文字をすでに読めるか、まだ読めないか、という点でした。

文字をまだ読めないグループは、聞く情報(人形A)と文字からの情報(人形B)のどちらか一方に偏る傾向はありませんでした。しかし、文字を少し読めるようになっている子は、文字からの情報(人形B)を好んで選ぶ傾向が強く、その割合は75%にも及びました。

つまり、文字を覚えて間もないうちから、子供達は活字で書かれた情報を好むことが分かったのです。


実はますます活字依存的になってきている!?

大人のみならず、子供も、幼少時から活字情報を信頼するという今回の結果、いかが思われましたか? 想像以上に早い時期から、文字に頼る傾向が出てくるのですね。

最近言われている「活字離れ」は、本や新聞などを読む量が減ってきたという現象で、その背景には、ネットやスマホなどの新たな媒体の普及が関係しています。ということは、活字を追うという傾向は今も昔も変わっていないとも言えます。むしろ、情報を追い求める現代の方が、ますます活字依存的になっていると言えるのかもしれません。

「小さい頃から活字に頼る」というこの傾向を上手く刺激してあげると、文字の学習に結びつくことも期待できます。小さなお子さんをお持ちのママであれば、やはり本の活字に興味を持ってもらいたいのではないでしょうか。読書の秋ならぬ、「読み聞かせの秋」で、ひらがなへの興味を促すのもいいかもしれません。


*出典:British Journal of Developmental Psychology (2014) 「To the letter: Early readers trust print-based over oral instructions to guide their actions.」
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