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みんなが誤解している中学受験の学習法 理科編

理科は、すごく好きだという生徒がいる反面、ものすごく苦手にしている生徒もいます。今回は理科の学習法について3つの誤解を挙げ、正しい弱点克服法をお伝えしていきます。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド

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さぁ!理科の苦手をなくしましょう!

7月実施の模試の成績表が郵送されてきて、その結果にがく然と肩を落とされてらっしゃる方もいらっしゃると思います。特に、理科の苦手はどうやって克服したらいいかわからず、悩んでらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

今回は、理科の学習に関する誤解を3つご紹介しながら、正しい理科の学習法についてご説明したいと思います。




誤解1 うちは父親も母親も文系だから、子どもが理科不得意でも仕方ない

「理系」「文系」に分けて評価する方法は、広く一般に信じられています。しかしこの区分けは、高等学校や大学における教育での話であり、小学生には当てはまらないのではないかと私は考えています。実際、ついこの間まで理科がものすごく苦手だった生徒の成績が、あるきっかけで急に伸びるというのはよくあることなのです。

実は4科目の中で、理科という科目は一番学習しやすいのです。その理由は理科が、「植物・動物・人体・地層・気象・天体・電流・力のつり合い・熱光音・化学反応・燃焼・物のとけ方」といった12の学習単元の集合体だからです。「力のつり合い」と「植物」には何の相関関係もありません。つまり「植物」が苦手だからといって「理科が苦手」ということにはなりません。もしかしたら「力のつり合い」は得意だけど「植物」が苦手なため、模試で点数が取れないだけかもしれないのです。

そして各単元の中には「理系色」の強いものもあれば、一般常識に近いものもあります。「うちの子は文系だから」と最初から理科をあきらめる必要はなく、そのような場合はまず「理系色の薄い」単元から手をつけていけばいいのです。夏休みは時間もたっぷりありますので、弱点単元を3つ決めて、そこだけを集中して学習し、克服していくようにしましょう。

またたとえ、計算分野が苦手であっても、恐れることはありません。理科の計算分野は、そのほとんどが算数で学ぶ「比例・反比例」に関連があります。中和反応やばねの伸び、天体の運動、電流量や熱量計算といった単元は全て、比例・反比例の考え方で解くことができます。算数の教科書やテキストなどで「比例・反比例」をみっちりと復讐すれば、必ずできるようになります。頑張りましょう!


誤解2 理科も半分は「生物」や「地学」などの暗記分野なのだから、覚えさえすれば成績は上がる筈

学習の大半は「覚えること」ですし、理科とて決してこの呪縛から逃れることはできません。しかし多くの方が「単なる暗記」と「学習による記憶」とをごっちゃに考えてしまっているのも事実です。

「暗記」とは「事物や現象の意味や理解と無関係に反復だけで機械的に記憶すること」を指します。そしてその保持期間は極めて短いという特徴を持ちます。一方、その意味や構造を理解し、知識と知識を有機的に結び付けて覚えると、単なる丸暗記よりも効率的に覚えられ、また長期間保持されます。

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海風と陸風は、棒暗記ではなく、きちんと原理を理解しよう

この事実に照らせば、「理科の半分は暗記分野なのだから、覚えさえすればいい」と結論付けるのはいささか乱暴だということがわかります。社会の年号暗記などは、数字の羅列に意味はないため、棒暗記に頼らざるを得ません。しかし理科は、原理・原則をきちんと学ぶことができるのです。たとえば「昼間は海風が、夜は陸風が吹く」などと暗記しても、しばらく経てば「どっちがどっちだっけ?」となりますが、右の板書のように原理を理解すれば、二度と忘れることはないでしょう。

次のページでは、3つ目の誤解についてご説明します。

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