ミュージカル/注目のミュージカルレビュー・開幕レポート

『ブラスト!』で感情の旅を。ソリスト石川直に聞く(2ページ目)

マーチングバンドやドラム・コーをエンターテインメント作品に昇華させた『ブラスト!』は、現在、シリーズ9回目の日本ツアーまっただ中。日本初演以来、ソリストとして活躍するパーカッショニストの石川直さんにインタビューしました。

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

ミュージカルガイド

 

数学&動き回るのが好きな自分の性格と合っていた。

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ドラムパフォーマンス。右が石川さん。

——何がそんなに面白かったのですか?

バンドルーム、いわゆる音楽室がたまり場になっていて、授業のない時やランチタイムにはいつもそこに入り浸っていました。学校から渡されるロッカーと別のロッカーがあり、そこに好きなものを放り込んで。また打楽器の連中がすごく悪ガキで(笑)。

——担当楽器によって性格が違う?
アメリカでは、打楽器をやる子は大抵いたずら好きで、よくはしゃぐ。木管は比較的真面目で、黙々と練習するタイプ。トランペットは派手で目立ちたがり屋。チューバをやる子はガタイがよくて、おっとり。楽器に一般的に持たれるイメージのままだと思います。

——石川さんは打楽器の悪ガキたちと、つるんでいたんですね。

そう。言葉も通じないまま、身振り手振りでふざけ合ったりして。僕は楽器も英語もわからないから、ひとまず打楽器を選んだわけですが。そこで一曲目はタンバリン、二曲目はハイハットなど、脇で演奏するセクションから始めました。マーチングバンドではフロントピットオーケストラと呼ばれる立派なセクションなんですけど、僕の高校ではできない子たちが集まってくるセクションで、一曲ずっと同じことの繰り返し(笑)。ちょっと恥ずかしかったですね。練習は週に2~3回、放課後に2~3時間ありました。その時、僕は短いフレーズをシャカシャカやって、あとは休憩とか。観ているほうが多かったぐらいです。
後ろでは、マーチングバンドのメイン、スネアドラムや小太鼓、中太鼓の人たちが演奏していて、やたらカッコ良く見えた。次からはあれをやりたいなあって、憧れていました。

——でもドラムってそう簡単にできるものではないでしょう?
自分の気質と合っていたのだと思います。特にマーチングのドラムは、数学的な要素が強いんですね。音楽と数学は切っても切れない仲で、音を発するのは物理、リズムをどう処理するのかは数学。僕はもともと文系というよりは理数系の人間で、小さい頃から数字遊びが好きでした。一小節四拍の中に、八分音符だと8個、16分音符だと16個入ります。その16個をどう分けると、どんなリズムができるのか。キリなくいろんなパターンを考えられるのが面白かったんです。
また昔から身体を動かして飛び跳ねることも大好きでした。アメリカでは部活を重複してとれるので、マーチングバンドをやりながら、サッカーやバスケットボールもやっていました。当時住んでいたのがシカゴ郊外のノースブルックという街で、当時、マイケル・ジョーダンが全盛期で盛り上がっていたんです。
自分を振り回したり、ものを振り回したりも好き(笑)。ドラムは遠心力や重力を使いますからね。スティックをくるくる回したり、バク転やバク宙も得意でした。
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