外壁・屋根・断熱材/外壁・屋根・塗装リフォーム

外壁簡単リフォーム、サイディングのカバー工法とは

外壁リフォームの種類には、塗替えや張替えの他に、今ある外壁の上に新しい壁材を重ねて張るカバー工法があります。メリットは、解体が不要なので廃材が少なく工期も短いこと。今回は、工事が簡単な、断熱材付き金属サイディングでの事例と注意点をご紹介します。(2017年改訂版、初出:2014年9月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

カバー工法とは、古い部分を壊すことなく、新しい仕上げ材を上に重ねて張るリフォームの手法のことです。今回は、外壁のカバー工法に使われる、軽く工事が簡単な金属サイディングの事例と、工事の注意点をご紹介します

カバー工法はリフォームで人気の手法、外壁や屋根、サッシでも

上貼りフローリング

フローリングのリフォームも、今ある床の上から重ね張りするカバー工法が増えている(床リフォームが簡単、重ね張り専用フローリングより

カバー工法のメリットは、解体の手間が無く廃材が少ないところにあります。解体や廃材処分の手間が無ければ、費用が削減できるのはもちろん、工事日数も短くて済みます。

リフォームの際、住んでいる人に負担になるのがこの解体時です。解体が無ければ、住みながらのリフォームで問題になりやすい、音やホコリに悩まされることもなくなります。

カバー工法は外壁だけでなく、屋根、サッシ、玄関ドア、フローリングなどにも使われている、リフォームのしやすさを追及した工事方法です。

 

外壁リフォームでのカバー工法のメリット

外壁リフォームにおけるカバー工法のメリットをまとめると下記のようになります。

  • 古い外壁の解体や廃材処分の手間と費用を削減できる。
  • 張替えと比べ工事が簡単で、工事日数が短縮できる。
  • 断熱性や遮音性などの機能を付加することができる。
  • 手軽に外観のイメージを大きく変えることができる。

では早速、外壁のカバー工法の事例を見ていきましょう。今回ご紹介するのは、金属製サイディングによる外壁のリフォーム事例です。

金属サイディングは耐久食性に優れ、軽く工事が簡単なのが魅力

下の写真は、築年数が経ち外壁のサイディングが傷んでしまっていた家を、カバー工法でリフォームしたビフォーアフターの事例です。元がモルタル仕上げの家でも、同じように重ね張りでのリフォームが可能です。

ビフォアー外壁

リフォーム前:築年数が経ち、外壁のサイディングが傷んでいる。


アフター外壁

リフォーム後:レンガ調の金属サイディングのカバー工法で美しく仕上がった事例。


使用したサイディング材は、レンガ調のデザインを表面に施したガルバリウム鋼板に、断熱材を裏打ちしたもので、張るだけで住まいのイメージが大きく変わり、断熱や遮音性能の向上も期待できます。

また金属サイディングの大きなメリットとして、耐久性に優れるのでその後のお手入れが楽なこと、軽いので構造への負担が少ないこと、そして工事が簡単なことがあります。上から重ね張りするものだからこそ、金属の軽さは魅力です。

最新のサイディング

断熱材が裏打ちされた金属サイディングの断面。外壁材と断熱材が一体化。表面は耐食性に優れたガルバリウム鋼板なので、酸性雨や凍害にも強い(アイジー断熱サイディング)


カバー工法での工事期間は約2週間ほどが目安です。一般的な工事方法として、胴縁と呼ばれる木の下地板を打ち付けてから、サイディングを張ります。外壁に取り付けられている雨樋や給湯器は、いったん外して工事を行うことで、より美しく仕上がります。

外壁のカバー工法の費用、この先10~20年のトータルコストで選ぶ

打ち合わせ

この先10年~20年のメンテナンスの費用を加えた「トータルコスト」で費用の比較を。

外壁をカバー工法でリフォームした場合に掛かる費用の目安は、下記のようになっています。塗り替えと比較した場合、最初の工事費用はカバー工法のほうが高いのですが、年月を経るにつれ、その差がだんだん縮まっていくのがわかります。(※アイジー工業による試算)

壁面積150平方メートルの住宅を、塗り替えでリフォームした場合は、塗り替えの初期費用80万円+向こう20年のメンテナンス費用約220万円=トータル約300万円。

金属サイディングのカバー工法でリフォームをした場合は、初期費用が200万円+向こう20年のメンテナンス費用約100万円−断熱効果による冷暖房費削減約35万円=トータル約265万円。

もちろん計算はあくまで一例であり、今のお住まいの状況や、使う材料によって変わります。大事なことは、住まいに掛かる費用を計算する際は、初期費用だけでなく、この先10年~20年の維持費用を加えた「トータルコスト」で比較をすることです。目先の費用ばかりにとらわれず、この先我が家で何年暮らすのかをよく考え、材料や工法を選ぶようにしましょう。

 

カバー工法では、窓まわりとシーリング部のメンテナンスを要確認

カバー工法は、今ある外壁の上からもう1枚コートをかぶせるようなものですから、壁に厚みが出ます。そうなると、問題になるのが、窓まわりの枠より壁が出っ張ってしまうケースがあることです。

この問題をクリアするために、各メーカーでは窓まわりを美しくおさめるための部材が準備されています。どんな風に納まるのか、事前に確認をしておきましょう。

カバー工法は古い部分を覆ってしまいますので、元の部分は見えなくなります。しかし元の外壁の傷みが激しい場合や、水が入り込んでいる場合などは、家の健康のためにも、いったん補修をしてからカバー工法を行うことをお勧めします。

また、サイディングのつなぎ目は、シーリングと呼ばれる変成シリコーン樹脂で埋められます。このシーリングのメンテナンスは基本10年おき、ガルバリウム鋼板の表面は種類にもよりますが15年~20年おきに塗り替えることで美しく長持ちさせることができます。

リフォーム前:ちょっと古いイメージの外観だったが……

リフォーム前:ちょっと古いイメージの外観だったが……


モダンなイメージ

リフォーム後:モダンなイメージに変身。窓まわりやコーナー部も美しく納まっている。ほとんどのシーリング部はカバーされていて紫外線劣化を抑制している(このページの事例は全てアイジー断熱サイディング


リフォームの設備や建材の進化により、外壁も以前より手軽にリフォームできる時代になりました。色だけでなく質感まで変えられるカバー工法で、我が家のイメージチェンジを楽しんでみて下さい。

外壁塗装をする場合は、事前に知っておきたい基本事項を下記でまとめていますので、ご覧になってみて下さい。
また外壁リフォームを成功させるために大切なことは、タイミングを上手に見極めることにあります。下記に劣化のサインを見逃さないためのポイントをご紹介しています。

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