能年玲奈、不良少女役で「あまちゃん」超えなるか!
『ホットロード』(2014年度作品)
14才の和希(能年玲奈)は、親の愛を感じられないまま思春期を迎え、孤独を抱えて生きています。そんな彼女が知り合ったのが不良グループの春山(登坂広臣)。和希と春山が、揺れ動く感情をもてあましながらも、お互いへの理解を深め、側にいたいと思う関係になっていく姿を描いた青春映画です。
不良映画にケンカは付き物ですが『ホットロード』は少女漫画の不良ものであり、その世界観は独特です。たぶん後にも先にもない不良映画かもしれません。
和希と春山、それぞれの心に丁寧によりそって描かれた原作は、説明よりも状況やセリフでそれぞれのドラマを見せていく繊細な世界。正直、最近の説明セリフの多い映画で、この世界を映し出せるのかなと思っていたんですが、そこは少女漫画的な世界が得意と見受けられる三木監督らしく、能年玲奈を軸に、孤独や不安や傷心や怒りを美しく魅せています。
ゆえにケンカシーンは『クローズ』シリーズみたいな痛さや怖さはありません。不良も怖くない。でもそれはすべて計算ずくであり、大切なのは和希と春山、二人の世界だからでしょう。
春山役の登坂広臣は原作漫画のイメージとは違いますが、新しい春山として見ればいいかと。能年玲奈は捨てられた子猫のような寂しそうな眼差しと佇まいには、しっかりと和希のハートが宿っていました。
監督:三木孝浩 原作:紡木たく 出演:能年玲奈、登坂広臣、木村佳乃、小澤征悦、鈴木亮平ほか
(C)2014「ホットロード」製作委員会 (C)紡木たく/集英社
※次は紡木たくと同じ時代のカリスマ漫画家くらもちふさこ唯一の映画化作品を!