メキシコ/オアハカ

かわいい雑貨の宝庫オアハカを、まるごと感じる本

かわいい町並みと民芸品が魅力なのが、メキシコ南東部にあるオアハカ州。そんなオアハカを存分に味わえるガイドブックが、櫻井陽子さん著書の『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ』です。オアハカの観光基本情報はもちろん、手しごとによる繊細で素敵な民芸が生まれる背景を綴った一冊は、読者をオアハカへの豊かな旅へと誘います。

長屋 美保

執筆者:長屋 美保

メキシコガイド

かわいい民芸で注目されるメキシコ・オアハカ

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オアハカのサンマルティン・ティルカヘテ村の祭り風景(C)YOKO SAKURAI

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『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ (旅のヒントBOOK) 』著者:櫻井 陽子(イカロス出版)の表紙 (C)イカロス出版

メキシコは地域ごとに優れた民芸文化を持つ魅力にあふれた国です。なかでも、民芸品の産地として世界的に人気なのが、メキシコ南東部にあるオアハカ州。人口の約40%が16の先住民族からなり、メキシコのなかで最も先住民族の比重が高い州だけあって、民族色豊かな伝統工芸の宝庫。織物や刺繍、染色によるテキスタイル製品や、美しく彩色された木彫りの人形のアレブリヘス、独特な製法で生産される漆黒の陶器、バロネグロなど、伝統と洗練が絶妙にミックスされた素晴らしい手しごとの数々は、雑貨マニアにはたまらないものばかり。オアハカの民芸品は、日本のアパレルや雑貨業界からも注目されているのです。




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『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ 』の中身の一例(C)イカロス出版

そんなオアハカの魅力をまるごと封じ込めたような本が、2014年5月に出版された櫻井陽子さんの著書『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ』(イカロス出版)です。タイトルにある「アルテサニア」とはスペイン語で「民芸品」の意味。オアハカ州の各村々にある民芸品の工房案内をはじめとし、旅行者が気軽に民芸品を購入できるショップや市場、地元の味が楽しめるレストランやカフェの案内、観光のおすすめスポットや行事などを網羅したガイドブックです。美しいオアハカの風景や、優れた民芸とそれを作る人々の誇りが、写真と文で丁寧に綴られ、オアハカへの愛情が伝わってきます。

本書に込められた思いについて、櫻井さんに話をききました。


アルテサニア(民芸品)が生まれる背景に魅せられて

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(写真右)ハコボ&マリア・アンヘレス工房によるアレブリヘスのうさぎ。(写真左3点)2014年に開催されたイベント『BONITA OAXACA』のハコボ、マリア夫妻によるワークショップ風景 (C)YOKO SAKURAI

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オアハカの彫刻のような石の滝、イエルベ・エル・アグアと櫻井陽子さん

櫻井さんはオアハカを拠点にして、現地の民芸品を日本へ輸出し、日本の雑誌のオアハカでの撮影コーディネイトも行うメキシコの会社「さる屋」の代表でもあります。オアハカで暮らすことになった経緯を、次のように語ってくれました。

「まだ日本に住んでいた2002年頃、新婚旅行でメキシコのカンクンへ訪れたのをきっかけに、もっとメキシコのことが知りたくなりました。そこから毎年メキシコ各地を旅行するようになったのですが、何人かのメキシコ人に“オアハカは、すごくいいところだから”と薦められて、2005年にオアハカの語学学校へ3ヶ月くらい通ってみたんです。そこで、オアハカの民芸品の豊さや、人々の温かさ、食べ物の美味しさや土地の魅力にすっかりハマってしまいました」

櫻井さんは「必ずオアハカに住む」と心に誓い、日本へ帰国します。そこで、離婚を経験し、日本で半年くらい派遣のバイトをしながら資金を貯めて、2006年6月にオアハカへ戻ったそうです。

そしてオアハカ在住も、今年ではや9年目。現地の民芸品の素晴らしさを日本に伝えるべく、生産者たちとの信頼関係を地道に築いてきました。
さる屋が主催し、2011年6~7月と2014年6月の過去2回に渡って日本で開催された、オアハカ文化を紹介するイベント『BONITA OAXACA(ボニータ・オアハカ)』では、オアハカの先住民族サポテコの村、サンマルティン・ティルカヘテより、動物を象ったカラフルな木彫りの人形=アレブリヘスの巨匠の、ハコボ&マリア・アンへレス夫妻を講師として招き、受講者がアレブリヘスに彩色できるワークショップを行いました。

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トゥクステペック地方の村で刺繍する女性 (C)YOKO SAKURAI

「生産者の素晴らしい仕事を通して民芸の価値を理解してもらうために、日本でイベントを開催しています。民芸品だけでなく、それが生まれる背景も伝えたいので、今回の本の出版によって、その活動の記録を形あるものに残せたのが嬉しいです。本によってオアハカ観光の魅力を伝える、という目的もありますが、読者が現地の民芸品に興味を持ち、生産者から商品を購入してくれれば、という思いもあります。かねてから、オアハカを含むメキシコの民芸を模倣したデザインの商品が、現地生産者をリスペクトすることなく、他国で生産される問題が頻繁に起こっていて残念ですが、そんな状況だからこそ、この本で本物の民芸の良さを伝えたいんです」

メキシコの民芸品には、生産地の自然の姿や、古代からの伝統や風習まで反映されているものが多いので、本書はその刺繍や、織物の柄、模様の意味についても丁寧に取り上げています。それを知ったら、ますます民芸品への愛着も湧くことでしょう。『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ』は、キュートな民芸に秘められた物語を知る本でもあるのです。


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