照明・LED/照明器具・間接照明の基礎知識

新陰影礼賛2 光の輝きが人に与える影響

日本語には光輝く様子を表した言葉がいくつもあります。そのなかで「きらきら」と「ぎらぎら」に注目してみました。前者は心地よい光の輝きをイメージしますが、後者は逆に目をそむけたくなるような眩しさを感じます。眩しさのことを英語でglare(グレア)と言いますが、グレアの状況や度合いによって生理的および心理的な反応がおこります。 

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

心地良い輝きと不快な輝き

日本語には光輝く様子が幾つもの言葉になっています。「煌々」、「きらきら」、「ぎらぎら」、「燦々」、「ちらちら」、「赤々」、「仄々」などです。このなかで、例えば「きらきら」と「ぎらぎら」では輝きの様子がかなり異なります。

「きらきら」は光輝いている様子のなかで、星空や宝石、水面に反射した光のように輝きに心地良さや美しさがあります。一方「ぎらぎら」は強烈に光り輝く様の意味があり、目をそむけたくなるような眩しさをイメージします。(写真1)
イメージ写真

写真1.上:水面に反射した光が「きらきら」と輝く 
下:「ぎらぎら」と表現できる強い日差し


このように輝く光のなかには眩しさを伴うことがあります。一般に眩しすぎると不快感が生じたり、明るくてもものが見えにくくなる現象が起こりやすくなります。英語ではこれをGlare(グレア)と言っています。

北半球の北緯の高い国は1年を通して平均すると太陽高度が低く、目に直接光が入る時間が長いです。通常視線では太陽高度が40°以上にあれば太陽光の眩しさは自覚しにくいとされています。

イメージ写真

写真2.太陽高度が比較的低い北欧

例えばアイスランドのレイキャヴィークやフィンランドのヘルシンキなどは夏でも太陽高度は低く、なかなか陽が沈みません。

私は何度か北欧に行っていますが、特に朝日と夕日は目線近くに比較的長くあるため、太陽に向かっていると、直射光を浴びやすく、また空があまり明るくないので、対比の効果も加わってとても眩しかったことを覚えています。

したがってこのような地域に住む人たちは、より眩しい光に敏感であることが納得できます。

それに比べ日本では太陽光は頭上にあることが多いので、直射光を浴びる時間が少なく、その分、眩しさに鈍感になっているのだろうと思います。逆に、太陽の反射光を通常視線で見ることが多く、直射に比べ輝度が分散されるため「ぎらぎら」よりも「きらきら」に輝く光景が増えていると考えられます。

次のページでは「高齢社会とグレアレス照明」についてご紹介します。

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