フレンチ/東京のレストラン

ジャン・ジョルジュ東京(六本木ヒルズ)

フランスで修業し、アジアを経由しNYで人気レストランを開いた。8年連続ミシュランの3つ星を獲得し、日本にやってきた。創造性あふれるヘルシーな料理には明らかに「記憶に残る料理」が存在していた。ハレの日にカウンターで楽しむフレンチ、この夏から秋にかけてぜひお勧めしたい。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ニューヨークで8年連続というミシュランの3つ星

フランス発ニューヨーク経由東京上陸、といった感のあるジョルジュブラン。アルザス出身のシェフは南仏やリヨンの名だたる名店で経験を積み、アジアを経由し、ニューヨークで8年連続というミシュランの3つ星を獲得。料理のポイントはそのアート性とスパイスと使い方の妙にあるという。入れ替わりの激しい六本木ヒルズに乗り込む、気鋭のレストランと言えば言い過ぎだろうか。
ジャンジョルジュ

大理石のカウンター。座る位置により見える風景が大きく変わる。

シェフはNY本店で二番手を務めていた米澤文雄氏。2014年3月に開店し、平面的段差のある14席のカウンターのほか、2Fはテーブル席で20席用意されている。

そのカウンターは魅力的だ。平面的段差と書いたがどこに座っても厨房の動きが手に取るように伝わる。食への欲求を高める仕掛けが、センス良く散りばめられており、カウンター特有の立体的に料理を楽しむことができるだろう。
ワイン

ワインのセレクションも楽しい。

さあ料理の世界に入っていこう。

美しさは食欲を駆り立てる。

レモンゼリーのアミューズは暑い夏の夜に心地良い刺激を運び込む。シャンパーニュはビルカール・サルモン。やや大ぶりのグラスのせいか以前よりふっくらとした味わいにレモンゼリーとキャビアの塩加減がゆっくりと溶け込む。
夏のアミューズ

箸も添えられる。

本マグロのライスクラッカーにはスパイスの効いたレモンのソースが添えられる。食感も楽しい。スペシャリテはこれだろうか。トマトとサマーフルーツの一皿はまさに夏の素材が凝縮されたもの。記憶に残る料理になるだろう。
美しく、そして美味しい。

トマトとサマーフルーツ

レモングラスのスープに浮かんだスズキのスチーム仕立ても心地よい一皿だ。ソースではなく、レモングラスのコンソメスープにシェフのセンスが見て取れる。

希少価値の高い飛騨牛にパルメザンを利かせたハバネロエマルジョンも楽しい。マスタードソースにはない驚きがある。シンプルなランプ肉には綺麗に火が通り、添えられたソースはこれまでにない驚きを伴うものだ。

飛騨牛

飛騨牛の味わいは見事だった

すべての料理にグラスワインが添えられ、料理とワインが一体であるというこだわりはこれぞフランスの精神。ラストを締めくくるフォンダンショコラにゆったりとした幸せを感じる。
デザート

濃厚な甘さに酔いしれるひととき

進化するフランス料理は世界中に広がり、日本でもより軽やかに、美しく、創造性に富んだ料理を至る所で目にすることができる。驚き、美味しさ、しかし時折感じる「これってどうなのか?」といった軽い違和感や時折舌をよぎる物足りなさ、いろんな思いをこのカウンターで思いをはせる。

それにしてもここのカウンターは楽しい。ソムリエとのやり取りも面白い。シェフもすぐそこにいて、素材の話で盛り上がる。

早い時間の入店だったが、8時を過ぎると混みあってきた。六本木ヒルズも進化し、レストランも次の時代を目指す。変わらない料理は変わらない反面、だれも思いつかなかった料理もどんどんあらわれてくる。調理器具の進化や料理人の技術、それより上位にある日本の素材。

ジャン・ジョルジュのカウンターにはフランス料理の未来と格闘する若きシェフの氣があふれている。記憶に残る料理をどんどん作り出してほしい。少なくとも今日は2皿はあった。過去のしきたりにこだわらず「新しくて美味しいもの」を追及してほしい。
ジャンジョルジュ

けやき坂の中腹、信号の真ん前だ。


ジャン・ジョルジュ
東京都港区六本木6-12-4
六本木ヒルズけやき坂通り
予約 03-5412-7115
営業時間
ランチ:11:00~15:00 コース4,800円 アラカルトあり
ディナー:17:70~24:00 コース13,000円~ マリアージュワインセットあり
消費税込、サービス料10%別
ワインの種類とバランスは良い。値段はやや高めの設定。

この日のメニューはJGサマーテースティングメニュー8品(18,000円)とマリアージュワインセット(8,000円)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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