ストレス/恋愛・結婚生活・離婚問題のストレス

「ケンカ」で分かる!カップルと夫婦の心の成熟度

感情のぶつけ合いを繰り返すカップルもいれば、冷静に話し合って理解を深め合える夫婦もいます。その違いはどこにあるのでしょう? どうしたら、感情的にならず冷静に考え、話し合えるようになるのでしょう?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

感情に振り回されて、ケンカが増えていませんか?

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その話し合い、感情に振り回されず、冷静に伝えられていますか?

「夫婦のケンカは犬も食わぬ」の言葉通り、犬にさえ無視されるようなたわいのないことだとよく言われます。カップルのケンカも同様です。

とはいえ、口を開けばののしり合うばかりで、関係を修復できないケースや、家族や他人を巻き込んで問題を複雑にしてしまうケースなど、こじれる方向に突き進んでしまう例も少なくないものです。一方で、ケンカに至ることなく冷静に話し合えるカップルもいれば、話し合うごとに関係を深めていける夫婦もいます。この違いはどこからくるのでしょう?

その謎を解くヒントの一つに、アメリカの精神科医 ボーエンが説いた「自己分化」という言葉があります。自己分化とは、「情緒」と「知性」が分かれ、感情に巻き込まれずに、物事を考えたり行動したりできる心の状態です。

自己分化度が高い人は、情緒と知性、それぞれを豊かに発展させることができ、豊かな感情を持ちながら感情コントロールも上手く、物事を冷静に判断することができます。一方、自己分化度が低い人は、情緒と知性が融合しているため、感情に振り回されて人や物事を判断する、行動が感情に邪魔をされる、といったことがよく起こります。

したがって、自己分化度の低いカップルや夫婦が話し合いを始めると、感情がぶつかり合うばかりで、収拾がつかなくなってしまうことが少なくありません。
 

自己分化度が低いと他者を巻きこみやすい

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ケンカのたびに、つい誰かを巻き込んでいませんか?

さらに、自己分化度が低いと、人間関係の葛藤などの場面で他者を巻き込みやすくなると言われています。

カップルや夫婦の関係にトラブルが起こった際にも、子どもや友だちと同盟を組んで2対1で相手を責めたり、親を味方につけて自分の正しさをアピールするといった例が、よく見られます。自分の立場を有利にしするために、無意識に行ってしまう行為ですが、第三者を巻き込むことで、問題をややこしくしてしまうことは少なくありません。

そんな私も、夫に文句を言った末、つい息子に向かって「お父さんひどいよねぇ。そう思うでしょ?」と同意を求めてしまったことがあります。息子に「さあね!」と突き放されてハッとしましたが、恥ずかしながら、これは母親である私が、息子を巻きこもうとした悪い例です。
 

感情との付き合い方を分析してみよう

感情的なケンカを繰り返して、傷つけ合い、信頼関係を失わないためには、自分とパートナーに次のような傾向がないか、チェックしてみましょう。感情に振り回されやすく、自己分化度が低い人と思われる人に、よく見られる傾向を上げてみました。

・ イライラした感情をどうにもできず、そのまま誰かにぶつけてしまう
・ 「あの人はこういう人」などと、感情で人や物事を判断してしまう
・ 気に入らないことがあると、すぐに不機嫌になる
・ イヤなところがよく目につき、イライラしてしまう
・ 賛成、同意してくれる人がいないと、不安になってしまう

次のページでは、「感情に振り回されない自分」の育て方をお伝えします。
 
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