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シラー・ケープ米欧株式戦略ファンドは順調な船出

2013年度終盤、日本初の運用スタイルを用いた投資信託が設定されました。新光投信が運用する「新光シラー・ケープ米欧株式戦略ファンド(リスクコントロール付)」ですが、話題性が人気を呼び、2014年上半期では5番目に当初設定額を集めました。運用が開始されて4ヶ月以上が経過したことから、運用経過を見てみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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シラー・ケープ米欧株式戦略とは?

お世辞にも分かりやすい運用戦略とは言えませんが、わが国初の運用スタイルが人気と結びついたことから、当初設定額を323億円も集めたのが「新光シラー・ケープ米欧株式戦略ファンド(リスクコントロール付)」で、新光投信が運用しています。

新光シラー・ケープ米欧株式戦略ファンド(リスクコントロール付)」が活用する運用スタイルは、2013年ノーベル経済学賞を受賞した、米国エール大学のロバート・シラー教授が開発した「ケープ・レシオ」を活用した投資戦略です。同ファンドが活用するケープ・レシオは、「景気循環調整後PER」とも呼ばれ、過去10年間の物価変動の影響を考慮した指標で、一般的な指標であるPER(株価収益率)と比較して、より中長期の投資尺度として活用されているのです。

経済指標のGDP(国内総生産)に「名目GDP」と物価の変動を加味した「実質GDP」があるように、株式投資の指標であるPERにも物価変動を加味した実質PER=景気循環調整後PERを使って(物価変動を加味しなければ名目PER)投資対象を選ぶことになります。このケープ・レシオを活用して、米国および欧州株式市場の主要10業種から4業種ずつを選択、計8本の業種別ETFを組入れ運用は行われます。

足元の株式の組入れは高い

わが国初の運用スタイルであることから、運用成績が気になるところです。2014年6月末基準のマンスリーレポートによれば、3ヵ月の騰落率は為替ヘッジなしコースが4.7%、為替ヘッジありコースが7.4%と良好な滑り出しと言えそうです。

マザーファンドベースの資産配分は、米国69.2%、欧州29.5%と、基本地域配分に即した配分割合となっており、米国あるいは欧州のいずれかを強気と判断はしていないようです。セクター別では、エネルギー23.9%、テクノロジー23.6%この2つが20%を超えていますが、米国、欧州と分けて見るとスタンスの違いが見て取れます。

米国は、資本財、ヘルスケア、エネルギー、テクノロジーを変えていませんが、欧州はエネルギー、公益、通信は維持、素材を売却して新たにテクノロジーを組入れたように、機動的に組入れ比率の調整は行われています(2014年5月比)。

ケープ・レシオを用いて、米欧の株式市場の中からそれぞれ割安と思われるセクターへの投資を行うと共に、効率的な運用を目的として株価指数先物も活用しているようです。また、OECD景気先行指標やVIX指数の動向に応じて、常に機動的に組入比率の調整を行うことが、好成績を続ける鍵となりそうです。

リスクコントロール付のファンドであることから、市場環境が急変した場合は、先物取引を活用して実質的な株式の組入れ比率を概ね0%まで引き下げるリスク回避を意識した運用を行いますが、2014年6月末基準のマンスリーレポートによれば、実質の株式の組入比率は94.4%、外国株式先物取引は4.4%。欧米の株式市場は堅調に続くと予想して運用されているようです。

リスクコントロールが行われるのは相場の急変時なので、投資家目線からはリスクコントロールが行われて欲しくはないのですが、実際に機動的に動けるのかは気になるところです。今後も要注目の運用スタイルを行うファンドとして、運用状況を随時チェックしてみたいと思います。
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