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個人向け社債の発行が急増!利率は?

2014年上半期、債券を取り巻く環境はあまり芳しくなかったようです。年初の予測に反して長期金利が低下したことにより、個人向け国債の金利は月を追って低下。個人向け社債も昨年と比較すると、発行量は減少、また発行条件もあまりよくないようです。上半期の状況を振り返りながら、下半期の動向を探ってみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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金利の低下は債券に悪いことばかりではない

2014年に入ってから長期金利は緩やかな低下傾向にありましたが、新年度入り当たりから低位安定を鮮明にしてきています。当面の下限と考えられた0.6%をあっさり下回り、7月には0.53%まで低下しました。長期金利の低下はわが国に限ったことではないことから、もしかしたら再度0.4%をつけるかもしれません。

住宅ローンを組む人、借り換えを考えている人には朗報ですが、新規に債券投資を考えている人には逆風が吹きまくっている状況です。しかし、既に債券を保有している人にとっては、金利の低下は一概に悪い状況とはいえません。大多数の債券は固定金利であることから、金利が低下したとしてもその影響を受けることはありません。

また、債券の価格は長期金利などの金利の動きと逆に動くからです。金利が上昇すれば債券価格は下落しますが、金利が低下すれば債券価格は上昇するのです。足元、長期金利は低下傾向にあるため、手持ちの債券には含み益が生じていると思われます。しかも、債券を満期償還前に売却して得た売却益は、2015年12月末までは非課税なのです。

ただし、個人向け国債を換金する場合は市場で売却するわけではありません。直前2回分の税引後利子相当額を支払って国に買い取ってもらうのですから、長期金利が上がろうが下がろうが影響を受けることはほとんどないのです。唯一、個人向け国債の変動10だけは、利率が半年ごとに見直されることから長期金利の影響を受けることになります。

個人向け国債の利率は右肩下がり

個人向け国債、新窓販国債から2014年上半期の状況などを見ていくことにしましょう。

新窓販国債の利率は、2年物、5年物、10年物は2014年1月から6月まで、正確には7月まで全く変わっていません。今後も2年物、5年物は変わることがないと思いますが、10年物は0.1%低下する可能性があります。利率が0.5%になった場合、10年物は史上最低金利に肩を並べることになります。長期金利が0.4%台に低下すれば、利率0.5%は十分ありえると思われます。

個人向け国債は、月を追って低下している状況です。3年固定は、2014年1月募集の0.09%が、翌2月には0.08%に低下。3月には0.07%に低下後、4月、5月はわずかに上昇して0.08%になりましたが、6月には0.07%、7月には0.06%に低下してしまいました。今後は下限金利である0.05%まで低下するかもしれません。

同5年固定は、2014年1月募集の0.17%が、翌2月には0.15%に低下。3月には0.14%まで低下した後、4月は0.15%とわずかに上昇。5月、6月に0.14%に再び低下した後、7月には0.12%まで低下してしまいました。5年固定は下限金利である0.05%まで低下するかは微妙ですが、0.1%未満に低下することは十分ありえるでしょう。

同10年変動は、2014年1月募集の0.48%が、翌2月には0.40%に大幅に低下。3月は2月と変わらなかったものの、4月は0.42%に上昇。5月、6月は再び0.40%に低下した後、7月には0.37%まで低下してしまいました。10年変動は、適用利率の決まりかかたが引き算方式からかけ算方式に変更されていることから、下限金利である0.05%まで低下することはありえないと考えられます。

個人向け社債は7月に急増

2014年上半期の個人向け国債は、社債自体の発行は頻繁に行われていますが、個人向け国債の発行は芳しくありませんでした。発行の常連であった、マネックス債、ならびにSBI債は発行されていない状況でした。変わって頻繁に発行されたのが、東海東京フィナンシャル・ホールディングスです。償還期間は1年、利率は0.5%前後でしたので、マネックス債、SBI債ほど魅力的とはいえませんが、上半期では検討した部類でしょう。上半期、1番の人気を集めたのが2014年5月に発行されたソフトバンク債です。ソフトバンク債は、償還期限5年、利率は1.45%でした。

また、格付けが付与されていなく、発行額は10億円と少ないものの、償還期限1年、利率1.85%の好条件で2014年4月に発行されたのが、あかつきフィナンシャルグループです。あかつきフィナンシャルグループは、7月にも償還期限1年、利率1.85%の社債を12.5億円発行する予定です。格付けが付与されていないことから好条件と言えるのでしょうが、購入には慎重になりたい個人向け社債です。

その他、利率が1.0%を超える個人向け社債はほとんどありませんでした(サムライ債は除く)。ただ、7月に入ってからは夏のボーナスに合わせたのか、個人向け社債の発行が急増しています。小田急電鉄が償還期限3年、利率0.17%、発行額150億円。四国電力、償還期限2年11ヵ月、利率0.25%、発行額100億円。東芝、償還期限4年、利率0.4%、発行額300億円。近畿日本鉄道、償還期限4年、利率0.39%、発行額300億円。東海東京フィナンシャル・ホールディングス、償還期限1年、利率0.41%、発行額44億円などです。

好条件の個人向け社債はなかなか発行されませんが、個人向け国債よりは投資妙味ありと言えるでしょう。2014年下半期のスタートである7月の個人向け社債の発行が急増したことから、下半期は上半期よりは期待ができそうです。情報のアンテナをしっかり張って、好条件の個人向け社債などを確保したいものです。
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