ノルウェー/ノルウェーの観光・世界遺産

ノルウェー絶景の岩場「トロルの舌」へのアクセス

「一生に一度は訪れたい世界の絶景スポット」として観光客の間で爆発的な人気を誇っているのはノルウェーのハダンゲルフィヨルド地帯にある「トロルの舌」。山頂の一部の岩が突き出している様子からそのように名づけられています。旅人の好奇心をくすぐるトロルの舌への行き方と登山のアドバイスをまとめました。

鐙 麻樹

執筆者:鐙 麻樹

ノルウェーガイド

一生に一度は訪れたい、ノルウェーの絶景スポット

トロルの舌

断崖絶壁に突き出た「トロルの舌」で、記念撮影したい! 旅人の好奇心をくすぐるノルウェーの絶景スポット。”自己責任で”撮影には十分な注意を Photo:Asaki Abumi

「トロルの舌」(「トロールの舌」)は、ノルウェーで語り継がれている醜い妖怪トロルの長い舌に似ていることに由来しています。ノルウェー語では「トロルトゥンガ」(Trolltunga)と呼ばれ、実はフィンランド出身の有名なムーミンや、ノルウェー発の絵本『三びきのやぎのがらがらどん』の橋の下にいる怪物もトロルです。トロルの舌は、ノルウェーの「5大フィヨルド」のひとつと絶賛されているハダンゲルフィヨルド地帯にあるオッダ村に位置しており、毎年夏になると、世界中からの多くの観光客・登山客が訪れます。標高約1100メートルあり、登山には8~10時間かかるといわれている道のりは険しく、入念な登山装備が必要となります。

トロルの舌はここ数年の間で爆発的に登山客が増加しており、その一因はトロルの舌で記念撮影をした写真がツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアで拡散されていることが理由とされています(危険な行為はくれぐれも真似しないように)。しっかりとした登山の準備ができていれば、フィヨルド観光のプランにトロルの舌を加えることができます。今回は日本のガイドブックではまだまだ十分に説明されていない、トロルの舌へのアクセス方法と登山のアドバイスを、ガイド本人の体験談も含めてまとめてみました。

※「フィヨルド」とは「氷河による浸食作用により形成された地形に、海水が入り込んだ領域」を示します。水の成分が「海水」であれば、「フィヨルド」です。ハダンゲルフィヨルド地帯にあるトロルの舌からみえるのは、「湖」なので、「フィヨルド」ではありません。

ハイシーズンは7~9月、徒歩で往復8~10時間

シーズンは7~9月となり、それ以外の時期は雪が積もって危険性が高くなります。標高約1100メートル、往復20キロメートルといわれている「トロルの舌」へは徒歩で往復8~10時間かかるといわれています。登山慣れしたノルウェー人であれば8時間で往復できるかもしれませんが、登山初心者であれば10時間は見込んでおいたほうがよいでしょう。険しい道のりとなるので、健康体でない状態ではおすすめできません。ちなみに私は取材のために撮影しながら歩き、途中で肩や足も痛めたので往復11時間かかりました。午前8~9時台には登山を開始しましょう。

登山口「Skjeggedal」を目標に、タクシーかバスで

トロルの舌の登山口

トロルの舌へと続く登山口の入り口。ここまではバスかタクシーでアクセスする必要あり。右側にあるのがインフォメーションセンター。左側の階段道が以前は登山道だったが、現在は危険であることからその真ん中にある坂道が推奨されている Photo:Asaki Abumi

余裕をもって登山を開始するには、前日から周辺のホテルに宿泊する必要があります。多くの登山客は、フィヨルド観光で人気のある街ベルゲンやオッダ村からアクセスし、前日は周辺のホテルに宿泊し、バスかタクシー、もしくはレンタカーで翌日の早朝に登山口Skjeggedal(シェッゲダル)へ向かいます。

■オッダ村データ
「トロルの舌へアクセスが簡単なオッダ町/ノルウェー」
「ノルウェーの絶景「トロルの舌」登山客に人気のホテル」

私は、周辺のロフトフース村にある「ウレンスヴァン・ホテル」に宿泊し、朝7時台にホテル前のバス停Lofthus(ロフトフース)駅から、Tyssedal(ティッセダル)駅までバスで向かいました。片道約30分の道のりで、バスの中でホテルが事前に用意してくれたお弁当セットから朝食をつまみました。山道ではお店がないので、旅行前日に1日分の十分な飲食を用意しておきましょう。ホテルによっては登山客向けにお弁当を用意してくれることもあり、この場合お金はかかりますが、食料獲得や調理にかかる時間や体力を節約できます。

トロルの舌へのアクセス

Tyssedalバス停。ここでタクシーと待ち合わせ Photo:Asaki Abumi

夏のハイシーズンであれば専用の観光バスに乗って、登山口まで向かうことが可能です。私が登山したのはシーズンが終わったばかりの8月後半だったため、バス停TyssedalからはタクシーでSkjeggedalへ向かうこととなりました。ハイシーズンには数日前や前日にタクシー会社に電話し、待ち合わせ時間と場所を決めて、事前予約をしておくことをおすすめします。この辺りではタクシーを利用する登山客が多いため、相乗りとなることも。宿泊先のホテルで登山客と知り合いとなり、ホテルから相乗りする人も多く、この場合は乗車料金も安く抑えることができます。私は相乗りする予定はありませんでしたが、呼び出したタクシーにすでに別の登山客が乗っており、料金は100ノルウェークローネと格安ですみました。

トロルの舌へ登山するときは地元のタクシー会社の電話番号は必ずメモしておきましょう。行き帰りでバスなどがない時にはタクシーがどうしても必要となります(クレジットカード払い可能、1人乗りの場合のTyssedal駅から登山口までの片道料金はおよそ300~350ノルウェークローネ)。

<DATA>
■Odda Taxilag AS(オッダ・タクシー)
電話:+47 53 64 14 44
「ノルウェー王室御用達、フィヨルド旅行一押しのホテル・ウレンスヴァン」

登山開始前に、インフォメーションセンターで情報収集

トロルの舌のお土産

インフォメーションセンターで人気があるというお土産 Photo:Asaki Abumi

登山口にはインフォメーションセンターがあり、無料で利用できるので、ここで心配なことや気になることは全て解消しておきましょう。スタッフは登山に慣れている経験者なので、当日の天気や服装のアドバイスもしてくれます。小さなショップにもなっており、登山に装備が十分でないと感じられた時はここが最後のチャンスとなるので、食料や服装を完璧に整えましょう。クレジットカード払いも可能です。下山後の町や村へのアクセス方法となるバスやタクシーの情報も聞くことができます。

なお携帯電話の電波が通じるのも、この近辺が最後となります。電波は拾いにくいですが、インフォメーションセンターや登山口、周辺の湖周辺を歩き回ると、どこかで電波を拾うことができます。

さて、いよいよ登山の開始です!次のページ

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