看護教育に特化した大学
福岡女学院看護大学は、JR鹿児島本線の古賀駅から徒歩15分ほどの場所。国立病院機構福岡東医療センターに隣接している学校です。看護の単科大学なのでキャンパスは小ぢんまりしているものの、とてもきれいで、校舎には中庭を設けるなど落ち着く空間が多数あります。保健師コースは選択制を採用し、看護学科の定員100人のうち18人がそこに進むことができます。選考が行われるのは3年進級前の2年次の1~3月くらい。基準となるのはそれまでの成績による評価と論文審査、それ以外にも、志望理由願届、面接も考慮されているようです。
早くから保健師の仕事を理解する機会を提供
注目すべきは、保健師の仕事がどういうものなのか、理解した上で志望してほしいとの願いから、1年次から地域での健康教室などのボランティア活動に参加できる機会を設け、地域の保健活動を理解する機会を作っていることです。講義でも1年次後期から始まる公衆衛生看護学概論で「健康とは」「健康をサポートする地域の資源とは、人材とは」などを伝え、2年次には、自らの健康を考える機会を設け、自分の生活や健康管理行動の実態を通して保健指導の在り方(生活)を考える授業を組んでいます。その意義について、保健師教育担当の松尾和枝教授は
「看護を学ぶ学生といえども、すべての学生が患者さんに指導するような健康的な生活習慣を送っているわけでもありませんから、自らの生活を振り返り、自分ができないことを人に指導できるものなのか。どうしたら人は健康について考え、行動に移すのだろうかを考えてもらうためです」
と、説明してくれました。
地元との連携を積極的に推進中
実習は福岡の他大学の項でも説明しているように、福岡県公衆衛生看護学実習連絡協議会が調整しているため、大学独自で現場を決める体制にはなっていません。ただ、「現場でしか体験できないこと(家庭訪問や健康教育など)を可能な限り学生にさせてあげたい」との思いから、実習の現場以外でも様々な取り組みを行っています。そのひとつが、地元古賀市と共同で地域の老人会などにアプローチを行い、地域、地元保健師、大学、学生、そして教員が同じ目線を持ち、共に活動していく場を作り上げようとしていることです。これにより、実習本番前に学生たちは保健師活動を知るよい機会になるわけです。松尾教授はさらに
「机の上で教える保健師活動には限界があります。実際に自分たちの足で歩き、地域を見て、住民と思いを共有しながら地域の活動を考えて行く。そんな保健師活動の泥臭さも見せてあげたい。そんな地道な活動を通して構築していく地域の保健活動や組織活動、その体験を通して保健師の仕事の魅力を理解してもらいたい。選択制になり、保健師を志望する人たちと学習できる今だからこそ、時間とエネルギーをかけて学生と一緒にできることをやりたいですね」
とも語っていました。
教員からのメッセージ
「本学は学生との距離感がとても近く感じます。そして、とても熱い思いをもった先生がいます。学生には、とにかく自分の考えや気持ちを話すようにと伝えていま左から松尾和枝教授、山田小織講師、山下理恵子助教、緒方智美助手
「本学の教育は本学における公衆衛生看護学の授業は、『自分が学生時代の時に受けてみたかった』内容になっています。それだけ、魅力がたくさん詰まっていると思います。本学で、私たちと一緒に保健師の魅力を大いに感じてください。」(山下助教)
「本学には地域活動の実践現場が豊富にありますから、保健師としての活動の魅力を体験の中から感じてください。私たち教員も、学生のアイディアや強みを生かし、対象者の方の生活に結びつく支援ができるよう頑張ります!」(緒方助手)
「保健師の手腕一つで、住民の健康が左右されると言っても過言ではありません。それだけに保健師は『気づき・考え・実行する』能力が求められます。また医師の指示待ちではなく、看護をベースに独自の展開を繰り広げることができるのも特徴であり、魅力ともいえるでしょう。看護で人々を幸せにし、社会を少しでも良くしたいと思っている貴女、そんな大いなる夢を一緒に叶えてみませんか。」(酒井准教授)
「教員は皆、地域と保健師が大好きな人たちばかりです。大学祭も地元の方々でとても賑わいますし、常に地元住民と触れ合う機会の多いことが誇れるところです。保健師活動は生まれてから死ぬまでサポートする職種であり、予防的な関わりをもっと増やしていけば、元気に楽しく暮らせる人がさらに増えていくと思います。これは日本だけでなく世界に目を向けても同じです。そんな保健師になりたい人、ぜひ本学に来てください」(松尾教授)
(大学データ)
福岡女学院看護大学看護学部看護学科公衆衛生看護学:松尾和枝教授/酒井康江准教授/山田小織講師/山下理恵子助教/緒方智美助手
定員:100人
保健師コース定員:18人
保健師コース最終選抜時期:3年進級前