手紙の書き方・文例/敬語の使い方

「心から」と「心より」はどう違う?意味や表現の使い分け方文例

手紙文でよく使われる「心から/心よりお祈り申し上げます」という表現は、起点・始まりとなるところを表すという点で共通しています。言葉の意味や使い分け方を見直した上で、不自然になったり誤解を招きやすい文例についても押さえておきましょう。

井上 明美

執筆者:井上 明美

手紙の書き方ガイド

「心から」と「心より」言葉の意味に違いはある?

「心から」と「心より」はどう違う?意味や表現の使い分け方文例

「心から御礼」と「心より御礼」などのように使われる、「から」と「より」ですが、この2つは違いがあるのでしょうか?

会合や手紙の中での挨拶として次のような言葉を用いることがあります。
  • 「~とのこと、心から御礼申し上げます」
  • 「ご自愛のほど、心よりお祈り申し上げます」 
この「心から」と「心より」には何か違いがあるのでしょうか? これは結論から言いますと、この場合の意味の違いはなく、どちらでも用いることができ、いずれも起点・始まりとなるところを表すという点で共通しています。
 
<目次>
 

「~から」は口語的、「~より」は文語的な表現

■「から」「より」両方使える例
A「本日午前10時から会議を始めます」
B「本日午前10時より会議を始めます」

AとBは「10時から/10時より」と、「から」を「より」に換えることもでき、両方使うことができます。実際の使われ方としては、「10時から」のほうは、どちらかといえばやや話 し言葉的で、「10時より」のほうは、「日時:○月○日10時より」のように、文章的で手紙・文書などで用いられることが多く、改まった感じがするという 点で使い分けられることがあるでしょう。

ただし、その他の例を見てみますと、以下のような場合は、「から」と「より」どちらにも置き換えるということはできず、「より」しか使えないということもあります。その違いを見てみましょう。
 

比較する場合は「~より」が自然

■「より」しか使えない例
C「論より証拠」
D「花より団子」
E「小野さんは、赤より青が好きだ」

CとDとEは、「論から証拠」「赤から青が好き」ということはできず、好きなのは赤よりも青というように、物事の比較を表していることがわかります。
 

不自然になったり誤解を招いたりしてしまう例とは?

このように、起点という意味では共通することがあっても、比較をする場合には、「より」を用いるほうが、次のような不自然さや誤解をまねくおそれもありません。

■不自然になってしまう例
○「青は藍より出でて藍よりも青し」
×「青は藍から出でて藍からも青し」

「青は藍より」の部分は、青色の染料は藍(植物)からとるという意味で、意味上は「藍から」と言い換えることはできます。しかし、「藍よりも青し」の部分は、もともとの藍よりももっと青いということですから、こちらは、「藍からも青し」に置き換えることはできませんね。

■誤解をまねきやすい例
×「毎週土曜より日曜は、半額セールを行っています」
○「毎週土曜と日曜(の両日)は、半額セールを行っています」
○「毎週土曜から日曜(の間)は、半額セールを行っています」

×の例は、「土曜~日曜」の間は半額ということを言いたいのに、人によっては
「土曜より日曜のほうが安い、日曜日は半額なのだ」と解釈する人もあるかもしれません。そのような点に注意してうまく使い分けたいものですね。

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